すっかり恒例となった笹原圭一広報によるRIZIN振り返りインタビュー!(聞き手/ジャン斉藤)
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――笹原さん! RIZIN.18が衝撃的すぎてもう言葉にならないです。いや、たっぷりと感想を喋るんですけども。
笹原 RIZIN.17でもたいがい自画自賛しましたけど(笹原圭一RIZIN広報が最高に面白かったRIZIN.17を自画自賛1万字で振り返る!)、今回は私の中の自画自賛リミッターを完全に外してお届けしたいと思います(笑)。
――よろしくお願いします! ただ、「堀口、敗れる!」のメインは大爆発でしたし、全体的に面白かったんですけど……PPVで見るかぎり、セミの浜崎朱加vsアム・ザ・ロケットまでは会場大爆発までもうひと押し……な雰囲気がありましたよね。
笹原 セミまでもいい試合が多くて面白かったんですけど、たしかに会場が大爆発する感じはなかったですよね。休憩のときにいつも観戦いただいている岸(博幸)先生から「今日、大丈夫なの?」って聞かれて、「先生、ここからですよ。後半に大爆発しますから!」と、なんの根拠もなく断言したんですよ。そうしたら笹原の予言どおりの結果ですよ。東スポも一面で「恐るべし!笹原の千里眼!」とかやってもいいくらいですよ!
――そんなたまたまな予言、北岡(悟)ちゃんが「ぬの~」「ぽてまよ」ってリプしてくる程度ですよ! 会場の温度感どんな感じだったんですか?
笹原 あのですね、名古屋は土地柄もあって、反応が薄めというか、あんまり騒がない県民性なんですよ。だから前半戦は、その県民性のまんまの感じだったんです。
――ははーん、名古屋を本拠地とする中日ドラゴンズが地元でもイマイチ盛り上がっていないのも県民性が理由なんですね。中日ファンとして安心しました!
笹原 中日ドラゴンズが盛り上がってないのはただ弱いからですよ! 面白いことがあっても喜びを表現することが苦手というか、控え目というか、だからよく“名古屋飛ばし”って言われるじゃないですか。
――イベントを東京や大阪ではやるけど、名古屋は飛ばしてやらない……ってやつですね。
笹原 でも、今回のRIZIN名古屋大会は始まる前から熱気が凄かったんですよ。去年の8月にも今回と同じ会場でやりましたけど、そのときは物販はイマイチだったんですよ。試合は盛り上がりましたけど、そこまで大爆発したわけじゃなかったんですね。今回は朝の10時から物販をやっていたんですけど、ファンの列が途切れることがなくて、メチャクチャ売れました!RIZINクッキーなんて、1時間くらいで売り切れですよ。なぜあのクソ暑い中でクッキーがバカ売れするんだ?って話ですよ(笑)。
――そこでRIZIN特製タピオカドリンクを売ればさらにウハウハだったのに! それはクッキーの魅力じゃなくて、明らかにRIZINの場力がアップしてるってことですよね。
笹原 カードも堀口選手と浜崎(朱加)選手のチャンピオンが揃い踏み。期待は大きかったと思いますし、だからこそこの結末に言葉を失なったファンは多かったんでしょうね。
――愛知でいえば、織田信長が今川義元を桶狭間の戦いで破ったとき以来のビッグアップセットですよね(笑)。
笹原 それくらいの歴史的アップセットだった、と(笑)。メインの前に那須川選手と話をしていたんですけど「堀口選手はもう相手がいないですよね?これからどうするんですか?」と言っていたんですよ。那須川選手もまさか堀口選手が負けるなんて1ミリも予想していなかったってことですからね。
――関係者も動揺して慌ててなかったですか? リング上でKO負け直後の堀口選手と朝倉選手を一緒に並べて記念撮影をさせて。あまり見かけない光景でしたが……。
笹原 ああ、あれは運営側の不手際です。なんであんなことになってしまったのか事情説明すると、よくUFCなんかでも大勝負の試合後は、負けた選手にインタビューをするじゃないですか。
――はいはい、よくやってますね。
笹原 堀口選手サイドにインタビューができるかどうか確認したら、ちょっと記憶が飛んでいたので取りやめることにしたんです。そのまま控室に帰ってもらえばいいのに、その場にいたスタッフが撮影ぐらいはしたほうがいいんじゃないか……って思い込んじゃったようです。あれは完全にこちら側の不手際だったので、堀口選手にあの後、謝罪しておきました。
――リング上の堀口選手は自分が置かれている状況がイマイチ掴めてなかったような表情でしたが、バックステージの様子はどんな感じだったんですか?
