北米MMAを知り尽くした男が語るRIZIN大晦日！（この記事はニコ生配信されたインタビューを構成したものです）
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・世界を知る男・水垣偉弥が見た朝倉未来vs斎藤裕
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――水垣さん、あけましておめでとうございます！
水垣 あけましておめでとうございます！
――今回は大晦日RIZINの試合解説をしていただきたますが……バンタム級4試合の予想を見事全試合的中したそうで。
水垣 そうなんですよ（笑）。
――水垣さんの予想はハズレが多いということで、RIZINアンバサダーのくるみさんから批判されてましたけど（笑）。
水垣 くるみさんには「呪い」の予想扱いされてたんですけど。今回全勝したことで「幸運」と言ってくれたので、これからは「幸運」の水垣予想、「エンジェル水垣」ですね（笑）。
――呪いからエンジェルに（笑）。エンジェル水垣さん、最初は所英男vs太田忍の感想からお願いします！
水垣 大まかなイメージとしては「こうなるだろうな」っていう試合展開でした。所選手は下になってもOKなので、スライディングしての足関なんかを積極的に仕掛けるのかなと思ってたんですけど、所選手はしょっぱなに打撃を当てたじゃないですか。所選手としては打撃でも充分できるっていう手応えはあったんだと思います。
――所選手としてはギャンブルをする必要なくなったということですね。負けちゃいましたけど、太田選手の見どころはどこでしたか？
水垣 やっぱりあの身体的な強さ。最終的には極められましたけど、何度も所選手の身体を持ち上げて脱出してたじゃないですか。あれはかなり疲れるんですけど、何度もできるというポテンシャルの高さですよね。そのへんはオリンピックアスリートなので凄いんだろうなって。MMAファイターとしては日が浅いので、これからそのポテンシャルをどう活かしていくかっていうところですね。
――太田選手のMMAストーリーはいま始まったばかりということですね。
水垣 そうですね。
――次の試合もMMAデビュー戦の平本蓮選手の試合なんですけども。対戦相手の萩原（京平）選手と試合前から煽り合ってファンも盛り上がって……からの惨敗でした。
水垣 結果だけ見るとMMAファイターとして萩原選手が上だった、だけの試合なんですけども。平本選手はデビュー戦で、打撃から転向したばかりですが、まだ組みに対してはまだ時間が必要なのかなっていう印象でしたよね。
――ただでさえ、いまのMMAはやることが多すぎて時間がかかりますし。
水垣 やっぱり切り替えていくのはそれなりの時間がかかると思うし、当日の控室で平本選手を指導している長谷川賢選手と話したんですよ。そうしたら「もうちょっと時間が 欲しかったな」という感じだったので、それが正直なところなのかなっていう。
――寝技ベースがない平本選手にはこのマッチメイクはキャリア差がありすぎて、どうなのかとは思うところはあったんですね。
水垣 大晦日のお祭り的な大会とはいえ、やっぱりMMAとしては正直どうなのかなっていう内容でありました。ただ実際にやってみるまでは平本選手がどれくらいできるのかはわからなかったので。
――打撃だけで圧倒してしまうかもしれないですし。
水垣 そうなんですよ。でも、打撃が一流だったとしてもああいう試合になってしまうのがMMAですし、リスクのあるマッチメイクではあったっていうところで。おそらく萩原選手に関していうとRIZIN側も打撃戦になる選手をチョイスしたんですけど、そこで徹底して組みに行く萩原選手はめっちゃ好きになりましたね（笑）。「これはMMAなんだ！」という。
――萩原選手の芦田（崇宏）戦を見るかぎり、萩原選手はいまのところ寝技に穴があるので、これくらいはクリアしてもらわないと平本選手はトップとは当てられない、というRIZINの考えもあったのかなと。
水垣 ああ、それもあったかもしれないですね。この寝技だったら充分に脱出できるのかなと思ったかもしれないですね。今回の結果で平本選手に「うん？」と首を傾げたファンが多くなったのは事実ですし、周りの目が厳しくなっちゃったので。萩原選手はそれこそ「アマ修斗からやり直せ」みたいのことを言ってましたけど、平本選手くらい打撃ができちゃうと、相手の身が危ないので……。
――ちょっと危険すぎますよね。アマ修で無双する平本選手の姿も見てみたいですけど（笑）。
水垣 これからどういう対戦相手をチョイスをしていくのかっていうところですね。
――「DEEPやパンクラスに出て経験を……」という声もありますが、RIZINの下部組織じゃないですし、RIZINクラスのファイトマネーを払えるかといえば難しいですし。
水垣 DEEPやパンクラスでも同じキャリアの相手と必ずしも戦うわけじゃないですよね。中堅どころの選手でも、萩原選手並、それ以上の寝技を持ってる選手ばっかりだと思うんですよ。それこそレスリングタイプの選手とやったら厳しい戦いになりますし。
