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『平和の詩「生きる」』 【Vol.1594】

2018/07/04 18:00 投稿

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平成最後となる 「慰霊の日」。


6月23日 糸満市の平和祈念公園で


沖縄県主催の「沖縄全戦没者追悼式」が


開催されました。 


追悼式の中で 沖縄県浦添市立港川中学


3年の 相良倫子(さがら りんこ)さんが


自作の平和の詩 「生きる」を 朗読しました。


この詩は 沖縄県平和祈念資料館が募った


「平和の詩」 971点の中から選ばれました。


相良さんは 原稿を見ることなく 参列者の


方々を見渡しながら、 中学生らしからぬ


堂々とした姿でスピーチを行いました。 私は、


その姿に心打たれ、 ぜひブログで紹介したいと


思いました。


引用 毎日新聞


「生きる」


私は生きている。

マントルの熱を伝える大地を踏みしめ、

心地よい湿気を孕んだ風を全身に受け、

草の匂いを尾行に感じ、 遠くから聞こえてくる

潮騒に耳を傾けて。

私は今、 生きている。

私の生きるこの島は、 何と美しい島だろう。

青く輝く海、 岩に打ち寄せしぶきを上げて

光る波、 山羊の嘶き、 小川のせせらぎ、

畑に続く小道、 萌え出づる山の緑、

優しい三線の響き、 照りつける太陽の光。

私はなんと美しい島に、 生まれ育ったのだろう。

ありったけの私の感覚器で、 感受性で

島を感じる。 心がじわりと熱くなる。

私はこの瞬間を生きている。

この瞬間の素晴らしさが 

この瞬間の愛おしさが 

今という安らぎとなり 私の中に広がりゆく。

たまらなく込み上げるこの気持ちを

どう表現しよう。

大切な今よ かけがえのない今よ

私の生きる、 この今よ。

七十三年前、 私の愛する島が 死の島と

化したあの日。 小鳥のさえずりは、 恐怖の

悲鳴と変わった。 優しく響く三線は、 爆撃の

轟に消えた。 青く広がる大空は、鉄の雨に

見えなくなった。 草の匂いは死臭で濁り、

光り輝いていた海の水面は、 戦艦で

埋め尽くされた。 火炎放射器から噴き出す炎、

幼子の泣き声、 燃えつくされた民家、

火薬の匂い。 着弾に揺れる大地。

血に染まった海。 魑魅魍魎の如く、姿を変えた

人々。 阿鼻叫喚の壮絶な戦の記憶。

みんな生きていたのだ。 私と何も変わらない、

懸命に生きる命だったのだ。

彼らの人生を、 それぞれの未来を。

疑うことなく、 思い描いていたんだ。

家族がいて、 仲間がいて、 恋人がいた。

仕事があった。 生きがいがあった。

日々の小さな幸せを喜んだ。 手をとり合って

生きてきた、 私と同じ、 人間だった。

それなのに。 壊されて、 奪われた。

生きた時代が違う。 ただ、それだけで。

無辜の命を。 当たり前に生きていた

あの日々を。 摩文仁の丘。

眼下に広がる穏やかな海。

悲しくて、 忘れることのできない、

この島の全て。

私は手を強く握り、 誓う。 奪われた命に

想いを馳せて、 心から誓う。

私が生きている限り、 こんなにもたくさんの

命を犠牲にした戦争を、 絶対に許さない

ことを。 もう二度と過去を未来にしないこと。

全ての人間が、 国境を越え、 人種を越え、

宗教を越え、 あらゆる利害を越えて、

平和である世界を目指すこと。

生きる事、 命を大切にできることを、誰からも

侵されない世界を創ること。

平和を創造する努力を、 厭わないことを。

あなたも感じるだろう。

この島の美しさを。

あなたも知っているだろう。

この島の悲しみを。

そして、 あなたも私と同じこの瞬間(とき)を

一緒に生きているのだ。 今を一緒に

生きているのだ。 

だから、 きっとわかるはずなんだ。 

戦争の無意味さを。 本当の平和を。

頭じゃなくて、 その心で。

戦力という愚かな力を持つことで、

得られる平和など、 本当は無いことを。

平和とは、当たり前に生きること。

その命を精一杯輝かせて生きることだ

ということを。

私は、 今を生きている。 みんなと一緒に。

そして、 これからも生きていく。

一日一日を大切に。 平和を想って。

平和を祈って。 なぜなら、 未来はこの瞬間の

延長線上にあるからだ。 つまり、 未来は

今なんだ。 大好きな 私の島。 誇り高き

みんなの島。 そして、 この島に生きる、

すべての命。 私と共に今を生きる、私の友。

私の家族。 これからも、共に生きてゆこう。

この青に囲まれた美しい故郷から。

真の平和を発進しよう。

一人一人が立ち上がって、 みんなで未来を

歩んでいこう。 摩文仁の丘に風に吹かれ、

私の命が鳴っている。

過去と現在、 未来の共鳴。 鎮魂歌よ届け。

悲しみの過去に。 命よ響け。 生きゆく未来に。

私は今を、 生きていく。



沖縄戦を生き抜いた曽祖母の体験談を聞き


平和や戦争について考える機会が増えた


そうです。 戦争を知らない少女が、 いかに


戦争とは愚かなものかを 改めて気づかせて


くれたような気がします。


世界の隅々で 紛争が起きています。


戦火の中で生まれた子供達が 生き抜いて


青年になっても 終わっていない戦争。


平和な日本に生まれた皆さんは、


この悲劇を想像することは 難しいこと


でしょう!


沖縄は、 日本で唯一 敵が上陸、 地上戦が


あったところです。 激しい無情な戦いに


よって、 4人に1人の方が 命を失いました。 


私は 戦争を経験しています。 もう二度と


あのような惨劇を 戦争を 繰り返しては


いけません。


戦争を肯定している政治家の皆さん、


沖縄の声が聞こえますか? 相良倫子さんの


言葉が聞こえますか?


今一度、 平和の在り方を考えてみては


いかがでしょうか。



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では 皆さま 次号をお楽しみに。

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