笹原 しばらく堀口選手の記憶は曖昧だったみたいです。以前マネル・ケイプ戦でバッティングをもらったときも、マネージャーから「恭司、さっきから同じこと言っているぞ」って言われているシーンがConfessionsでも流れていましたけど、今回も試合後のプレスインタビューが終わっているのに「次、インタビューですよね」ってスタッフに繰り返し聞いていたようです。よくある脳震盪の症状ではあるんですが、後日、病院で脳のMRI検査を受けて、異常はなかったので一安心しました。
――それはホッとしましたね。でも堀口選手がRIZINオフィシャルショップの1日店長をやると発表しただけで「RIZINは堀口恭司を休ませろ!」という声が飛んできますからね。堀口選手に在庫の仕入れから伝票整理までやらせるイメージを持たれてますよ(笑)。
笹原 さすがのRIZINでもそこまでエグいことは……いや、やってもらうおうかな(笑)。まぁでも、いろいろと検査を受けて体調に問題がないとのことで、1時間ほどファンと触れ合っていただく企画なんですけどね。やっぱりファンの皆さんもそれだけ堀口選手の体調を心配しているってことだと思うんですよ。堀口選手があんな風に倒されたところを見たことがなかったですし、想像すらしたことがなかった。日本に戻ってからは勝つ試合しか見てなかったですからね。 4年前のUFCでデメトリアス・ジョンソンで敗れた試合も最後は極められましたけど、殴られて倒れたわけじゃないですから。
――それだけにショックは大きいんでしょうね。
笹原 試合後にツイッターを見たら、堀口選手が負けたショックで「もう明日は仕事に行かない」みたい
な書き込みがたくさんあったじゃないですか。それだけ堀口選手に思い入れの深いファンがたくさんいるということですよね。
――いまの話を聞いて思い出したのは、PRIDEヘビー級GP開幕戦でミルコ・クロコップがケビン・ランデルマンに負けたときに、会場外で20代の女子がミルコタオルを頭から被って泣き崩れていたやつですね。あのとき「ああ、こんな若い子がこんなに思い詰めるなんて格闘技ってブームなんだな」って。
笹原 皆さんの反応を見て、あらためて堀口恭司という格闘家の存在の大きさを感じましたし、そこまで応援されるファイターとともにRIZINという舞台を作っていることを誇りにも感じました。堀口選手が勝ち続けているときは「堀口恭司、強え!すげぇ!」みたいな感じだと思うんですけど、今回の敗北を目の当たりにして、なんか彼の生き様というか、堀口恭司の人間性みたいなものが浮き彫りになっていますよね。おそらく今回の敗北を受けて「俺って、こんなに堀口恭司が好きだったんだ……」って気付かされたファンはすっごく多いと思いますよ。
――負けたことで終わるんじゃなくて、そこから生まれてくるドラマもありますよね。PRIDE時代も「負け」からドラマが動いていくことが多かったですし。
笹原 やっぱりPRIDEは高田(延彦)さんの負けから始まっていますからね。敗北からどんなドラマを紡ぐのか。格闘技の醍醐味はこれに尽きると思いますし、次戦に登場する堀口恭司って、会場の天井が抜けるくらいの声援が飛ぶでしょうね……。
――海選手との再戦はメチャクチャ楽しみですよ!
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