毎大会恒例! 笹原圭一RIZIN広報のインタビュー!! 今回はRIZINの判定基準について解説しています!(聞き手/ジャン斉藤)
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――笹原さん! 朝倉未来vs斎藤裕の判定が議論になっているので、あらためてRIZINの判定基準について解説をお願いします!
笹原 この試合は確かに競った内容で、判定自体は議論するほどのものかな……と個人的には思ったんですけどね。「RIZINの歴史に残る素晴らしい試合だった!! あっぱれ!以上!」で良いじゃないですか(笑)。
――これがボブ・サップvs大砂嵐だったら皆さんスルーですよね(笑)。
笹原 RIZINの判定基準に関していえば、以前Dropkickでレフェリーの福田(正人)さんと大沢ケンジさんが対談(https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1473876)したときから、そこまで変わってないんですよね。でも、いまだに「RIZINの判定ガー」みたいな声が多いのは、そのDropkickの記事を誰も読んでいないということですよ!
――なぜか怒りの矛先がDropkickに! そんなことよりあの対談の大沢さんがたまたまフラッシュダウン2回を例に挙げていて、朝倉vs斎藤戦に当てはめやすいものでしたけど……。
笹原 あくまで例えですよね。「フラッシュダウン2回取っても判定で勝てないんだ」というわけでもないですし。判定って本当に奥が深いというか、難しいんですよね。
接戦の末、3-0の判定で朝倉未来を下した斎藤裕
――なので今日はいろいろとお話を聞きたいんですけど。まず格闘技って「判定になったら、どんな内容でも、この選手を支持をするように」とか団体の意向が反映されているんじゃないかって陰謀論が湧きがちですよね。
――なので今日はいろいろとお話を聞きたいんですけど。まず格闘技って「判定になったら、どんな内容でも、この選手を支持をするように」とか団体の意向が反映されているんじゃないかって陰謀論が湧きがちですよね。
笹原 とくにRIZINはそう言われるんですよね。ホント、ウチはフリーメイソンかよ!って思いますよ(笑)
――RIZINのロゴマークにはプロビデンスの目が隠されている……気がしてきました。あまり知れ渡っていないのは、以前は団体側が審判団を構成していましたが、現在の審判団は独立組織として運営にされています。団体側として「このスター選手の試合はよきに計らって……」なんていう変なお願いはしづらいと。
笹原 しづらいというか、できないですよね。そんなことやったら、斉藤さんのようなゴシップ大好き人間にリークがされて大変な騒ぎになりますよ!
――すいません……ってボクが謝る話じゃないんですけど。
笹原 いまは外部団体に一般社団法人日本MMA審判機構(JMOC)という組織がありまして、そこに競技運営チームの編成を依頼しています。なので完全に独立しています。大会ごとにこちらからオファーをかけて、JMOCから「今回はこのチームで競技運営をやらせていただきます」というやりとりなんかもしているんです。
――どの試合を誰がレフェリーをやって、誰がどの試合のジャッジするかという話し合いもしてるんですか。
笹原 担当についてもすべて競技チームにお任せしていますね。もちろん、時には話をすることがありますけど、担当レフェリーなどの決定は基本すべてお任せです。
――そこは団体側が都合のいい編成にはできないようになっているとていうことですね。
笹原 そうです。「李下に冠を正さず」じゃないですけど、相当気を使ってるんですよ。 試合ごとのレフェリー・ジャッジのシフトは事前に受け取りますが、ギリギリ直前までRIZIN内部のスタッフにすら伝えないようにしています。例えば台本を作る部署の人からすると、「はよ情報くれよ!」という感じかと思いますけど、その情報がどこかで選手関係者の耳に入る恐れもあるじゃないですか。で、「今日はあの人がジャッジだから」とか「あのレフェリーがやるみたいだから一言挨拶しておくか」みたいなことになるかもしれない。そこまで気を使ってやっているんですよ。売れっ子キャバ嬢でも、ここまで気をつかいませんよ!
