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3年5ヵ月ぶりのRIZIN参戦となった所英男インタビュー! 五輪レスリング銀メダリスト相手にひさしぶりのMMAに臨む心境は?(聞き手・松下ミワ)


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――
今日のRIZIN記者会見を拝見していて、所選手がこういった大きな会見の場にいらっしゃるのが凄く感慨深かったです!

 いやあ、ボクも久しぶりだなと思いました。先日の大阪大会でカード発表があったので、「会見も出なくちゃいけないのかあ……」と思っていたんですけどね。

――
もう会見には出なくてもいいんじゃないかと?

 なんというか、正直あんまり話すことないんだけどなあという感じで。でも、よくよく考えたら大晦日の会見に出られることなんかないと思って、ちょっと気合入れてきました(笑)。

――
ハハハハハ。実際、出てみてどうでした?

 やっぱり、あんなフラッシュの光る中に立たせてもらったりして……いいっすよねえ(しみじみと)。あらためて「RIZINって凄いところだなあ」と思いました。

――会見では、「自分は堀口(恭司)戦以降、冷凍保存されていたような感覚で戦う」みたいな話もありましたけど、たしかに所選手ってビジュアルも含めて本当に変わらないですよね。

 いやいや全然。髪の毛とかも染めたりして、けっこう変わってますよ。

――
髪の色なんて前から変化が激しいじゃないですか(笑)。

 フフフフ。でも本当に堀口選手と試合をしたすぐあとに今回の試合があるような感じがして。「あのままの状態で試合するんだ!」と思ってますね。逆にそういうつもりじゃないと、いろいろ弱気になってしまう部分もあるので。

――
冷凍保存といえば、リング上のマイクも冷凍保存感があったような……。

 いやあ(苦笑)。あれは音の跳ね返りというんですか? あれが来ちゃったので、途中から自分が何を話しているかわからなくなっちゃって。「ボク、何しに大阪に行ったんだろう……」みたいな感じでちょっと反省しました。

――
そういうことだったんですね(笑)。今回、久しぶりにMMAの試合でしたが、オファーがきたときはどう感じました?

 やっぱり、オファーをいただけるのって凄くありがたい話で、3年半、総合格闘技をやっていない状態でとんでもないゴールデンルーキーというか、オリンピックのレスリング銀メダリストと戦えるというのは本当にありがたいですね。

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――
じつは、太田忍戦が決まる前も紆余曲折あったとうかがっていて。最初は、佐々木憂流迦選手と試合をすることが決まっていたそうですね。

 ああ、そうです。ほぼ決まりかけていましたね。もう憂流迦さん用の練習も始めていました。

――
それは、最後の最後で試合交渉が詰め切れていなかった状態だったんですか?

 いや、決まりかけてて、ボクもその試合をするつもりでいたので、契約書が送られてきていたらサインする予定でした。

――
でも、その契約書がまだ届いていなかった。

 そうですね。そういうタイミングでRIZINの方から連絡があって、「太田忍選手とどうですか?」と。

――それは凄いタイミングですね!

 ビックリですよね。候補の一人に入れてもらえたのかどうなのか、まあ詳しくはわからないですけど、太田忍さんとの話が来たので決めました。大阪大会で発表されたときも、バックステージにいた谷川(貞治・元K-1プロデューサー)さんに「これはボク好みのカードだよお!」と言われたので、「よっしゃ!」と思いました。

――
谷川さん好みというのは、つまりバリバリの大衆向けのカードということですよね。

 まあ、それは太田選手だからなんですけど、今回はそこに乗っからせてもらってます。

――
そもそも、最初に提案された憂流迦戦も、モチベーション自体は高かったという感じですよね?

 かなり高かったです。勝村(周一朗)さんと飲んでるときに、酔うとすぐ熱い話になっちゃうというか、まあ熱い話をしたいがために酔っているところもあるんですけど。

――
けっこう語るタイプなんですね(笑)。

 そういうときに、やっぱりもう自分が目標としている選手とは対戦できなさそうなので「どうしましょうか」という話をしていて。そしたら勝村さんが「憂流迦でしょ!」と。憂流迦さんは自分の名前を出してくれましたし、それによってボクが「まだこの世界にいていいんだ」という励みにもなったので。だから「やっぱり憂流迦さんですよね」と。なので、今回は対戦できなかったですけど、またどっかのタイミングでできたら面白いし、ありがたいなと思います。

――
名指しされるって存在確認じゃないですけど、やっぱりうれしいですよね。

 いや、本当に存在確認ですよ。本当にうれしかったです。

――
ただ、凄いタイミングで太田戦の話が入ってくるという。所選手って、本当に持ってますよね。

 いやあ、持っているというか、ホントに「タイミングがいい男」です。

――ハハハハハ! 自分で言いますか(笑)。

 いや、今回の件に関しては、自分でもビックリしています。でも、このチャンスを活かすも殺すも自分次第だと思うので、お互いに上がるような試合をしたいですね。

――そういう点では、所選手って全キャリアを通して本当に“持ってる”といいたくなるような対戦が多いですよね?