――コロナのせいで外国人ファイターが呼べないこともマッチメイクが厳しくなりますね。
水垣 なかなかの茨の道ですけど、最終的に結果を出せば、デビュー戦の敗戦も笑い話になるというか。結果を出すことで、いつか「しくじり先生」で……（笑）。
――ガハハハハハ！ その流れ、いいですね。
水垣 平本選手には前向きにMMAに取りくんでもらいたいですね。
――次の試合です。クレベル・コイケ選手はぶっちゃけUFCやベラトールに移ってもらいたいぐらいの強さなんですけど（笑）。
水垣 ただでさえ寝技が強いのに、まず打撃で先手を取っちゃいましたからね。効かされた状態で極められちゃうと「終わったな」っていう感じでしたね。なかなか強力な……やっぱりKSWの元チャンピオンですからね。あそこもけっこうな「修羅の国」ですから。RIZINはなかなかの相手を呼び込んでしまったなと（笑）。
――次は水垣さんがセコンドを務めた井上直樹選手の試合なんですけど、元谷（友貴）選手をあんなふうに倒すなんて、やっぱり強いですねぇ。
水垣 いやあ……ホント強いんですよ（しみじみ）。
――ハハハハハハハハ。実感がこもってますね。
水垣 練習とかも軽くするんですけど、体感として「クソ強いな」ってずっと思ってたんですよ（笑）。ボクが一緒に練習を始めたのは今年の6月からで。ボクが引退して半年くらい経っている状況でなので「……俺がすげえ劣化してんのかもな」と。いまは井上選手を教えてるだけで、ほかの選手とはやってないので、自分の劣化が酷いのかなっていう気持ちもあったんです（笑）。
――なるほど（笑）。ほかのモノサシがなかったと。
水垣 でも、今回の試合を見てボクが劣化していたとしても井上直樹が強いんだな、よかったな……って安心しました（笑）。
――ハハハハハ。今回の試合はゲームプランどおりだったんですか？
水垣 まず打撃で差を見せるってことですね。元谷選手はトータルでできる選手ですけど、打撃だけ見れば井上選手の方が全然、上だと思ってたんですよ。
――ほう。
水垣 井上選手もごらんのとおり組みに自信はありますけど、組みと打撃では圧倒的に打撃で差はつけられる印象なので。そこでリズムが取れたらなって。
――まず打撃で主導権を握るってことですね。
水垣 井上選手を見始めてまだ半年ですけど、見ていたときの印象としては負けパターンは相手のいいところに合わせちゃうっていう。なんでもできるぶん、そういうところが負けパターンだと思っていたので。元谷選手相手にいきなり組みでどっぷり勝負しちゃうと、どっちに転がるかわからない。まずしっかり打撃でポイントを取ることがゲームプランで。最初コーナーに追い詰められて相手が差してくる展開を切れたのは大きかった印象ですかね。
――それでいて最後は寝技で仕留めるというのは凄いですね。
水垣 井上選手の完全なパターンだと思いますね、あのバックチョーク。前回の試合（渡部修斗戦）もそうでしたし。
――井上選手、ちょっと底知れないですね。
水垣 ヤバイですよ。この２試合は勝ち方も完璧じゃないですか。それにまだ若いですからね。
――そうなんですよね。まだ23歳ですから。
水垣 あの若さで一度UFCを経験して、いろんな意味での経験値もあるし、いまもトップファイターの実力もあるけど、まだ若くて伸びる可能性を秘めている。
――いまも楽しみですけど、将来も楽しみという。
水垣 5年後になれば、たぶん手が付けられなくなる可能性がありますね。
――圧倒的な試合ぶりからの、何もしゃべれないマイクとのギャップも最高でしたね（笑）。
水垣 いやあ、あれも井上直樹の真骨頂ですよね。セコンドのボクと安田（けん）さんの2人に助けを求めるような目で見てきたんですけど、「こっちも何もできないよ」って（笑）。ボクのYouTubeに一度出てもらったんですけど、ボクばっかりしゃべっちゃって コメント欄に「水垣ばっかりしゃべってる」「井上の話が聞きたいんだ」という書き込みが寄せられまして。いや、ボクもそう思ってるんですけど……っていう（笑）。
――プライベートでもしゃべらないんですね。
水垣 なんか寡黙ですね。「今日疲れてる？」「はい……大丈夫です、大丈夫です……」みたいな。「どこか痛いところがあるんじゃないの？」「大丈夫です、大丈夫です……」を10回繰り返したあとに、「……ちょっとだけ、ここが痛いんです」と。最初から言えよ！みたいな（笑）。
――お姉さん（魅津希）のしゃべりのうまさを半分わけてほしい（笑）。次は誰との試合が見たいですか？
水垣 いやあ、誰ですかねぇ。正直いうと堀口くんのタイトル挑戦でもいいんじゃないかなっていう風に思ってますけどね。
――なるほど。即タイトルマッチかどうかはさておき、今年は井上選手の年になるかもですね。
水垣 マイクも超注目ですね（笑）。
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コメント
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水垣さんの解説は興味深いので、またいろんな対戦の解説インタビューをしていただきたいです。