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松澤チョロ
の脱線プロレスシリーズ第4弾。今回は田村潔司を14000字で語ります!(聞き手/ジャン斉藤)



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「いい人」佐々木健介が嫌われる“正直スマンかった”理由■松澤チョロの脱線プロレス


松澤
 樋口毅宏さんが前田日明を語るインタビュー記事、けっこう反響あるよね。賛否両論わかれまくってはいるけど。 


前田日明を信じ、前田日明に失望したU世代の愛憎■小説家・樋口毅宏

――あれを読んだ前田日明ファンが本気で怒ってるので「いまは令和だよね」って年号を確認しちゃいましたよ!

松澤
 平成ならもっと否定的な意見は多いだろうし、昭和なら「ふざけんな!」って反響がほとんどだったろうけど、いまはさんざんUWFが検証されまくってる令和だからねぇ。

――
肯定派も否定派もみんな熱いというか、こじらせてますよ。

松澤
    最近やってたワダタク(和田拓也)の田村潔司批判なんかもそうだけど、ジャン斉藤が言いづらいことを他人の口から言わせてると捉えてる人もいるんじゃない?(笑)。

こじらせU系・第2弾! ハードヒット王・和田拓也「田村潔司に習っても強くなれない」

――
ボクは普段から強めの主張してるほうだと思ってましたけど、もっと踏み込んだほうがいいってことですかね?(笑)。

松澤
 無責任に言えば、他のプロレス格闘技媒体との差別化を計るためにはより一層踏み込んだほうがいい気はするけど、俺は心配症なんで「うわ、ジャン斉藤、そんなこと書いて大丈夫なのかよ!?」といまでも充分ヒヤヒヤさせられてる。

――今年でいえば山田武士さんのヌルヌル騒動を振り返る記事を作ってるときは「……時間が経ってるとはいえ、こんなの載せていいのか」って悩んで寝不足になりましたけど。

松澤   ものすごい偏ったメディアという自覚はさすがにあるでしょ?(笑)。

――その自覚は充分あります。でも、ワダタクの記事面白いですよね?

松澤
 たしかに面白かった。田村さんのこと感情的に批判してるタイプの人かなぁと思ってたら格闘家として物申してる感じはあったし。

――
そうすることで田村潔司の存在が際立つじゃないですか。

松澤
 樋口さんも前田日明愛をプンプンに漂わせながら「真剣勝負をやってないじゃないですか!」と批判することで、あらためて前田日明という存在を考えたくなる面白さはあるよね。

――
この記事内容は批判の声は当然ありますよ。ただ、前田日明YouTubeで聞き手をやってる片田直久さんが樋口さんの記事に怒ってるのはともかく、樋口さんの書いた小説を面白いといったボクのことまで揶揄してきて。樋口さんの前田評とは何も関係なのにそんなところまで過剰に反応するなんて「U系はホントにこじらせるなあ……」って。さすがに苦情を飛ばしたら削除してくれましたけど、いつか片田さんにも前田日明愛を語っていただきたいです!

松澤
 あー、片田さんは自分も最近取材されてお会いしたけど、理路整然とされたインタビュー術が評価されてる前田さんのYouTubeでの印象以上に熱い人というか、こじらせてる感じはあったなぁ(笑)。

――片田さんと樋口さんは過去に同僚だった時期もあったりする関係ですよね。

松澤
    2人ともタモリさんに関する著書を出してたりするからね。まあでも、樋口さんもそうだし、前田日明もそうだし、なんならジャン斉藤もそうだけど、一般的には子供ができると丸くなるというけど、あんまり関係ないところもあるよね。尖ってるヤツはどこまでいっても尖ってるというか。褒め言葉なんだけど。

――
この歳で尖ってるとか全然、嬉しくないないですよ。 

松澤
 よせばいいのに言いすぎちゃうところはリップサービスなのかどうかはわからないけど、だから面白いわけで。田村さんなんかもそうだよね。子供ができて変わった部分は当然あるんだろうけど、いまでも変わらず余計なこと言いすぎるというか、田村さんは意味深なこと言い続けてるでしょ。ワダタクのいう宇宙人的なところは昔から指摘されてたからね。

――松澤さんは紙プロ時代、いつ頃から田村潔司取材をしてるんですか?

