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笹原圭一RIZIN広報の大晦日総括と新年大展望「間違いなく賛否両論が巻き起こる隠し玉があります」

2018/01/16 17:04 投稿

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恒例となった笹原圭一広報のRIZIN総括インタビュー! あんなことやこんなことがあったRIZIN年末や今年の展望――男子GPはやらない? 女子GPはこの階級?……などなどを13000字のロングインタビューでたっぷりと振り返ります!(聞き手/ジャン斉藤)




浅倉カンナ“初代女王”インタビュー「MMAとの出会いが人生を救ってくれました……」




笹原 今回の大晦日も疲れました……。

――おつかれさまです!(笑)。笹原さんは初の大晦日興行が行なわれた2000年からずっと携わってますけど、一度だけ大晦日に何もやらなかった年があったじゃないですか。

笹原 2013年の大晦日ですよね。

――はい。翌年の2014年は、佐伯さんがさいたまスーパーアリーナでDEEPでやりましたけど。

笹原 あのときのDEEPは会場まで見に行ったんですが、2013年だけですよ、何もなかったのは。その“何もない年末”を凄く楽しみにしてたんです。「昼間っから酒を飲んで、こたつに寝っ転がって紅白観て……ってどんなに素晴らしい年末なんだろうな……(ニヤニヤ)」って。

――興行があるときは準備だなんだで11月中からずっと忙しいわけですもんね。

笹原 でも……“何もない年末”は、クソつまらなかったですね。

――年末がかわいそうな言い方!(笑)。

笹原 テレビもすぐに飽きちゃったし、何もやることがなくて。2015年にRIZINを立ち上げるときに社長(榊原信行)に「年末は何かやってないと面白くないです!」と言った記憶があります。

――それは年末に仕事をしてないと刺激がないのか、普通に年末を過ごすのがつまらないのか、どっちなんですか?

笹原 どっちもですけど、年末のイベントはずっとやり続けてきたことですし、大晦日は格闘技にとってシーズンピークじゃないですか。なかなかカードが決まらなかったり、「マジかよ!?」みたいなことが起こったりするんですけど、格闘技にとって一番のお祭りがないってことがつまらないんでしょうね。

――大筋は変らないと思いますけど、今回はいままでの大晦日と何か違った点は何かありましたか?

笹原 やっていることは変わってないですけどね。変わってないけど、自分の年齢は重ねてますから。体力的にシンドいですねぇ。

――老化は止めようがないと(笑)。

笹原 だって初めてやったのが18年前ですよ。その頃は永久電池くらい無限に働くことができましたけど、もうねぇ、動きませんよ。猪木さんが最近元気がない理由がようやくわかった気がします(笑)。

――笹原さんのやっている仕事って多岐にわたるから、何が大変か理解できない人も多いんじゃないかなって。

笹原 そこなんですよ、Dropkickにもっとアピールしてほしいところは!

――ハハハハハハハ!

笹原 ボクの名刺には単に「広報」という肩書きが入っているだけなんですけど、じつは広報業務はそこまでやってないんですよね。もっと地味なことやったり、時にはもっとえらそうなことをやったりしてるんですよ。

――笹原さんの仕事は「もっとえらそうこと」(笑)。

笹原 なので初めての人と名刺交換するじゃないですか。そうすると相手がたまに「ただの広報という肩書きなのに、なんでこいつはこんな偉そうなんだ?」みたいな顔をされることがあるんですよ(笑)。かと思うと、イスや荷物を運んだり、使いっ走りみたいに走り回ったりもしているので、あまり面識のない人たちからは、たぶん気味悪がられていると思います(笑)。

――おおまかにいうと、イベント全体の統括だったりするわけですよね。

笹原 MMAファイターが柔術、キック、レスリングといろいろとやらなきゃならないことがあるのと同じなんです。イベント制作、放送、券売、グッズ販売、競技、選手交渉…あとは格闘技EXPOもありますし、事前に準備したり、発注や指示したりすることが山ほどある。Dropkickの原稿チェックなんかしてる場合じゃないんですよ!

