もくじ
1.HOTトピックス
- ざっくり紹介:ガザ攻撃はイスラエルの敗北
- フォーカス:ナオミ・クライン「惨事便乗型世直し」の時
- トリビア:「知の巨人」はダメおやじ?
2.DN大好き:100都市をめぐる「沈黙させられた多数派」ツアー
3.書籍&映画:オリバー・ストーンの「語られざる米国史」
4.コラム
- 世界をつなぐ詩をさがして ヨーロッパをゆるがすゼネストの波 -小田原 琳
5.字幕スクリプト付き動画:Big Brother is watching you
6.DNコーパス アクティブ市民のための英語
HOTトピックス
Democracy Nowから最新のトレンドを抽出してざっくり紹介。ニューヨークを中心に、米国の良識派や進歩的文化人やアクティビストが、いま注目している話題をお届けします。字幕では古くなってしまう事件、気になる事件のフォローアップ、トリビアなどのコーナーも有り
ざっくり紹介:ガザ攻撃はイスラエルの敗北
4年前の悪夢には至らずパレスチナは主権国家に格上げ
2012年11月、オバマ大統領の再選が決まって間もなく、イスラエルは、占領しているガザ地区に対して大規模な攻撃を開始しました。ガザ地区は東京23区の半分ほどの広さで、外部に通じる検問所がすべて管理されているため封鎖状態にあります。この攻撃でパレスチナ人の死者は約170人、負傷者も1000名を超えました。注目を浴びたのは、ハマス(ガザ地区を統治しているイスラム主義政党)のリーダーの1人、アハメド・ジャバリが暗殺されたことでした。しかしイスラエルがハマスの指導者を暗殺したのはこれが初めてではありません。大規模なガザ攻撃は2008年末にも行われ、この時は国連人権理事会が独立調査団を派遣し、いわゆる「ゴールドストーン報告書」が出されました。この中でイスラエルの戦争犯罪が認められています。
ガザ地区への攻撃の背景として、2006年のパレスチナ総選挙でイスラム主義政党のハマスが政権を獲得したことが挙げられます。欧米諸国は、ハマスは隣国エジプトで生まれたイスラム主義運動ムスリム同胞団が源流だとして承認しませんでした。その結果パレスチナ自治政府は、ファタハ(西岸地区)とハマス(ガザ地区)に分裂し、イスラエルはガザの封鎖を強めていきました。封鎖や軍事攻撃に抵抗するためにガザ地区からロケット弾が発射されると、それを理由にイスラエルは戦闘機や戦車でガザ全体に爆撃を行い、多数の民間人死傷者を出してきました。イスラエルは今回の攻撃に先立ち、境界フェンスに近づきすぎた障害者やサッカーをしていた少年を射殺しています。それに対してガザ地区からの反応があると、その直後に爆撃を行っています。2008年末の大爆撃もこのような小規模な衝突がきっかけだと言われました。しかしそもそもこれらが攻撃の本当の主因なのでしょうか?