松澤
 いつなんだろうなあ……。紙プロに入る前から俺の中で田村さんはビッグスターだったけど。リングスでいえば最初に取材したのは金原弘光さんなんですよ。 それまで関係者を取材することはあったけど、選手で初めてインタビューしたのは金原さん。「自分がやりたいです!」って手を挙げたわけではなく、編集会議で割り振られただけどね。当時はリングス大好きな堀江ガンツさんもいなかったし。そこまでリングスは詳しくなかったから大学ノートを半分ぐらい書き込むぐらい調べて。

――
マジメですね。

松澤
 俺は基本的に不安症だから。

――
準備万端なのになんで締め切りは間に合わないないんですか!

松澤
 不安になるだけで筆が進まないんだよね……。「やべ、締め切りとっくに過ぎてるのに寝てしまったー」と冷や汗かいて飛び起きる夢、いまでもしょっちゅう見てるし。

――
締切に追われて青ざめている松澤さんの顔を思い出しましたよ(笑)。

松澤
    まあ向いてなかったんだろうな。そのうち田村さんも取材するようになったけど、 誰が聞き手でも質問すると「うーん……」とものすごく考え込む。将棋でいうと完全に長考状態で。変わり者といえば変わり者だよね。ジャン斉藤は田村さんを取材したことあるの?

――
一度もないです。ボクが紙プロに入ったときは堀江さんが田村番だったし。Dropkickでも田村潔司の話を聞きたくなる時期ってなかったような……それに田村って信頼関係がないと会話が成立しないタイプじゃないかなって。それこそDropkickが大好きなグレーゾーンに関してはとくに。

松澤
 あー、たしかに。いまなら「この選手がこんなことを言ってますけど……」とか聞けるけど、田村さんの場合は考え込んじゃいそう。俺が田村さんを取材したのはリングスがKOKルールになる前だから、普通のプロレスラーを取材するよりもデリケートだったかもしれない。

――
この試合は競技だったのかどうかを手探りのまま取材するわけですもんね。『格闘技通信』がリングスのある試合を競技だと思い込んでレポートしたら違ってた……みたいなケースもあったみたいですし。

松澤
 仲の良い選手だったら「ぶっちゃけ載せないけど、どうだったの?」みたいな話はできたのかもしれないけど。当時はそういうキャリアでもなかったし、インタビュー術もなかったし。俺、滑川(康仁)さんと一緒に住んでた時期もあるんだけど、「親しき仲にも礼儀あり」で逆にそんなことは聞けなかった(笑)。

――
滑川さんと住んでいたことのほうがビックリですよ(笑)。いまは際どい発言抜きでもグレーゾーンに関するインタビューが成立する時代ですけど、それはミスター高橋本以降、吉田(豪)さんとか紙プロ系が領域を少しづつ拡大していった歴史がありますからね。何が言いたいかといえば、プロレス格闘技マスコミの方々は我々に感謝してほしい(笑)。

松澤
 それはあるよね。ただ、プロレスラーの場合は「高橋さんがこう書いてますけど……」と聞けるけど、 U系はまた違うじゃん。

――「プロレスを真剣勝負化したのがUスタイル」っていう前提がありますし。小さい判型の頃の紙プロってUインターは酷評してましたよね。

松澤
 基本的には小馬鹿にしてたよね。

――
RADICALになってから山口(日昇)さんと高田延彦の距離が縮まって、堀江さんが金原弘光というフィルターを通してUインターを活字で評価する作業が始まって。桜庭和志がグレイシーハンターとして活躍することで 彼が所属していたU インターの評価が決定的になっていくという。

