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「最後にせめて失神くらいはしたかったよね」 ……不運大王イアン・マッコール、無念の引退

2018/06/02 11:01 投稿

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Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム「MMA Unleashed」――今回のテーマは「最後にせめて失神くらいはしたかったよね」……不運大王イアン・マッコール、無念の引退です!








元Tachi Palace Fightsフライ級王者、UFCフライ級トップコンテンダー、そしてRIZINファイターのイアン・マッコール(33)が米国時間5月21日、ネット番組MMA Hourに出演し、MMAからの引退を発表した。16年間のキャリアで、戦績は13勝7敗1分けだった。 

日本のファンにとってマッコールは、“UFCトップファイター直輸入”との鳴り物で、堀口恭司のライバル、バンタム級の黒船として迎え入れた本格派のはずだった。サルバトール・ダリを彷彿(ほうふつ)とさせるピンと跳ね上がったヒゲをたくわえ、アンクル・クリーピー(きもいおじさん)というふざけたニックネームでふてぶてしく登場したマッコールだったが、初戦のマネル・ケイプ戦(2017年12月29日、RIZINバンタム級トーナメント2回戦)では、ロープで額をカットするという見たこともないアクシデントでドクターストップ負け。そして今年5月6日RIZIN.10での堀口戦では、実力を発揮する暇もないままわずか9秒で、自身キャリア初めてのノックアウト負けを喫してしまった。強い・弱い以前に、ひたすら悲運のファイターとして、逆に強い印象を残したのだった。

MMA Hourでマッコールは、肉体的にはまだまだできるとしつつ、「状況を変えることで、運を変えたいんだ」と語っている。文字通り、運が悪すぎるから引退する、と言っているのである。RIZINでのマッコールは確かに不運だった。ではUFC時代はどうだったのだろうか。

2011年の暮れ、UFCは男子フライ級の創設を発表した。そして、マッコール、デミトリアス・ジョンソン、ジョセフ・ベナビデス、漆谷康宏の4名によるミニトーナメントを開催し、初代王者を決定する運びとなった。

マッコールは2012年3月3日、トーナメント1回戦でジョンソンと戦った。これがマッコールのUFCデビュー戦であり、かつ記念すべきUFC初のフライ級戦であった。試合は第3ラウンドにマッコールが猛攻をみせたものの、判定にもつれ込み、ジョンソンのマジョリティ・ディシジョン勝ちが宣告された。マッコール優位に熱狂していた場内の観客はこの判定に激怒、大ブーイングに「ブルシット」コールが飛び交う騒然とした状況となったのだった。ところが大会後、スコアカードに計算間違いがあったことが分かり、正しい判定は三者三様のドローであったことが判明したのである。トーナメント戦特別ルールで、ドローの場合はサドンデスの延長戦が行われるはずだったが、計算間違いが発覚したころにはすでに観客は帰宅し、会場設営も解かれていたため、その日のうちに延長戦を行うことはできなかった。

両選手は3か月後に仕切り直しの再戦を行ったが、ここではジョンソンがきっちりと勝利を収めている。ジョンソンはマッコールと引き分けて以来、現在に至るまで、一度も負けていない。マッコールから見れば、不運のつき初めとしか言いようのない、確かに奇妙な出来事であった。 

ジョンソンとのリマッチで負けた後、2013年から2017年までの5年間でマッコールはUFCでわずか4試合しか戦うことができなかった。というのも、次のようなさまざまな理由で試合が9回もキャンセルされたからだ。


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