――ハハハハハハハ! 新年早々すいません(笑)。

笹原 いや、原稿チェックはもちろん大事な仕事なんですけどね。こないだも某選手があるメディアから取材を受けたんです。取材があることはRIZINにとっても喜ばしいことなんですが、内容をチェックもしないまま掲載されそうになりまして。大慌てで誤解されそうな部分を修正しました(笑)。

――そういえば、PRIDE時代から残っているスタッフってあまりいないですよね……。

笹原 なかなか残らないんですよねぇ。イベント運営って経験が物を言いますから、イベント全体を把握している人って少ないんです。なので全体を俯瞰して全て見えている社長からすると、「なぜあれができてないんだ」とか「ここをもっとこうすればいいだろ」みたいなことはたっくさんあると思います。で、「笹原、あれはどうなってるんだ」と、仕事が無限ループしていくわけです(笑)。

――そこに格闘技の知識、業界の常識も身につけてないといけない。ちょっと特殊職業すぎますね。

笹原 誰も褒めてくれないから大きな声で言いますが、じつはなかなか大切な人材なんですよぉ! 

――“第2の笹原さん”を目指したい方はぜひRIZINに入社して、業界を背負っていただきたいですね(笑)。

笹原 いつでもボクの仕事を譲ります! でも、なかなか次の世代が育ってなくて……。

――RIZINを立ち上げたときに笹原さんは「もう若くないから次の世代の人間が……」って言ってましたね。

笹原 ああ、言ってましたね。いつになっても現れないから、PRIDEのときより働いてますよ!

――ハハハハハハハハ! ファイターのほうは世代交代がうまくいってることもあって、今回は大晦日史上最高の内容になりましたね。

笹原 ありがとうございます! 内容的には大成功だと思いますね。ホントに素晴らしかった。

――「大晦日史上最高」と絶賛しながら、最初はギャビ・ガルシアの計量大オーバーの話から……。

笹原 まずズンドコから始まったんですよねぇ、今回は(苦笑)。

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――
12.7キロオーバーって前代未聞ですよね。事前に異変は察知できなかったんですか?

笹原 これは別にギャビだけじゃなくて、こちらは計量が厳しそうな選手は事前に気にしているんですよ。で、こまめに報告を受けるようにしているんです。ギャビについては、前日だか前々日の段階で「あと6キロくらい」って聞いていたんですよ。

――それは全然順調ってことですよね。

笹原 そうです。彼女のサイズを考えれば最後に水抜きしてきっちり落ちるくらいの感じです。おまけに今回の95キロという契約体重は、前の試合と同じだったので、そこまで厳しい設定ではなかったはずなんですけど……蓋を開けてみたら12.7キロオーバーという、聞いたことのないくらいの超過だったと。

――もともと2人には体重差があるんだから契約体重には意味がない……なんて声もありましたが、減量してもらうこと自体に神取さんはメリットがあるわけですし。

笹原 ギャビがどれだけ減量で苦しむかは、神取さんにとって当然プラスになりますからね。どうしてこんな大失敗をしてしまったかといえば、ギャビってメンタルが弱い……というレベルじゃないくらいコミュニケーションが上手に取れない人なんですね。小さい頃から身体が人並み外れて大きいことを理由にイジメに遭って、柔術に出会って自分を表現できるようになったんですけど、それでも何か大きな不安を抱えているんじゃないかって思うんです。  

――ギャビからは偏ったRIZIN愛を感じるときがありますね。

笹原 RIZINは初めてプロ契約をしたイベントなので、当然思い入れは大きいと思います。ボクらもギャビには頑張ってもらいたい気持ちはありますけど、まずビジネスとしてお互いに守らないといけない約束ってあるじゃないですか。その信頼関係を作り直さないといけないですよね。

――減量失敗はよくあることなんですが、その後のギャビの言動が凄く危なっかしいんですよね。プロとしての自覚がちょっと薄いというか……。

笹原 いきなりワッと注目を浴びたことで自分の存在を肯定されたんでしょうけど、プロとしての振る舞いはボクらも教えられてなかったし、自分で学ばなきゃいけないところもあります。たとえばマイクや入場がやたら長かったりするじゃないですか。そこもプロとしてちょっとズレてるし、これから学んでいくことなんだと思いますね。まぁでも、今回の体重超過の責任は、最終的には当然プロモーターである我々の管理ミスということです。これは真摯に反省しています。

――テレビ的には目玉カードでしたから、カード中止は大変だったんじゃないですか?

