多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるDropkickニコ生配信コーナー。深くてタメになるトークを活字でもお届けします! 今回お送りするテーマは「UFCフィリピン大会電撃中止の真相」「BJペンの代役に川尻達也が?」「ジョゼ・アルドのUFC離脱騒動」です!(10月に配信された一部を書き起こしたものです)。
――ヒラタさん! 10月15日の予定されていたUFCフィリピン大会が開催1週間前に中止になってしまいました。この緊急決断の理由としてメインイベントのBJペンが負傷欠場としたことが挙げられてますが、業界内ではフィリピンの過激な麻薬撲滅運動の影響もあるんじゃないかと囁かれていますね。
シュウ こういう大騒動になったから言うわけじゃないですが、以前から私はUFCに忠告していたんですよ。
――いまのフィリピンはヤバイですよと?
シュウ はい。今年の6月30日付けでフィリピンはドゥテルテ大統領に変わったじゃないですか。そのあとの7月30日にWSOF-GCがマニラ大会をやったんですけど、そのおかげで7月1日以降はメディカルの申請なんかがどうなるのかわからなかったんです。
――でも、WSOF-GCはその前から動いてたんですよね。
シュウ 5月6月頃からフィリピン政府に通じている弁護士にいろいろと動いてもらってたんですけど、「7月になったら大統領が新しくなるから俺のパイプはなくなる。新しいパイプを探してくれ」と。
――えええ!?(笑)。
シュウ フィリピンというのは面白い国で昔から大統領が変わるとルールもドラスティックに変わるんです。なので7月以降はどうなるのかわからなかったんですよね。
――普通だったら政権が変わろうがシステムは引き継ぎますよね。そうしないと混乱を招くだけですし……。
シュウ フィリピンは違うみたいです(笑)。WSOF-GCが新しい政権から何を命じられたかといえば、血液検査、心電図検査、レントゲン検査、そしてドラッグテストをやりなさいと。
――ドゥテルテ大統領は麻薬撲滅運動に力を入れていて、麻薬組織関係者が1000人以上も殺害されています。裁判を通さないで射殺するケースも多いことから国際社会から非難を浴びていて。
シュウ まあ選手は当然受けるべき検査なんですけど、どういうわけかセコンドも全員検査を受けなきゃいけなかったんですよ。
――セコンドも!(笑)。
シュウ セコンドがなぜ心電図検査は受けなきゃいけいのか(笑)。「アホみたいな話だよね」と言いつつ従ったんですけど、こんなことがあったので10月のUFCも何を言ってくるかわからないぞ、と。そういう現場を経験していないUFC関係者は「まあ大丈夫でしょ〜」という呑気な感じだったんですよね。
――温度差があったんですねぇ。
シュウ WSOF-GCのときはセコンドまでのチェックだったけど、UFCのときは解説者やバックステージの人間にもやれと言い出す可能性が高いと予測してたんです。なぜかというとフィリピンの麻薬撲滅運動がどんどんと過激になってるじゃないですか。我々の現場ジョークで「解説者のジョー・ローガンはフィリピン大会は実況できないね」なんてのがあったんです。これは公になってますけど、ジョー・ローガンはエディ・ブラボーと一緒に大麻を吸っている動画が普通にネットで流れてますから(笑)。
――フィリピンでは完全にアウトですね(笑)。
シュウ 検査結果次第で強制送還や拘束されかねない。新しい大統領にはすべてを変える力があるわけですから。そしてここにきてフィリピンに入国するUFC関係者は全員ドラッグテストをしろという話になったわけですからね。セコンドどころじゃない。
――関係者全員!
シュウ あの大統領の政策を見ると、これはサプライズではないですよね。彼らの視点からすれば、ドラッグが大きな問題になってるアメリカという国の中でも、ラスベガスというパーティータウンからやってくるわけですから。
――ネイト・ディアスは試合後にマリファナを堂々と吸ってましたし(笑)。
シュウ フィリピンでそんなことやったら死刑ですよ!(笑)。これはUFCというか欧米企業全般に言えることですけど、第三諸国やアジアの文化を甘く見てるんじゃないかなって。
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