――売れっ子キャバ嬢とRIZINルールに詳しい笹原さんに今回のテーマである判定基準をお聞きしますが、RIZINの場合は試合全体評価ですね。
笹原 はい。UFCのようにラウンドごとにポイントを付けるシステムではありません。試合全体を評価して、その試合において「どれだけ一本・KOに近づけたか」をジャッジします。
――朝倉未来選手が試合後に「セコンドから1&2ラウンドを取っていると言われた」とコメントしたことで、RIZINルールを勘違いしているんじゃないか……という反応がありました。
笹原 いや、あれは「このまま戦えば判定で勝てる」ということだと思いますね。未来選手も、そしてセコンドの海選手もRIZINで何試合もやってますからね。判定が全体評価だってわかっていますよ。
――RIZINの判定基準を説明すると、もっとも評価されるのは一本・KOに近づく「ダメージ」。その「ダメージ」の場面を作れなかったときは、積極的かつ攻撃的だったかを評価する「アグレッシブネス」。そこでも差がなければ、試合のペース、ポジションなどを評価する「ジェネラルシップ」で勝敗を決するわけですね。
笹原 はい。パーセンテージで振り分けると「ダメージ」は50、「アグレッシブネス」は30、「ジェネラルシップ」は20。イエローカードでマイナス20%になります。
ユニファイドルールにおける判定基準。RIZINでは「ダメージ」「アグレッシブネス」「ジェネラルシップ」に該当する。
――試合全体で評価するトータルマスト判定はRIZIN側の要望なんですよね。
――試合全体で評価するトータルマスト判定はRIZIN側の要望なんですよね。
笹原 そうですね。
――「ダメージ」「アグレッシブネス」「ジェネラルシップ」の三段階の評価は、アメリカのアスレチック・コミッションが施行しているいわゆるユニファイド・ルールに準じるものですよね。 そこもRIZIN側の要望なんですか?
笹原 RIZINルールもユニファイドも判定基準は本質的には変わりはないです。もちろん1ラウンド5分の評価と試合全体15分の評価ではそれぞれの判定基準の重みは異なってくると思いますが、どちらの選手が試合でより一本・KOに近づいたのか?ということが、どちらの判定も大前提になっています。 当然その基準のあり方については常に話し合いは行なっています。
――日々アップデートしてるわけですね。
笹原 「アメリカのアスレチックコミッションがこんな発表をしている」とか「あのルールがなくなった」という動きもあるじゃないですか。 JMOCはABC(全米ボクシング&コンバットスポーツ・コミッション協会)やカリフォルニア州のオフィシャルともパイプを構築していますので、そういった情報を共有していろいろと議論しています。これはよく言っているんですけども、いまのルールは最終稿ではないんですよね。どんなスポーツでもルールは常に変わって進化していくものですし、 実際RIZINルールもこれだけ改定しているんですよ。
――最近ではシューズ着用の関してもルールは変わりましたね。
笹原 はい。いままでシューズ着用でも、一部の状態では蹴りが認められていたんですが、改定後は蹴りはもちろんヒザ蹴りも禁止になりました。ただしシューズ着用を禁止するものではありません。
――これはなぜ改正されたんですか? 神龍誠選手のシューズありのカカト踏みつけが理由じゃないかと騒がれてましたが。
笹原 何か直接的なきっかけがあったわけじゃなくて、すでに2016年頃からずっとシューズ着用で相手の顔を蹴るというのは見え方や危険性、公平性はどうなんだろう?という議論はあったんですよ。シューズを履くデメリットとして足関が極まりやすいってことはありましたけど、いまは足関で勝敗が決するとか、全体で見れば少ないじゃないですか。だとするとシューズ着用はメリットしかないんですよね。
――シューズを履けば滑りにくいし、テイクダウンも防ぎやすいですし。禁止にはしないのは、異種格闘技戦テイストの強いRIZINにボクサーが出てくるかもしれないという想定で残しているんですか?
笹原 ちなみにRIZINルールでは道着の着用もOKになっています。 なぜ、こんなことをしているかというと、PRIDEからの流れを汲むRIZINは、異種格闘技戦が前提にあるからなんです。
こういうこというと、「は? 今時、異種格闘技?ユニファイドにしろ!」みたいな声が上がることがあるんですけど、その団体のルールに歴史や出自が反映されているのがそんなにおかしいのかな?って思うわけですよ。もちろん、明日にはなくなるかもしれないですけど(笑)。
――ルールは“生き物”ということですね。
笹原 そうです。もっと言えばこのルールはあくまで文章にすぎなくて、人間が関わって初めて血肉を通わせることができるんですよ!「〇〇は反則です」とルールで定めていても、実際の試合では考えられないようなことが起こるわけです。そのときに「ルールに書いてあるから反則ね。以上」じゃなくて、なぜそうなったのか、どうすれば良いのか、って突き詰めて考えなきゃダメなんですよ!現行のルールにあぐらをかくんじゃなくて、より良いものに変えていこうという意識が必要なんです!!って暑苦しいですか?
