向かって左がシュウ・ヒラタさん。インヴィクタで勝利した魅津希選手と勝利の記念撮影
©Invicta Fighting Championship
多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるDropkickニコ生配信コーナー。深くてタメになるトークを活字でもお届けします!(6月に配信された一部を書き起こしたものです)。
――シュウさんがマネジメントしている佐々木憂流迦選手、井上直樹選手がUFCシンガポール大会で揃って勝利を収めました。シュウさんのブログによれば、井上選手の対戦相手の計量オーバーでドタバタしていたようですね。
シュウ そうなんですよ。平気で体重オーバーしてくるので辟易してたんですけども(笑)。ぶっちゃけ今回の相手は直樹くんが9割方勝てると思ってたんですね。映像チェックしたりして相手を選びましたので。
――UFCが契約したわりには微妙な戦績でしたね。
シュウ フィリピンではかなり有名な選手なんですよ、彼は。世間一般でも知られているんです。いまフィリピンではUFCの人気が高いので、フィリピン人選手を入れてほしいというテレビ局のリクエストがあったみたいですね。だから今回欠場した選手の代役もフィリピン人だったんです。いまのUFCは必ずしも強い選手と契約するというわけじゃないんですよね。
――興行的な事情があったんですね。
シュウ じつは計量オーバーはなんとなく予想はできてたんですね。彼は打撃で展開を作れなかったら、レスリングもやっているからタックルで倒して上に乗って固めるというタイプなんですよ。だから体重が重いほうが有利だと思ってたはずなんです。
――ザ・確信犯ですか(笑)。
シュウ ボクはそうだと思ってるんですよ(笑)。
――それに井上選手は今回デビュー戦だからキャンセルしてこないだろう、と。
シュウ 直樹くんが所属する白心会の山口(定則)会長は「試合をしないという選択肢はない」と言ってたんです。なのでUFCのマッチメイカーには「この試合は受けるけど、もしも井上選手が負けたとしても、UFC内部で負けとみなすな」という確約を取ったんですよ。次の試合で負けて2連敗とされるのはマズイじゃないですか。
――外堀から埋めていったんですね。
シュウ あとは、こちらが納得できるだけのペナルティを相手に与えるしかないですよね。井上選手は計量パスはしてますから、試合をしなくてもファイトマネーはもらえるんです。でも、ウィンボーナスやパフォーマンス・オブ・ザ・ナイト獲得の機会を失うことになったら、とんでもない損失ですよね。
――相手はファイトマネー30パーセントのカットにゴネたんですよね。
シュウ 相手選手の生活状況も調べたんですよ。もしメチャクチャお金持ちだったら「そこまでカットされるなら試合をやらない」となる。でも、向こうは娘さんが病気でお金に困ってるので、どんな条件でもやると思ったので。やっぱり情報収集しないと交渉できないですから。
――UFCデビュー戦でお金に困ってるのに体重をコントロールしてこないなって……これがもし日本人選手の失態だったらガッカリしますねぇ。
シュウ メチャクチャ批判されるでしょう。フィリピン方面の記事を確認したんですけど、まあ都合のいいことを書いてるんですよ。体重オーバーのこと書かずに「負けたかもしれないが彼はUFCでサバイバルできるハートがあることが証明された」とか書いてあって(笑)。
――報道しない自由、発動(笑)。
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