ボクシングとシュートボクシングでチャンピオンになった男が語る那須川天心vs亀田興毅。ボクシング日本ミドル級王座を9度防衛、その後K-1MAXに参戦し、シュートボクシングでは日本スーパーウェルター級王者となり、現在はプロレスの世界にもチャレンジしている鈴木悟インタビュー。打撃のスペシャリストは那須川天心とボクシングの接近をどう見てるのか?
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――メイウェザーvs那須川天心に『那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円』……最近は格闘技界とボクシングがクロスオーバーする機会が多いので、ボクシングやキックのどちらも経験豊富な鈴木悟さんにお話を伺います!
――お待たせしてすいません!(笑)。鈴木さんは那須川選手と接点はあったりしますか?
鈴木 接点はないですね。一方的に試合を見てるだけですが、那須川選手がボクシングに専念すれば世界チャンピオンになれる、というボクシング関係者は多いですね。
――そこはリップサービスも含まれてたり……「世界チャンピオンになれません!」とは言いづらいじゃないですか(笑)。
鈴木 いや、でも、その可能性は全然ありますよ。那須川選手はパンチがうまいんですが、キックの試合をやってるので、やっぱりキックボクサーのパンチなんですよ。キックがある中でのパンチの出し方。それは私がどっちもやってきたからわかるんですけど。それでも現段階であれだけの技術を持ってますので、これからボクシングのトレーニングをみっちりやったら、世界チャンピオンになれると思いますね。
――その那須川選手がメイウェザーとのエキシビジョンマッチで戦いましたが、鈴木さんはどういう試合になると思われてましたか? メイウェザーが真剣にやるかどうかという議論もありましたよね。
鈴木 まずこの試合は日本プロボクシング協会やコミッションが認可したものではないですし、私からするとボクシングマッチではないんですよね。「パンチで戦ってますよ」というだけのスパーリング対決。ボクシングというのは最低でも4ラウンド以上で戦って、ジャッジが3人いて、レフェリーがいて、ボクシングシューズを履いて戦うものなので。それ以外はボクシングを呼ばれるのは心外な部分があるんですね。
――つまりボクシングという競技の中で戦っていない、ということですね。
鈴木 そうなんです。でも、あのメイウェザーを連れてきちゃったことは本当に凄いです。拳を交わした那須川選手も凄い経験ですよね。
――それにあの劇的なフィニッシュですもんね。
鈴木 試合前はメイウェザーが3ラウンド流すのかな……って思ってたんですね。それだと面白くないんですけど、ああいう結果になって「まあ、でしょうねぇ」と。メイウェザーはいつもどおりの戦い方で、あの倒し方は得意のパターンなんですよ。左フックを引っ掛けて倒す。いままでも何度も見ているし、メイウェザーの得意なかたちですよね。でも、試合前の世間がメイウェザー相手に那須川選手がやれるんじゃないか……と思ってるのが、おこがましいというか、ちょっとメイウェザーはナメてるなと思ってて。
鈴木 メイウェザーはボクシングでも並のチャンピオンじゃないですからね。世界タイトルを持ってる誰もが敵わなかったボクサーなので、こういう結果になるのは当然だと思いますし、それは那須川選手がどうのじゃなくて、メイウェザーは特別なボクサーですからね。それに那須川選手はさっきも言ったとおり、キックボクサーの動きなので。その中でいくらパンチがうまいといってもメイウェザー相手には難しいですよね。私がキックで戦った中で、印象に残ってるパンチはマイク・ザンビディスくらいです。彼はボクシングでオリンピックのギリシャ代表候補になってるんですけど、それでも破壊力があるから「このパンチが当たったらマズイな」程度で。
――組みや蹴りがあるキックボクシングの中でのパンチの強さと、パンチだけに特化したボクシングのパンチでは大きく違ってくるということですね。
鈴木 はい、そのとおりです。
――那須川選手はAbemaTV『那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円』で、元WBA世界スーパーフライ級王者のテーパリット・ジョージム、アマチュアボクシングで経験豊富な藤崎美樹と戦いました。この試合はご覧になりましたか?
鈴木 はい、見ました。まず率直にあの企画は好きじゃないです(苦笑)。
――ハハハハハハハ。
鈴木 変な話、あのルールだと那須川選手がリスクを背負って相手を倒す意味がないじゃないですか。
――スパーに近いと。
鈴木 そうですね。試合のモチベーションではないわけですよ。今度は亀田興毅選手とやりますが、逆に亀田選手は自分の畑であるボクシングでやるのでモチベーション自体は高いと思うんですよ。凄くやりがいがあると思います。
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いい話で終わって良かった