――いや、大丈夫です(笑)。
笹原 その上で、RIZINルールには、こういう思想があって、こういう意味があるんだいうことを伝えられればいいなと思っていますけどね。
――基本的にどの団体もルールは似たり寄ったりですけども、RIZINとしては、そこはこだわりたいと。
笹原 はい。かといって、いまのルールに固執しているわけではないんですよ。良いものはどんどん取り入れればと思いますし、最終的には世界のMMAは、ユニファイドルールに収斂されるかもしれない。全然いいんです。ただ、そうなるためには議論や考察が必要だってことです。
――たとえばPRIDEの時代には、判定になるとレスリング出身のジャッジがレスラー出身のファイターに付けがちな傾向がありましたよね。
笹原 あれはジャッジの基準がいまほど確立されてなくて、レスリング出身の見方でジャッジしていたということですよね。テイクダウンを奪った、ポジションを奪ったから勝ちだろうというレスリング目線。どうしてもバックボーンに引きずられるところはあったと思いますし。いまは皆無とも言い切れないでしょうね。 それこそ、RIZINに限らずラウンドマストを採用する試合でも、判定基準をどう運用するか、段階的に評価するんだよということが浸透し始めたのも、冒頭で話した福田さんと大沢さんがDropkickで対談した頃で、ここ数年の話ですしね。
――一時期のUFCもローキックがあまりポイントにならなかったり。今回の朝倉未来vs斎藤裕の判定でいえば、フラッシュダウンを2回取っていますけど、3人のジャッジは朝倉選手の勝ちにはつけなかったということですね。
笹原 RIZINの基準からすれば、パーセンテージで振り分けた「ダメージの50」を取るには至らない、という判断だったと思います。私もリングサイドで見ていて、全く同じ感想でした。
――なるほど。
笹原 1ラウンドごとに採点するラウンドマストの10点方式であれば、朝倉選手のあの攻撃は1ラウンド5分という時間内の評価であればポイントになると思います。でも、RIZINルールは15分間トータルで見た場合の「ダメージ」ですから。わかりやすい例を出すと、RIZINバンタム級GP決勝戦の堀口恭司vs石渡伸太郎の1ラウンドで、堀口選手がコーナーに追い詰めてパウンドで畳み掛けたじゃないですか。石渡選手はゴングに救われましたが、あそこまでやると、仮に判定になった場合には、明確に「ダメージ」を入れると思います。
石渡伸太郎を追い込む堀口恭司。「ダメージ」を確実に取れる一例。
石渡伸太郎を追い込む堀口恭司。「ダメージ」を確実に取れる一例。
――堀口選手があの攻撃で「ダメージ」の50を取ったとして、石渡選手が残り2ラウンドで「アグレッシブネス」や「ジェネラルシップ」で上回っても堀口選手の判定勝ちは揺るがないわけですよね。
笹原 はい。RIZINの判定基準は「ダメージ」が最も評価されます。今、斉藤さんが言った通りの場合だと両者50−50ですが、ダメージの50の方が評価されるということです。未来vs斎藤でいえば、ジャッジペーパーを確認したら3人ともダメージを入れていなくて、斎藤選手の「アグレッシブネス」もしくは「ジェネラルシップ」を取って判定勝ちでした。
――斎藤選手が積極的かつ攻撃的に試合を支配していたという評価ですね。最近のMMAは打撃偏重のイメージがあるから、フラッシュ気味のダウンを奪った未来選手の勝ちなんじゃないかなって見えてしまったんですね。
笹原 もちろん、その見方が全面的に間違っているとは思いませんよ。斎藤選手が苦しそうな顔をして、表情を歪めているのがジャッジAが見ていれば、ダメージをつけてもおかしくないですし。ただ、ジャッジ3名はダメージに加点するまでには至らない、という判断だった。そうすると、アグレッシブネスを見るわけです。ジャッジはフラッシュ気味のダウンを奪った未来選手と、積極的に攻撃を仕掛けていた斎藤選手とを比べて、後者のほうが優っていたと判断したってことかと思います。
――未来選手がテイクダウンを防ぐ際にロープを掴んだことで警告が与えられましたが、あれは判定に影響はないんですよね?