 なんかツイてるっすよねえ。HERO’Sに出られたのもレミギウス(・モリカビュチス)のおかげですし。

――
あれって、谷川さんと前田日明さんがレミギウスの視察にZSTに来たときに、対戦相手だった所選手も目に留まったという流れでしたよね。

 ホイス(・グレイシー)さんと対戦できたのも、まあ秋山(成勲)さんが腰をケガして出場できなくなったからで。なんというか、自分の人生、そういうところで変えてもらってますね。

――
あとは金子賢さんとの対戦だったり。

 ああ、金子さんもありましたねえ。いまやったら絶対に勝てないですよ。

――
ええ!?(笑)。 

 いやだって、いまの金子さんの身体、凄いですもん! あんな身体の人には勝てないです。

――
金子賢さんはボディビル方面で活躍されてるみたいですね。あとは、田村潔司さんとの対戦もありました。

 いやあ、それはもう本当に。もう、ありがとうございます!

――
「ありがとうございます」ですか(笑)。

 だって凄いっすよね。あんなことが経験できるなんて考えられないです。しかも、そのあとRIZINのエキシビションマッチで、田村さんとヴァンダレイ・シウバのタッグチームと、ボクと桜庭(和志)さんのタッグチームが対戦するという。これ、凄いですよ。田村さんの入場曲のあとにヴァンダレイ・シウバが入場して、そのあとなぜかボクが入場するという(笑)。

――
ハハハハハ! さらに桜庭選手の入場が続くわけですからね。金子賢さんや田村選手にしても、まずオファーが入るわけじゃないですか。そういうとき所さんってどう判断していたんですか?

 まあ、オイシイという言い方したら失礼ですけど、当時はずーっとオファーを断らずにやってきたつもりで、そういうときに特別なオファーがきたらテンション上がってましたよね。だって、ホイスさんなんて、そもそも触れることができるような相手じゃないというか。ボクなんか階級も違いますし。それが試合できるとなったときには……、あれはもう、ボクの人生の中で一番強かった日です。

――
たしかに神がかってましたねぇ。

 いま考えても「あれはボクじゃないな」と感じます。

――
それって、対戦するホイス側にとってもオイシイ試合である、ということは認識していたということですよね?

 まあ、「小さい相手にサクッと極めてやろう」と思ってたのかもしれないですよね。でも、だからこそきっと調整不足とかもあったと思うんですよ。それがボクにとってはいい方向に転がって、ああいう試合ができたのかもしれないです。

――
そういう注目されそうなカードを提案されるというのは、「所英男だったらやってくれる」という信頼があるからということですよね。

 でも、そういうチャンスを何度も与えていただいて、たとえばRIZINだったらクロン・グレイシー戦とか、堀口(恭司)戦とか、うまくいかなかったことのほうが多いと思いますね。ただ、なんとなくイメージで「よかった」と言っていただけるんでありがたいというか。それまでに「所英男といったらこの試合」というのも残せてこれたので、凄く幸せ者です。

――
逆に、色がついたカードを嫌がる選手もいるじゃないですか。田村さんやホイス戦にしても体重が違ったり。

 ああ~。でも、ボクはやっぱりリングスを観て育って、ZSTに上がっていたので、そう思う人とは感覚が違うんですかね。

――
そういうカードが舞い込んできたときは、もう脊髄反射というか。

 もう「よっしゃ!」ですよね(笑)。

――
ガッツポーズ(笑)。

 当時は、マネジメントの上原(譲・元ZST代表)さんと「よっしゃ!」でした。上原さんもプロレス好きだったので喜んでましたし。なんかやっぱり、自分の中でそういう世界に憧れもありますから。

――
見ている人を驚かせたい、みたいな。

 あとはやっぱり、谷川さんにも育てていただいて。やっぱり「ボク好みのカードだよ」と言っていただいたときは、「ああ、ボクはこの人に育ててもらえたのかな」と思いましたね。“テレビ格闘技”の視点というんですかね。そういう視点で育ててもらったんだなと。

――
そこはプロデュースする側と、ファイターの相互理解がないとうまく回らないですよね。
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