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恒例となっている笹原圭一広報のRIZIN振り返りインタビューです!(聞き手/ジャン斉藤) 


【1記事から購入できるバックナンバー】

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・矢地祐介の関節蹴りがサトシ・ソウザ爆発のトリガーとなった■水垣偉弥

・【1万字インタビュー】シュウ・ヒラタが「RIZIN大好きさん」とのバトルの内幕を激白!




――
笹原さん! このインタビューが載る頃にはRIZIN9月大会の概要も発表されてるはずですが……8月9日&11日のRIZIN2連戦を振り返ります。大会翌日に収録したのに掲載は9月1日という世界最遅企画です!

笹原 今回はコロナ禍の中での興行だったので、本当に手探りのことばかりでした。。でもおかげで、コロナやその対策についてはムチャクチャ詳しくなりましたよ。そのうち、朝のワイドショーにコロナ対策専門家で出られるかもしれない(笑)。 

――どうせだったら笹原圭一のモーニングショーを始めてくださいよ! コロナといえばPCR検査もそのひとつですよね。

笹原
  そうです。2大会の出場選手とセコンドは全員陰性だったんですけど、関係者にひとりだけ陽性反応が出たんです。事前にドクター陣とも「これだけの人数をPCR検査すれば、陽性反応者が出てもおかしくない」という話はしていたんですけど、例えば10人出たらどうするかとか、代わりの効かないようなスタッフから出たらどうするか、みたいなところまでは落とし込めていなかったんです。なので正直、出たときに考えるしかない、という感じでした。

――
陽性反応者のポジションによって対応は変わってきますよね。仮にセコンドだったら、その選手の試合を行なうかどうかも検討しなければいけませんし。

笹原
 今回の陽性反応者は幸運にも選手やセコンドでもなく、我々運営側と濃厚接触があった方ではなかったので、その方のみ除外してそのまま興行はやることにしました。でも、どのような発表の仕方をすればいいのかと。

――発表したとたん「興行なんかやってる場合か!」と騒ぎたがるのがSNS社会だったりしますからねぇ。

笹原
 やっぱりRIZINは注目度は高いですから、そういう声も当然あるだろうなと身構えていたんですよ。ただ隠すわけにもいかないですし、そこは現実をあるがままに伝えるしかないだろうと判断して、粛々と発表をしました。

――
ここ数ヵ月いろんなスポーツイベントを通して新型コロナウイルスを学習したということですよね。数ヵ月前だと対応の仕方がわからないというか、ボクなんて緊急事態宣言が発令された週に笹原さんから「RIZINラジオを収録するので六本木に来てください」と連絡があったときに奥さんと緊急ミーティングを開きましたからね。「RIZINラジオという業界にとくに影響のない企画に出演したがために感染したらどうするのか」と。

笹原
 斎藤家まで巻き込んじゃって、申し訳けないです。あんな雑談企画のために(笑)。 まあでもたしかに数ヵ月前にスタッフに感染者が出たとなったら「それでも興行をやるなんて血も涙もないイベントだ!」みたいに言われてもおかしくないですよね。現時点でも宝塚歌劇団やプロ野球、サッカーなんかは、出演者やスタッフに感染者が出たら中止にしている場合もありますし。

――プロレス団体のような連戦を伴う集団スポーツの場合は誰か陽性反応者が出たら興行そのものが運営危機に陥りますけど、格闘技の場合は不定期の単発イベントで試合前の接触はない。個人スポーツとしての捉え方になるじゃないですか。

笹原
 集団スポーツとは違って即中止のリスクは低くなりますけど、それでも免疫力の下がっている計量のときなんかは、ある程度、人が集まるじゃないですか。そういうところも気を配って、できるだけ密を避けるようにしておかないと、本当に恐ろしいですよね。

――
たとえば今回の朝倉海vs扇久保博正のメインイベントでどちらかに陽性反応が出たら、どういう判断を下したんですか?

笹原
 それはその試合だけ中止ですね。もうそうするしかないですよね。

――
カードがカードだけに代役を用意するのは厳しいですし……。

笹原
 検査結果をこれだけドキドキしながら待っていたのは大学受験以来ですよ(苦笑)。UFCみたいに選手をあれだけ抱えているなら、試合が飛んで。このストーリーがダメならじゃあこっちで、みたいに代替選手にしてもソフト戦略にしても融通が利きますよね。UFCとは企業やイベントとしての体力が圧倒的に違うので。 

――
UFCは格闘技というジャンルを越えて、世界のスポーツ界の中でもコロナに対する取り組みはズバ抜けてますよね。なにしろ島を借り切って格闘技専用にしちゃったり。

笹原
 いやぁ、ボクらが思いつくレベルって、猪木さんにお願いしてパラオのイノキ・アイランドを借りるくらいじゃないですか(笑)。

――
猪木さんがキューバのカストロ大統領からもらった島の近海には財宝船が沈んでるとか……って関係ないですよ!