笹原 判定に影響があるのはイエローカードからです。RIZINのペナルティは「注意」「警告」「減点(イエローカード、レッドカード)」「失格」という設定で累積方式ではありません。反則の内容に応じてのペナルティなので一発でイエローカードもあるし、警告が続くこともある。ロープ掴みに関しては、セミファイナルの扇久保博正vs瀧澤謙太で瀧澤選手にもロープ掴みの警告が出ましたが、それが悪質とレフェリーが客観的に判断すれば一発でイエローカードが出ますし。今回の警告の場合は「判定には影響ない」というアナウンスもすれば、見るほうは混乱しなかったんじゃないかと思いますね。そこは改善点かと思います。
――イエローカードでもうひとつ。朴光哲vs白川陸斗のとき朴選手がインターバル中、自ら袋に入った氷と水を頭からかぶってしまい、マットが氷と水まみれになったということでイエローカードが出ました。あの試合は白川選手のKO勝ちでしたが、イエロー付きの朴選手は「アグレッシブネス」を取らないと判定負けになると。
笹原 はい。その通りです。イエローと「ジェネラルシップ」は20%ですから。
――タイトルマッチは5ラウンド制にすべきだ、みたいな声もありますけど、もしそうなった場合でもジャッジの仕組みは変えないんですか?
笹原 いや、5ラウンド制なら、いまの全体評価は無理があると思っています。ラウンドマストの10点法に変えたほうが良いでしょうね。
――5ラウンドでトータルマストだと、試合が長すぎて評価が難しいですよね。1ラウンドに起きたことなんて印象が薄れがちですし。
笹原 私の感覚では、トータルマストは15分がギリギリだと思います。
――判定の難しさでいえば、今回の未来vs斎藤よりも、昨年大晦日の浜崎朱加vsハム・ソヒ(判定1-2)、9月の矢地祐介vs大原樹理(判定1-2)のほうが難しかったんじゃないかなと。
笹原 そうですね。浜崎vsハムはハム選手の三角絞め以外は浜崎選手の完封でしたし、矢地vs大原はどっちもKO寸前に追い込んでいるんですよね。
――ハム選手の三角絞めは明らかに一本に近づいてましたが、関節・締め技はどこまで効いてるのかは打撃より判断しづらいですよね。
浜崎朱加vsハム・ソヒも判定が難しい試合だった
笹原 そういう意味ではグラップラーは受難の時代だと思います。打撃はもの凄くわかりやすいんですけど、同じモノサシで関節技を計らなきゃいけない。堀口選手が石渡選手を追い込んだシーンは見た目わかりやすいじゃないですか。関節技はどこまで追い込んだのかと言えるのか。アキレス腱固めを極めて「ギャー!!」と叫べばポイントになるのか。
笹原 そういう意味ではグラップラーは受難の時代だと思います。打撃はもの凄くわかりやすいんですけど、同じモノサシで関節技を計らなきゃいけない。堀口選手が石渡選手を追い込んだシーンは見た目わかりやすいじゃないですか。関節技はどこまで追い込んだのかと言えるのか。アキレス腱固めを極めて「ギャー!!」と叫べばポイントになるのか。
――藤原組長に極められても「極める場所が違うぞ」とアドバイスをした猪木さんはどう評価すればいいのか(笑)。
笹原 結局、極まっていないからタップしないわけじゃないですか。いまの世界的な判定の傾向でいえば、グラップラーは不利なのかなと思います。 言えるのは、どのような採点方法も百点満点の方法なんてなくて、ラウンドマストでやったとしても何かしら批判は出るでしょうし。実際にラウンドマストでもジャッジがバラバラにつける試合なんて枚挙にいとまがないですよね。
――試合後に検討会はあるんですか?