松澤
 俺は桜庭和志表紙のRADICAL8号から関わってるんだけど、それはUインター消滅後キングダム時代で。桜庭さんがPRIDEで大ブレイクする前から紙プロが取り上げていたことは誇らしいことだったね。「会長、見る目あるわ~」とマジでリスペクトしてたし。

――
高阪剛のことも表紙にしてましたよね。要するに“ガチでも勝てるプロレスラー”をピックアップしていた。PRIDEがなぜ桜庭vs田村に拘っていたかといえば、榊原さんは東海テレビ時代にUインター名古屋大会をプロモートしていた過去もあって。Uインターの道場を初めて訪れたときに田村と桜庭がすごいスパーをしたので、いつか日の目を浴びさせたいと思ったらしいんですけど。 山口さんはPRIDEのブレーンになったから、桜庭和志vs田村潔司のプレゼンもあったはずなんですよね。ただ、PRIDE・K-1ブームの中での田村潔司という存在は地上波で取り上げられたことはないからマイナーで。PRIDEファンはそこまでピンときてなかったはずなんですよ。

松澤
 そうだろうね。桜庭さんは当時スーパースターだったでしょ。田村さんには熱狂的なファンはいたけど、世間に届く存在ではなかった。

――
いまだったら誰なんだろうなあ。矢地祐介より世間に知られてなくて、矢地祐介より幻想、求心力がある感じかなあ。

松澤
 どちらも芸能人の彼女がいる絶妙な例えだ(笑)。当時プロレス格闘技好きの彼女がいたんだけど、桜庭やノゲイラが好きで。逆に「田村ってなんでこんなに期待されてるの?」みたいな感じだった。そこの温度差はすごいあったよね。初めて桜庭和志vs田村潔司を組もうとしたはいつだっけ?

――
3大会同時興行となった2003年の大晦日ですね。 日本テレビの猪木祭りがミルコやヒョードルとかPRIDEの外国人ファイターをかき集めて、 TBS のK-1『Dynamite!!』が曙vsボブ・サップというNHK紅白超えの超弩級カードを組んで、PRIDEは世間向けカードは吉田秀彦vsホイス・グレイシーの再戦くらいだし、求心力のあるカードもなかったんですよ。それこそ今年の大晦日は天心vs五味隆典が25日に発表されたけど、ギリギリまで桜庭vs田村の交渉をしてて。

松澤
 結局桜庭vsホジェリオ、田村潔司vsロニー・セフォーという兄貴が有名格闘家との試合が組まれたんだっけ?

――
テレビ画面のテロップには「桜庭vsノゲイラ」「田村vsセフォー」と打てるからテレビ栄えはする。ノゲイラは双子だから兄貴だと思い込んでる視聴者もいたみたいで視聴率は悪くなかったんですよ(笑)。

松澤
    テロップマジックだ!(笑)。

――
あのときは桜庭和志&松井大二郎vs田村潔司&上山龍紀のタッグマッチも実現寸前だったけど、プロレス嫌いで有名なフジテレビのKプロデューサーが却下した裏話もあって。

松澤
 最近、ABEMAのKプロデューサーの暴走ぶりが週刊文春で取り上げられていたけど、フジテレビのKプロデューサーはPRIDEの暴走を止めたわけね(笑)。

――
なかなか実現しないことで桜庭vs田村は黄金カードに化けていった感があるんですよね。

松澤
 田村さんは会長が窓口だったんでしょ。

――
田村潔司だけじゃなくて小川直也、ロシアントップチームを抱えていたんですよ。

松澤 あ、そうか!  ヒョードルも紙プロファミリーだった。青木真也じゃないけど、俺たちのファミリー強すぎ問題!(笑)。

――
そういった縁もあって紙プロ衣料部からロシアントップチームグッズが販売されてたんですけど。当時のヒョードルもそこまで人気があったわけじゃないですし、Tシャツなんて200枚300枚売れれば御の字じゃないですか。ところが伝言ゲームでロシア側に10万枚近く売れてると伝わって揉めたという話を聞きましたね(笑)。<14000字の脱線トークはまだまだ続く>
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