DNJかわら版

かわら版 5号 2013.01.30

2013/01/30 23:50 投稿

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もくじ

1.HOTトピックス
  • Overview :いま、これが話題
  • フォーカス :アーロン・シュワルツ 「被害者なき犯罪」司法当局による制度乱用
  • トリビア :戦争の正体がバレバレです
2.DN大好き:オバマ大統領就任式
3.書籍&映画 :スポーツと政治を結ぶ視点 デイブ・ザイリンの新著『ゲーム・オーバー』
4.コラム
  •   インターネットの自由を守るために -玉川千絵子
5.字幕スクリプトとコーパス:オリンピックに乗っ取られたロンドン



HOTトピックス



Democracy Nowから最新のトレンドを抽出してざっくり紹介。ニューヨークを中心に、米国の良識派や進歩的文化人やアクティビストが、いま注目している話題をお届けします。字幕では古くなってしまう事件、気になる事件のフォローアップ、トリビアなどのコーナーも有り


Overview


いま、これが話題  2013/01/14~01/25の注目記事


「ネットの自由」を求めた26歳の活動家アーロン・シュワルツの自殺
被害者無き「サイバー犯罪」の本当の被害者とは?



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 より良い世界を築くため「ネットの自由」のために全力投球し、26歳の若さで自ら命を絶った天才的プログラマー、アーロン・シュワルツの死は、少数者による情報の不公正な囲いこみを打ち破り、情報の流れに風穴を開けようと活動を続ける人々に衝撃を与えました。デモクラシー・ナウでは、この事件をますます強まっているネットの自由の規制が影を落とした象徴的な悲劇として、大きく採り上げました。番組の中で、天才少年時代のアーロンも関わったクリエイティブコモンズの発起人ローレンス・レッシグは、アーロンのいかにも若者らしい純粋で性急な姿勢に追いつけていなかった年長の「同志」としての無念をかみしめるかのようにアーロンを追想し、彼がさらされていた「サイバー犯罪」の訴追の不当性について解説しました。アーロンは、2011年に米下院でのSOPA(オンライン海賊行為防止法案)の審議延期・立法化阻止に導いた抗議運動でも大きな役割を果たしており、彼がなぜこの運動に燃えたのか、(「この法案は、米国市民が閲覧してはいけないサイトのリストを政府が創るのを許してしまうんです(this bill would let the government devise a list of websites that Americans weren’t allowed to visit.)」)、自らの言葉で語っています。また彼と志を同じくしたガールフレンドと彼の裁判で被告側の証人として証言する予定となっていたコンピューターセキュリティ専門家は、「サイバー犯罪」と呼ばれるものの訴追が、検察の裁量次第で「重罪犯」を創りあげねない危険なものであり、被害者なき「サイバー犯罪」の本当の被害者は、訴追される者ではないかと示唆しています。(フォーカスとコラムに関連記事。)


自転車競技の鉄人、ランス・アームストロング

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 薬物使用をテレビで告白 25歳の若さでガンに侵され、生存率数パーセントから奇跡の生還をした男、ランス・アームストロング。世界最高峰の自転車レース、ツール・ド・フランス7連覇(1999年から2005年まで)。自転車ロードレース史上に輝く大記録。米国ではスポーツにうとい人でも、黄色いリストバンド「Livestrong(リブストロング)」のことなら知っています。2004年に売上金をガン患者・ガン生還者の支援と、ガン治療の研究資金に充てるためにアームストロングが創った財団から売り出されたイエローバンドは、ファッションアイテムとして大ヒットし、世界各国であっという間に7000万本以上を売り上げました。攻撃的なまでに勝ち気なアームストロングの性格は、お子様向けのスーパースタータイプではなかったけれど、超人的な強さで米国スポーツのカリスマ的存在でした。ところが、本人は否定し続けたものの、競技参加中に禁止薬物を使用していたとして、2012年に自転車競技からの永久追放処分を受けました。1月18日、オプラ・ウィンフリーのテレビ番組で430万人が視聴したと言われるインタビューを受け、アームストロングは初めて薬物使用を告白。「薬物を使用しなかったらツール・ド・フランス7連覇はありえなかっただろう」と確言しました。また、チームメンバーにも薬物使用を強いたという噂は否定したものの、言うことを聞かないと「いじめた」と認めました。過酷な自転車競技。選手の命を危険にさらすプロスポーツ界自体に、問題はないのでしょうか?(書籍&映画に関連記事)


オバマ大統領就任式

 

就任演説で2期目に向けよりリベラルな内政政策を示唆 2期目を迎えたオバマ大統領。就任の宣誓は1月20日までに行わなければならないという規定があるため、20日の日曜にホワイトハウス内でこじんまりと宣誓式をすませましたが、就任式は、キング師牧師誕生日にあたる翌21日に行い、宣誓にはリンカーンとキング師の所有だった聖書2冊を使うなどして、黒人初の米大統領、リベラルな米国の象徴という歴史的な存在意義を強調しました。就任式の会場となった首都ワシントンのナショナル・モールには、2008年の約200万人にははるかに及ばないものの、約80万人の観衆が集まりました。寒空の下、18分間の就任演説の中でオバマは、「女性の平等ならびにゲイ&レズビアンの人権、移民制度改革ならびに銃規制、経済格差による不平等の問題と社会保障の重要性、気候変動」など2期目の課題を述べました。大統領就任演説に「ゲイ」という言葉が登場したのは初めて。選挙では争点にならなかった「気候変動への取組み」が強調されたことも注目されました。(5時間にわたるDemocracy Now!の就任式特別番組については、DN大好きに関連記事)


サンダンス映画祭の話題作『フルーツベイル』


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 俳優ロバート・レッドフォードが1978年に始めたインディペンデント映画祭「サンダンス映画祭」が1月17日から27日まで開催されました。サンダンス・インスティテュートは、ドキュメンタリー映画制作を支援するプログラムにも力を入れており、2013年度アカデミー賞にノミネートされているドキュメンタリー映画作品5本のすべてが、映画祭で初公開された作品です。Democracy Now!では今年も、ユタ州パークシティの会場から話題作を紹介しました。Dirty Wars: The World is a Battlefield(『汚い戦争:世界は戦場だ』)は、『ブラックウォーター:世界最強の傭兵部隊の台頭』の著者でここ数年はJSOC(統合特殊作戦コマンド)による米国の秘密作戦の解明に力を入れている調査報道記者ジェレミー・スケイヒルがアフガニスタン、イエメン、ソマリアなどを旅し、米国民にほとんど知られることなく展開・拡大されている秘密戦争の実態を追う姿を捉えています。一方、今回の映画祭で最大の話題作となったのは、26歳の新人監督ライアン・クーグラーによるFruitvale(『フルーツベイル』)です。ドキュメンタリー映画ではありますが、手錠をかけられたまま警官に背中を撃たれ殺された22歳の黒人青年オスカー・グラントの実話に基づいた作品で、本年度サンダンス映画祭ドラマ映画部門で、グランプリ(審査員大賞)と観客賞をダブル受賞しました。(大竹秀子)

 

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