笹原 ですね。テレビ的には間違いなく必要なカードでしたから。

――ネットでMMA情報をチェックしてる層だと神取vsギャビはやろうがやるまいがどうでもいいですけど、テレビでは価値がガラリと変わるという。

笹原 MMAというスポーツや競技という観点から言えば、このカードは体重差や年齢差もあるし、やるべきではないという意見はごもっともだと思います。でも、そういう正論だけでは、世間は振り向いてくれないんですよ。まぁ、この話を始めるとキリがないのでやめときますけど(笑)。

――それこそ18年前からずっと繰り返し議論されていますね(笑)。3度目の正直じゃないですけど、今年の大晦日には……。 

笹原 このまま毎回実現しないパターンで、5年くらい引っ張るかもしれません(笑)。

――そんなドタバタから始まりましたけど、バンタム級GPが両日ともに大爆発しました。

笹原 試合内容とトーナメントという仕組みであそこまで見せられたことはホントに大きかったですね。このバンタム級GPは堀口恭司という存在がいることから始まったんですが、出場選手が並んだときは正直ちょっと地味かなって思っていたんですけど……選手全員に「正直スマンかった!」と謝りたい!(笑)

――ヴァー!!(笑)。いや、じつはボクもちょっと雲行きが怪しいかなと思ってました。川尻(達也)選手がバンタム級GP査定試合で負けたり、ほかの選手も1回戦で大きなインパクトを残せていなかったりしたので……。

笹原 MMAファンからすれば楽しみで仕方ない企画だと思うんですよね。でも、堀口選手が優勝できるかどうか以外のテーマが作れていなかった。ところが29日の4試合すべてが凄まじかったことで、選手のキャラが一気に届いて、それまでのストーリーも浮き彫りになったってことですよね。

――たとえばRIZINでいきなり堀口恭司vs石渡伸太郎の再戦をやってもここまでの盛り上がりはなかったかもしれませんが、GPを通したことでさらに味わい深く楽しめたってことですよね。

笹原 石渡選手の色気というか、「ザ・漢!」という感じも伝わりましたし、なにより大塚(隆史)選手が勝ち残ったことが凄く大きいと思うんですよね。彼が陰のMVPですよ!

――ああ、凄くよくわかります! アメコミはそこまで詳しくなくても、アベンジャーズやジャスティンリーグでヒーローたちが続々と集結する楽しさってわかるじゃないですか。大塚選手が割って入ってきたことで役者が徐々に揃ってくる快感がありましたね。

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笹原 じつは運営本部が一番盛り上がったのは、大塚選手がカリッド・タハから一本勝ちした試合なんですよ。「えっ、マジかよ!」って、スタッフのあいだからドヨメキが起こりましたから(笑)。私も試合後に思わず本人に「大塚くんが勝つと思わなかったよ!」って言っちゃって、本人が苦笑いしていたくらいですから(笑)。

――興奮のあまりとんでもなく失礼なことを言ってますよ!(笑)。

笹原 それくらいあの勝利は大きかった!


・「2018年は男子GPはやらないかもしれませんが、それに代わる隠し玉があります」
・レフェリーのナイスジャッジ〜堀口恭司vsケイプのバッティング〜
・那須川天心の衝撃マイク「ボクの試合、生なんですよね(ニヤリ)」
・帰ってきた五味隆典
・今年の女子GPの階級は……13000字インタビューはまだまだ続く!


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