笹原 まず競技チームの方で検討会をやってもらって、RIZINに報告が入ります。その上で改めて映像を見ながら反省会をRIZIN事務局でやっていますね。
――いまのRIZINの判定基準だと、最後まで勝負がわからない面白さがある。
笹原 ラウンドマストだど1ラウンド&2ラウンドを取ったら、3ラウンドは流してもおかしくないですよね。
――1ラウンド&2ラウンドは僅差でA選手が取ったとして、3ラウンドはB選手が印象的なダウンを奪っても、判定では2-1でA選手になってモヤモヤするという。
笹原 そこはラウンドマストの弊害ですよね。僅差の10-9でも、明らかに差のある10-9でも、同じ10-9には変わりはないですから。審判の心理からすれば、1ラウンドごとにリセットできるラウンドマストの方がやりやすいん。だと思いますけど。
――UFCはパンチやキックのヒット数、テイクダウンをデータとして画面に提示していますね。
笹原 その手数にも精度というのがありますからね。テイクダウンは数字としては見やすいかもしれませんが、どこまで打撃が有効だったのか。ひとつの指針としてはわかりやすいですけど、手数だけ取り上げて「こっちのほうが多かったから勝ち」としても説得力がないときもあるでしょうし。
――「ダメージ」を重視していると言っても、目に見える顔のダメージじゃないですし。
笹原 そういう意味の「ダメージ」ではないですね。斎藤選手はパンチを食らってフラついたあとのリカバリーが上手でしたよね。「効いてないぞ!」とすぐに返していった。そこを含めて選手は戦っていると思います。リングサイドで見ていたボクの印象としては斎藤選手の判定勝ちなのかなと。でも、RIZINのマッチメーカーのチャーリー柏木は朝倉選手の判定勝ちだと。柏木さんはモニターでこの試合を見ていたんですよね。遠くから見ていたり、画面からだと、斎藤選手はパンチを効かされてフラついたんじゃないかという印象はあったかもしれません。
――MMAでもモニターのジャッジも必要なのかなって思ったんですけども、カメラ角度によっては判断しづらいシーンは出てくるという。こういう話をしても判定に納得しない人はいると思うんですけど、人によって見方は違うからジャッジは3人用意されているっていうことですね。
笹原 DEEPはジャッジが5人いますからね。
――あんまり選手が判定にぶつくさ言うもんだから、佐伯さんが「だったら5人にするわ!(怒)」と怒りの導入をしたという(笑)。
笹原 5人制の利点は「4-1」のときに「1」のジャッジがどこを見ていたのか?っていう反省点が浮き彫りになることですね。「2-1」だと「そういう見方もあるのかな」程度で済むじゃないですか。
――「1」になりたくないです(笑)。RIZINにはグラウンドやコーナーポストで膠着したらブレイクがかかりますが、今大会はブレイクが早かったですよね。
最終ラウンド、結果的に早めのブレイクが試合を動かしたといえる
笹原 ボクから見ても今回はブレイクが少し早かったかなという印象は受けました。いずれも許容範囲であるとは思っていますが、「ジャスト」ではなかったかもしれません。ブレイクは「展開がなくて、膠着を解く必要がある場合……」というのが基準じゃないですか。具体的に秒数が決まっているわけじゃないので同じ試合の中で同じシチュエーションであっても2Rの膠着と3Rの膠着ではブレイクまでのタイミングは異なることもあります。上を取っても何もしないということを繰り返す選手に対しては膠着ブレイクの判断は当然早くなるでしょうし、一概に何秒でブレイクなんていう比較はできないものです。あとは、直前の試合や前回のイベントが影響したりすることもあるんだと思います。どういうことといえば9月大会の瀧澤謙太vs金太郎の3ラウンド終盤、テイクダウンを巡る攻防で両者の動きが止まったままでしたよね。
――あー、たしかにブレイクでもおかしくなかったですね。
笹原 ボクも大会後に「なぜあの場面はブレイクを取らなかったんですか?」と競技チームに質問をしたんですよね。 それを受けての今回の大会だったので、いつもだと、あともう少しいタイミングを見る二歩三歩手前でブレイクしてしまったんじゃないかなと。反省が活かされるという意味では良いことですけど、まぁでも本当に「ジャスト」のタイミングは難しいですよね。
――ブレイクありの興行としてはそうやって微調整していくと。全体的にブレイクが早かったのに、朝倉選手を勝たせたいからブレイクしたに違いないって思っちゃう人がいるんですよね。
笹原 ルールに準じてやっているだけですけどね。レフェリーにそんなことを考えている余裕はないですよ。判定にしろレフェリングにしろ本当に難しいし、我々団体側と競技チームはコミュニュケーションを取りながら、目の前の問題に取り組んでいることはわかっていただきたいですね。日夜努力しているんですね。
――そうやっていろいろと騒ぎたくなるほど、朝倉未来vs斎藤裕が面白かったということではありますね。
笹原 恒例になっていますけど、本当にRIZINは面白い!
――出た!自画自賛!
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この続きと、斎藤裕、北尾vsテンタ、斎藤裕、所英男、西良典、スダリオ剛…などの12月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「15万字・記事21本の詰め合わせセット」はコチラ
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