毎大会恒例! 笹原圭一RIZIN広報のインタビュー!!  今回は大混乱の大晦日を振り返ります!(聞き手/ジャン斉藤)






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大晦日の心地の良い余韻に浸るまもなくシバターvs久保優太の八百長疑惑が騒ぎになりました。

笹原
 ……斉藤さん、私のこと疑っていましたよね?(笑)。

――
何を言ってるんですか。ボクが笹原さんのことを疑ったことなんて……いや、よく考えたらけっこうありますねぇ。

笹原
 まぁでも、社長の動画の中での話しどおり、RIZINに八百長なんかないですし、笹原が裏で糸を引いて今回の騒動を引き起こしたなんてことは一切ないです。

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――
榊原さんのあの動画がRIZINのスタンスとはいえ、“渦中の人”となった笹原さんにお聞きしたいんですけど。そも今回の騒動のきっかけは、久保選手がLINEの履歴や音声データを第三者を使って公開したことから始まっていますよね。榊原さんの声明だと契約の中に不正試合に関する項目はあるそうですが、こういう選手間のやりとりをどう取り締まっていくつもりですか?

笹原
 取り締まるというか、契約書の中に新たな文言を加えて縛りを入れることもしますけど、基本的には選手を啓蒙していくしかないかなって思っています。

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今回のRIZINの対応は遅かったというか、いまの時代って、こういうトラブルが起こったとき時ってより迅速な対応が求められるじゃないですか。

笹原
 もちろんそういう側面があることも理解しています。ここまで時間がかかったのって、慎重に状況を見極めていたからです。この件って一歩間違えると泥沼にはまりかねないと思ったので、迷っていたというよりも、慎重になっていたってことです。

――
結果的にはシバター選手にも、久保選手にもペナルティを課さないという結論でしたね。

笹原
 音声データを流出させることも、勝つためにウソをついて騙すこともそりゃよくないことですよ。でもだからといって、たとえば彼らを永久追放処分にしてなんの解決になるのかって思うんです。だって結局カードを組んだのは我々ですし、最終的に責任を取るのはどこまでいってもRIZINですから。

――
笹原さんも八百長を企てた一味の関係者として叩かれてましたが。

笹原 もう、自分がジョン・テンタのように「この八百長野郎!」って言われる日が来るなんて思っていなかったですよ(苦笑)。

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北尾光司vsジョン・テンタの説明は時間がかかるので音声流出の説明をお願いします!

笹原
 シバター選手と久保選手のやり取りの中で「これはRIZINの笹原さんも了解している」というシバター選手の音声が流出して、笹原が八百長に関与しているみたいなことで騒ぎになった。でも最終的にはシバター選手が「あれは全部ウソでした」と種明かししたという流れですよね。

――
笹原さんからすると、釈明も何も勝手に疑って、勝手にやっぱりアイツは白だったって認定されて、どうすりゃいいんだ?って感じですか。

笹原
 自分自身に何か後ろめたいことがあるわけでもないですし、まぁ時間が経てば真実は明らかになるし、笹原叩きも飽きるだろって思ってました(笑)。ただですね、今回の件で本来であればもっと注目される優勝した扇久保選手はじめRIZINファイターには本当に申し訳けない、という言葉しかありません。

――2022年も波乱の幕開けという感じですね。

笹原
 まぁ今年もいろんなことがあると思いますが、頑張りますよ!


……というわけで、ここからは大会翌日1月1日に収録した大会総括インタビューをお送りします!


――大晦日のRIZINは本当に盛り上がりました。

笹原
 ここ1~2年のあいだはコロナの入場規制があったんですが、久しぶりに満員のお客さんを入れられたことが本当に嬉しかったですよね。しかもアウトレット席も用意して、それも完売ですから。

――いまはコロナの規制も解かれてフルでお客さんが入れられますけど、だからって簡単にはフルハウスにはできない状況ですからね。やっぱりコロナで会場観戦の習慣が薄くなって……。

笹原
 そうですね。観戦形態が変わりつつあるなかで、これだけ入れられたのはこの1年間で作りあげたRIZINの熱の賜物だと思います。

――
あと気になるのは視聴率ですね。

笹原
  視聴率も昨年より上回っているという速報値は出てますね。

――
それは安心しました。視聴率10%を獲ってほしいというわけではなく、視聴率が低いというだけで「面白くないからだ」って烙印を押してくる通りすがりが多いので。

笹原
 ある意味、視聴率って不毛というか本当に意味があるんだろうかって思うことはあるんです。ただ、そこに背を向けて「そんなの関係ねぇ!」って小島よしおみたいなことを言うのも違うと思いますし。

――なぜこのタイミングでいきなり小島よしおなのかはあえて突っ込みませんが、地上波で大会を放送しているRIZINとしては、そこと向き合わざるえないってことですよね。

