Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回のテーマは……久々に爆発! 好試合満載のUFC 211を振り返る!!




日本時間5月14日(日)に開催されたUFC 211は、スター選手の不出場・意味のわかりにくい暫定タイトルマッチ・薄味のマッチメイク・相次ぐ大会キャンセルなど、まるで新体制下の産みの苦しみを味わっていたかのように切れ味を鈍らせていた今年上半期のUFCが、ようやく深い眠りから覚醒したかのような、豪華で充実した大会となった。

UFC 211の前日に行われた『サマーキックオフ・プレスカンファレンス』でも、ジミー・スヌーカ風に着飾ったケビン・リーがマイケル・キエザに殴りかかったり、バックステージではダニエル・コーミエがジョン・ジョーンズにペットボトルを投げつけるなど、こちらも猥雑(わいざつ)で不謹慎でエキサイティングなUFCが戻ってきたかのようで非常に楽しめるものだった。

今回はUFC 211の主な試合を、海外での報道内容も織り交ぜながら振り返ってみたい。

●スティペ・ミオシッチ def. ジュニオール・ドスサントス(1R2分22秒 TKO)

ヘビー級実力者同士の2年半ぶりの再戦。前回はドスサントスがミオシッチをどうにかこうにか判定勝ちに丸め込んだ。その後負け知らずでチャンピオンにまで登り詰めたミオシッチと、ケガも多く年1試合ペースがやっとのドスサントスの間に、実力の逆転が起きているのではないかとは予想されたが、それでも1発入れば試合が終わるヘビー級の試合であるから予断を許さない。

試合開始早々から、ミオシッチのスピードと手数がドスサントスを圧倒する。ミオシッチが、何だこんなものかと高をくくって、いささか不用心に攻め込んでいるように見えるほどである。そこがまさにベテランのドスサントスがまいているエサなのではないか、何か秘策やワナを懐から取り出してみせるのではないかと用心深く見ていたのだけれど、結局逆転劇は起きることなく、ミオシッチがドスサントスがそのままあっさりと寄り切ってしまった。リマッチというのは、時の流れや勢いの差をとても忠実に反映するものだと本当に思う。筆者の記憶の範囲では、リマッチで時の流れに逆らうような結果が出たことはほとんどない。

ちなみに、つい“ベテランのドスサントス”と書いてしまったが、ドスサントスは現在33歳、一方のミオシッチは現在34歳である。元々野球選手になりたかったというミオシッチ、MMAデビューは27歳の時だったのだ。

ミオシッチはこれで、アンドレイ・アルロフスキー、ファブリシオ・ヴェウドゥム、アリスター・オーフレイム、ドスサントスという強豪を4人連続で1ラウンド・ノックアウトしたことになる。現状では向かうところ敵なしというよりほかない。

試合後のミオシッチは次戦については特にコメントをせず、「時間を取ってじっくり考えてみたい」と語った。何をじっくり考えるのかと問われても、同じ答えを繰り返すばかりで詳しいことは話さなかった。ミオシッチは、UFC 203(2016年9月)でオーフレイムをKOした際、オーフレイムの方がファイトマネーが高かったことをうけて、「フェアではない。改めてもらわなければならない。ないがしろにされたような気分だ。私は契約を見直そうと交渉を試みているが、UFCは見直してくれない。どうやら彼らは私の寛大さを弱さだと思っているようだ。再交渉は現時点では話がグチャグチャになって放置されている」などと珍しく怒りをあらわに語っていたこともあるので、そのことと関係があるのかもしれない。


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