事情通Zがプロレス業界のあらゆる情報を線に繋げて立体的に見せるコーナー「プロレス 点と線」。今回はアイスリボン10周年興行に電撃参戦した、創始者さくらえみの点と線です!




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――アイスリボン10周年記念大会に同団体創始者さくらえみ選手が電撃参戦しましたが、その参戦経緯を含めて刺激的で興味深い流れがあったそうですね。

事情通Z いやあ、急展開も急展開で凄かったですね。まず、さくら選手とアイスリボンの関係から説明すると、アイスリボンはさくら選手が2006年に作ったプロレス団体。いや、団体というよりは、mixi発のプロレスサークル。最初はリングではなくマットを使用していたし、プロレス団体旗揚げという発進ではなかった。

――mixi発というのが時代を感じさせますね(笑)。

 mixi発プロレスサークルとして小規模ながらだんだんと話題になり、人気を集めていったことで、プロレス団体になっていくんだけど。ネオプラスという映像制作会社が運営母体についたことが大きい。道場兼試合会場ができて、定期的に興行をやるようになった。

――そんな中、突然さくら選手は退団しますよね。

 スタートから6年目の2012年1月に退団。さくら選手の教え子たちも後を追うようにやめていった。そして、さくら選手は退団以降、一度もアイスのリングには上がっていない。

――いったい何があったんですか?

 直接的な原因をさくら選手は口にしてないですけど、さくら選手としては仲間内でやっていたアイスが、ちゃんとしたプロレス団体になっていったことでズレが出てきたと思うんですね。

――方向性の違いってやつですね。

 さくら選手がいまやってる我闘雲舞を見ると、やりたことはああいうサークル的なものだと思うから、運営母体のネオプラスと相譲れないものがあったんじゃないかなあ、と。袂を分かった理由はネオプラス側も明言していないけど。

――さくら選手が抜けたことで「今後のアイスリボンはどうなるんだろう?」と不安をおぼえたファンは多かったと思うんですね。

 それにアイスの多くの選手は、さくら選手に「プロレスをやってみない?」と声をかけられて、最初は身体を動かす程度だったのが、経験を積んでデビューしていったわけだから。精神的支柱が抜けたら選手も不安になるよね。さくら選手についていかないまでも、退団したりする選手は多かったんだけど、さくら選手と比較的長く時を過ごした選手の中で、アイスに残ったのが藤本つかさ選手。

――今回の10周年記念興行でさくら選手と対戦したアイスリボンのトップレスラーですね。

 藤本選手もさくら選手にプロレスを教わったので、一緒に離れてもおかしくなかったんだけど。藤本選手は、さくら選手離脱後のアイスを引っ張っていった選手なんですよ。チームリーダー的立場にあった藤本選手が離れると、下の子が置いてけぼりになってしまう。藤本選手は責任感が強かったから抜けられなかった。

――そうやって“さくらえみ後”のアイスリボンは続いていって。

 やっぱりちゃんと道場を持っていると、週に1度は興行できる強みがありますよ。プロレスサークルの活動もできるし、定期的に100人の観客を集められる。小さいな団体のわりには採算ベースにも乗ってると思うんですね。

――さくら選手とは別にして、我闘雲舞とアイスリボンの交流もなかったんですよね。

 なかった。表立って喧嘩別れしたわけじゃなかったけど、関わることは一切なかった。アイスの選手が出ているWAVEやOZアカデミーに、我闘雲舞の選手が出ることもなかった。

――接点が生まれようないんですね。

 そこはたまたまなのか、どちらが意図的に避けてるのかはわからないけど。対戦どころか、同じリングに上がったこともほとんどないんじゃないかなあ。

――その徹底ぶりは凄いなあ。それがここに来て、邂逅を果たしたわけですから面白いわけですね。

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