笹原
 そうです。視聴率ってある意味世間の審判を受けていることじゃないですか。メジャーイベントと名乗る以上は、そこから逃げずに勝負するしかなくて、格闘技をあまり知らない人にも「RIZINって面白いね」と言ってもらえるようやり続けますよ。

――
そこで第1試合の“カズ・ジュニア”こと三浦孝太は明るい未来を感じさせる勝利ですよね。そしてメインイベントは錦鯉……じゃなくてベテランの扇久保博正が優勝するという(笑)。

笹原
 ハハハハハハ。 今回のRIZINって入学式があって卒業式があって、最後に結婚式までありましたからね。人生のすべてが詰まっていました。

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――
三浦孝太選手の対戦相手YUSHI選手は、解説のケンコバさんいわく新宿が煮詰まっていましたし。

笹原
  YUSHI選手は本当に最高のキャラクターだと思いましたね。技術的にはまだまだですけど、ハートの強さ、あの振る舞いは誰でもできるもんじゃない。 今回がRIZIN デビュー戦ですけど、「RIZIN7戦目くらいですか?」って思う人がいても不思議じゃないです(笑)。

――
「華とは何か」講座をやってほしいぐらいですね(笑)。

笹原
 孝太選手の相手はもともとはブラジル人ファイターを用意していたんです。

――
お父さんの三浦知良さんが10代の頃にサッカー修行した思い出の地。

笹原
 イメージしていたのはすっごく凶暴なブラジル人選手で、孝太選手と対照的なキャラクターです。でも、コロナで入国できなかったことで日本人選手を探すことになったんですね。

――
YUSHI選手はもはや外国人というか、ファンタジーの住人だから孝太選手が引き立ちましたね。試合もスイングしました。

笹原
 アマチュア経験がなくてケンカもしたことがない 19歳の若者がいきなり大舞台で殴り合いができるって、その舞台度胸はアッパレでした。

――
テーマ曲が『男はつらいよ』のリミックスという時点で只者ではないですよ(笑)。

笹原
 入場曲に関しては三浦夫妻と、孝太選手を指導している宮田和幸さんたちとミーティングしたときに三浦カズさんが「サザエさんほどじゃないけど国民的な曲で入場して盛り上げますよ」と。ボクはこの話を聞いた時点で、絶対に『キャプテン翼』だと勝手に思い込んでいたんですよ(笑)。

――
ハハハハハ! 「蝶々サンバ♪ ジグザグサンバ♪」の。

笹原
 そうです。なので佐藤大輔さんにも「三浦孝太の入場曲は絶対にキャプテン翼!間違いないですよ!」って大興奮して伝えてたんですけど、「男はつらいよ」でした(笑)。

――「奮闘~、努力のかいもなく♪」、ハズレ(笑)。

笹原
 「男はつらいよ」はもともとカズさんが好きで、その影響で孝太選手も好きになったみたいで。これは私の勝手な見立てですけど、今回のRIZIN参戦でカズさんと孝太選手ってむちゃくちゃ向き合って、おそらくプロとしてこうあるべきだ、という話もしていると思うんですよ。でも孝太選手が子供のときって、カズさんは現役バリバリのサッカー選手としてあちこちに飛び回っていたじゃないですか。

――まさに寅さんですね。

笹原
  カズさんはいまも現役のサッカー選手ですけど、今回の孝太選手の参戦をきっかけにもう一度。子育てをしていて、ボクには三浦家の再生物語としての一面も見えるんです。2人の好きな寅さんは家庭を作らなかったけど、家族の話ですよね。

――
戦後経済発展を遂げる日本は核家族化が進みましたけど、監督の山田洋次は「男はつらいよ」を通して家族の関係性を描こうとしてましたね。2019年に22年ぶりの制作された『男はつらいよ お帰り 寅さん』は、いまどきこんな家族像を描くのかって驚くほどの怪作で。

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笹原  ご両親はリングサイドで見るか、控室で見るのか、それとも自宅観戦にするか当初は迷っていたんです。とくにお母さんは自分の息子が殴られる姿なんか見たくないじゃないですか。すでも悩んだ末にリングサイドで見たら、あんな激勝ですから本当に嬉しかったと思いますよ。

――日本で最も有名なサッカー選手の息子が格闘技のデビュー戦でサッカーボールキックで勝つんですからね。

笹原  サッカーボールで仕留めた瞬間、 運営本部で飛び上がるくらい喜んでカズダンスを踊りかけましたよ(笑)。もうありえないじゃないですか。

――
残り時間わずかの決着で。ロスタイムの決着だった“ドーハの悲劇”の逆バージョンですよ!

笹原
 スタッフから「笹原さんがあんな大興奮している姿、初めて見ました」と言われましたし(笑)。でも試合前のリングチェックで、ちゃんとサッカーボールキックの練習をしていたんですよね。なので偶然出たとかじゃなくて、ちゃんとイメージしていたんですよね。
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