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UFCで一時代を築いたジョルジョ・サンピエール(GSP)が引退を宣言! そのスパーリングパトーバートにしてプライベートでも付き合いの深い赤沢幸典(現地のあだ名はユキさんピエール)に、惜しまれつつオクタゴンを去るGSPの真の姿を語ってもらいました。GSPの人生哲学に痺れろ!


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――
赤沢さんはカナダのモントリオールで格闘技活動を行なってますが、どういう経緯でGSPのスパーリングパートナーを務めるようになったんですか?

赤沢 2012年11月にモントリオールでやった『UFC154』GSPvsカーロス・コンディットを日本から見に行ったのがきっかけですね。試合後に当時ジョルジュが所属していたトライスタージムを見学に行ったら、もの凄いメガジムで。日本のジムとはスケールが違ったし、ボクは身体が大きいので練習環境はこっちのほうが合ってるんじゃないかなと。格闘技をはじめて3ヵ月くらいで打撃もやったことなかったんですけど、やるんだったらメガジムでやってみようと。それでカナダに移ったんです。

――
おもいきりましたね!トライスターはGSP以外にも有名ファイターがたくさん集まってますよね。

赤沢
 ローリー・マクドナルドや、ちょっと前はクリス・ワイドマン、アンソニー・ペティスもいて。ボクがプロ練に参加しはじめたときにはロバート・ウィテカーもいましたね。ウィテカーはそのときUFCで連敗してたので「リリースされるのかなー」と思ってたら、いまやチャンピオンですから。途中からボクがトライスターの寮に入ったときに彼も住んでましたよ。トライスターの寮は10部屋くらいあったのかあ。

――
10部屋! 

赤沢
 ボクはその寮にタダで住まわせてもらってたんですけどね。最初はビギナークラスで1年くらい練習していたら、ヘッドコーチが「そんなに練習してるんならプロ練に参加しろよ」と声をかけられて。その頃はジョルジュとも挨拶する程度だったんですけど、全然尖った感じはなくフレンドリーで。ジョルジュも一般の方と普通に打ち込みとかしてましたからね。

――
赤沢さんもGSPと練習するようになったんですか?

赤沢
 ニック・ディアス戦が終わったあとだから2013年頃ですかね。ヘッドコーチから「ユキ、ジョルジュとやりなよ」って言われて。ジョルジュも試合明けの練習だから、軽い相手がちょうどよかったんでしょうね。でも、ボクからすれば爪痕を残したいぞという野望があって(笑)

――
なんとか印象づけたかったと。 

赤沢
 トライスターにはフルオクタゴンが1つあるんですけど、そこでスパーすることになって。最初のうちは「遊ばれてるのかな……」って感じだったんですけど、こっちが強く行ったら向こうも強く返してきて。ジョルジュが蹴りを出したときに不格好なタックルを合わせたら、たまたまバランスを崩してテイクダウンできちゃったんですよ(笑)。

――
おー!!

赤沢
 奇跡的にタイミングが合っちゃったんですよね。周りからも声が挙がって。そのスパーが終わってシャワーを浴びていたら、ジョルジュが声をかけてきて「さっきのテイクダウンは凄くいいよ。オマエは柔道をやってたんだろ。柔道とレスリングをミックスしたらよくなるかもしれない」って。

――
何事も研究対象なんですね。

赤沢
 どんな相手からも学びの姿勢がハンパじゃないんですよ。「あのテイクダウンはどうやったんだ?」って詳しく聞いてくるんですけど、たまたまで(笑)。そのあとご飯にも誘われちゃって。「用事があるんだったらいいよ」って言われて、バイトの予定があったんですけど、ジョルジュにランチを誘われるなんてバイトどころじゃないじゃないですか。

――
MMAの英雄とランチなんてめったにできるもんじゃないですね(笑)。

赤沢
 高級そうなフレンチレストランに連れていかれたんですよね。「誰か他にも来るのかな?」と思ったらジョルジュと2人きりで。そんなに親しいわけじゃないので、もの凄く緊張してたら、向こうから質問攻めにあって。「なんでカナダに来たのか?」とか家族構成からすべて。

――
インタビュアーGSP(笑)。

赤沢
 そこからジムの打ち込み相手をやるようになって、連絡先を交換して一緒に練習するようになるんですけど。トライスターで練習していると「一緒に写真を撮ってくれ」ってジョルジュに声をかけてくる人が多いんですよ。街を歩いていても絶対に声をかけられますし。

――
スーパースターですもんねぇ。

赤沢
 ジョルジュはフレンドリーな人間だから、ファンのことをウザいとは思わないんでしょうけど、やっぱり静かにしたいときもあるみたいで。本人はトライスター並のメガジムを持ってて、そこでも練習できるんですよね。

――
プライベート・メガジム!

赤沢
 そのプライベート・メガジムはカーロス・コンディット戦あたりで作ったみたいで、100メーターランできるぐらい大きいんですよね。

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GSPのプライベートジム。でかあああああああああああい!!

赤沢
 初動負荷のマシンもあるし、柔術用の畳スペースもあるし、フルオクタゴンがひとつあって。おまけにバーカウンターもあるんですよ(笑)。日本国内の格闘技ジムでも、この規模はないんじゃないかって。あとプールもあって、そこでアクア・エクササイズをやるんです。ジョルジュってウエイトはあまりやらないんですよ。その代わりに爆発力を鍛えるために水の中でエクササイズをやるんですよね。水の中って自分が本気を出せば出すほど負荷がかかってくるので、マックスで追い込むトレーニングとして最高で。ジョルジュと毎週月曜日は必ずそのアクア・エクササイズをやっていて。

――
そういえばGSPの肉体って水泳選手のような美しさですね。

赤沢
 泳ぎもうまいですよ。25メートルぐらいだったら息継ぎなしで泳いじゃいますし。ボクもそのプライベートジムで練習するようになって。

――
「チームGSP」の一員ですね。

赤沢
 そうですね。ボクの兄貴分という感じで、試合用品とかスポンサーから提供された新品の私服をもらったり、なんでもしてくれます。過去にジョルジュがボクのことをRIZINに紹介するってことで、わざわざビデオレターを作って。プライベートアドレスからRIZIN事務局に送ったんですよ。返事はなかったんですけど(笑)。

――
RIZINがイタズラメール扱いしている可能性が高いですね(笑)。いやあ、思った以上に親密な関係なんですね。

赤沢
 GSPと仲がいいとかは、自慢してるみたいで大きな声では言いたくないんですけどね(苦笑)。 

――
赤沢さんがGSPと親しくなったのは、彼の現役末期じゃないですか。ジョニー・ヘンドリックス戦後の4年間は試合から遠ざかってましたけど、どんなモチベーションだったんですか? 

赤沢 それがずっと情緒不安定だったんですよね。情緒不安定というか、なんだろう……毎日のように誰かしらに聞かれてたんでしょうね。「いつ戻ってくるの?」「もう引退するの?」とか。

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