笹原
 UFCが本当に羨ましい。でもコロナの中のイベントの作り方がスポーツの中で一番進んでいるのはUFC なのかもしれないですね。経済をもっと回そうというアメリカのトランプ大統領とある意味、利害が一致して、いろんな意見がある中でイベントを強行するかたちで再開しましたし。

――
あのときはトランプ大統領からビデオメッセージが届きましたからね。RIZIN2連戦に安倍首相がワンちゃんと戯れるビデオメッセージは送らないですよ(笑)。

笹原
 安倍首相から「格闘技を、取り戻す!」みたいなメッセージが届くって話ですからね(笑)。まあ、ウチもUFCほどではないですけど、やれることは相当やりましたよ。ここは意外と知られてないんですけど、1万人規模のアリーナで5000人を入れて開催されたスポーツはRIZINが初めてらしいんですよね。スポーツ庁の方も現場に視察に来ていたんですよ。

――
ほほう、スポーツ庁が。

笹原
 現場でRIZINのコロナ対策を見ていただいて「すごく気を使って、対策されていますね」という評価をいただきましたけど、お客さんは試合に興奮すれば思わず声は出すし、立ち上がっちゃうじゃないですか。その辺りの対策も徹底するように指導をいただきましたけどね。

――
まあ、8年連続Bクラスに嫌気が差している中日ドラゴンズのファンも、ビシエドがサヨナラホームランが打てば大歓声を挙げますからね(血反吐)。

笹原
 スポーツを見て興奮する気持ちは痛いほどわかるんですよ。今回コロナ対策でいろいろやりましたが、それは興行を盛り上げることとはイコールではない。今回は喫煙所がなかったり、休憩がなかったり……まあ、RIZINは休憩があったらあったで「長すぎる!」と批判されてるんですけど(笑)。

――
ガハハハハハハハハ! ちょうどいいRIZINがほしい(笑)。

笹原
 コロナの中で新しい格闘技興行のスタイルを作っていく……というよりは、新しいかたちを強いられるんじゃないかと思います。いずれ手枷足枷が外れる日は来るとは思うんですけどね。

――
来春にワクチンができるまでは耐えしのぐしかないのかと。RIZINが企画した「RIZIN活動継続クラウンドファンディング」は目標額の5000万円を突破して約6900万円に到達して。

笹原
  みなさんのおかげでなんとか目標額には達成しました。。私の甥っ子とか、うちのカミさんもクラファンするとか言い出してましたからね。もう感謝の言葉しかないです。

――次回大会もある……ということですけど、9月の大会が発表されなかったことにモヤモヤしてるファンも多いんです(後日9月27日さいたまスーパーアリーナの開催を発表)。

笹原
 おそらくこのインタビューが掲載される頃には発表されていると思うんですけど。

――
おそらく日曜日開催の地上波中継となると、TBSの高視聴率番組『半沢直樹』の裏にぶつかるかもしれないので回避する……というデマを流そうと思ってるんですけど。

笹原
 もし『半沢直樹』とぶつかっても倍返しにしてやりますよぉ!!!

――いや、RIZINの視聴率を倍にしても『半沢直樹』には届かないんですが……。

笹原 (無視して)発表が遅れてるのは現時点で押さえている大会場でいいのかなと。結局入場制限がかかって2万人の会場で5000人しか入れられないんだったら、たとえば1万人キャパで5000人を入れ00た方がいいんじゃないかとか、検討しているところです。単純に大きな会場の方が、会場費も、それに伴う制作費や演出費も高くなりますし。 

――
当初の予定では5000人上限が撤廃されるはずでしたね。

笹原
 そうなんですよ。そもそも今回の2連戦も当初はフルでお客さんを入れられるんじゃないか……と。8月の頭から5000人の上限が外れるという話がありましたからね。音楽イベントともかもそうですけど、大会場でたくさんお客さんを入れてイベントをやっているところは本当に厳しいと思います。

――
入場制限があるということでゲート収入が大幅に減るぶん、チケットやPPVの値段を上げざるをえない現実があるということですね。

笹原
 そこはファンに負担をかけてしまうわけですから、葛藤がありますよねぇ。ただ、いまのコロナの中では以前の金額設定では運営が成り立たない現状があることもたしかなんですね。

――最近のあらゆるエンタメの値段の付け方を見ると、コロナ価格になってますよね。なにしろ川田利明のオンライントークショーが3000円ですからね。まあ、コロナがなくても3000円なのかもしれないですけど(笑)。

笹原 ハハハハハハハ。それに比べてらRIZINのPPVは激安ですよ(笑)。コロナによってオンラインビジネスに注目が集まっていますよね。

――今回は外国人選手が呼べない中でのマッチメイクはかなり大変だったと思うんですけど。

笹原
 ああ、大変でした。今回なぜ2日間やったかといえば、1大会だけでは興行的に採算が合わない理由もあるんですね。簡単に言ってしまうと、2日間やって5000人+5000人を入れて1万人。それが1日だけの5000人になると、採算的にやらないほうがいいんじゃないかという話になっちゃうんですよ。

――つまり今回の2連戦を1大会で収めると収支が合わない。

笹原 なので当初は3日間という案もあったんです。

――RIZIN3days!!

1万字インタビューはまだまだ続く……

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