「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2020年08月04日(火)配信その1をお届けします。

 次回は、2020年10月27日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2020/08/04配信のハイライト(その1)

  • 「東京23区の権限」の謎
  • 「議員に帯刀の権利を!」と「専門家を議員に」
  • 嘱託殺人事件から考える医師免許と専門性
  • 天才とは何か? と「人はいいテストを設計する能力が低い」

「東京23区の権限」の謎

山路:なんかコメントで「ちょっとイソジン買ってくる」ってあるんですけど、何ですか? これ。

小飼:大阪で、要は唾液のPCRがあるじゃないですか、唾液のPCRを検査する前にイソジンでうがいしとくと陰性になるよ、ってそんな当たり前じゃないか。それってさ、体温測る前に冷えピタで冷やすと平熱みたいになるよっていう同じ原理じゃん。

山路:え? それは誰が? っていうかネットでそういうふうに、なんかライフハック的にそのイソジンの話が出てきた?

小飼:違うよ。大阪市長が言ったんだよ。

山路:ああ、そうなの。

小飼:こんなんばっかしや。

山路:アハハ、じゃあトホホの話で、そのトホホの政治の話に絡めて、これからじゃあ行きますかね。

小飼:知事か?

山路:トホホ絡みだとこれもありますよ。「千代田区に議会は存在しない」。

小飼:あれ? どっちが知事? どっちが市長だっけ?

山路:えっと。吉村さんが大阪府知事ですね。

小飼:ああ、そうか、知事のほうだ。はいはい。もともと入れ替えたんだよね。いやまぁでもさ、バカとバカを入れ替えてもさ、あんまり変わらないと言えば変わらないというか、でもどっちがよりバカなんだ?

山路:それ、私に聞くんですか? ええとじゃあこの「千代田区に議会は存在しない」という、なんかふざけた話なんですけど。これってこの千代田区長が、
 その今マンションの購入で、ちょっと不正があったんじゃないかっていうことを、議員からツッコまれて。

小飼:まあ、あからさまな不正ですよね。よくマンションとかというのは、普通に分譲する分だけではなくって、特に東京の場合というのは、まっさらな更地というのは、もうあまりないので、単なる開発ではなくて、再開発なわけですよね。だから、そこにもともと住んでいる人たち用の枠というのがある場合が多いんですよね。

山路:融通して貰ったという感じ。

小飼:そうそう、融通して貰ったという。

山路:区長が、へえ。それを議員にツッコまれて、そうしたらよくわかんないけど、「千代田区の議会は私が解散した。だからもう議会は存在しない。」というような。

小飼:そもそもそんな権利どこにあるんだ?

山路:ないらしいんですよね、解散の権利が。

小飼:解散の権利ないですよ。よく言われる衆議院を内閣が解散するっていうやつですけど、あれもじつは内閣にはないんですよ。

山路:え? ないのに解散? よくやってるじゃないですか?

小飼:憲法で解散で、ローカル検索してみて下さい。内閣に衆議院を解散する権利はないです。でも厳密には直接にはというので、憲法7条を見てみると、1条から8条までというのは、第1章、天皇ですよ。天皇の国事行為として、要は天皇がこういうことをやりますというのを第7条で規定してるんですけども、もちろん天皇というのは勝手に出来ません。じゃあ誰が決めたことを、誰が決めたことに従ってやるかっていったら、そこが内閣なんです。
 要は内閣が天皇に「これして下さい」というふうに頼みます。そうすると天皇は100%その通りに動きます。

山路:なんかこう、明示してないけれど、天皇の政治的実権がないことと、そういうふうに手続き上のことだけが枠組み整えられてることで、

小飼:そうなんですよ。

山路:実質的に解散権があるかのように振る舞っているという。

小飼:はい、だからちょっと考えてみればわかるんですけども、三権分立、法を作る立法、法をそれに基づいて実際の仕事をする行政、それがちゃんと上手く行っているかどうかという司法の3つに分かれてますけども、三権分立してるところで、全部イコールではないんですよ。

山路:ああ権力的に、権限が。

小飼:権限で、じゃあどこが1番でしょう。

山路:本来であれば国会、立法府。

小飼:そうなんですよ。立法府なんですよ。だから立法府とはいうふうに言いますけれども、たとえば証人喚問とかも出来ます。基本的に法を作るというのは、立法府だけが出来ることなので、要は1番権限があるとされているのが立法府です。
 ところが解散権があるということは、行政が、立法が気に食わなければ解散できちゃうということになりますよね。

山路:ああ、これって、なんというのかな、内閣に解散権が実質的にあるように仕向けたというのは、結局誰なんですか? アメリカってそういうふうにはなってないわけですよね。

小飼:なってないです。

山路:何か不思議だなと思って、アメリカ何かっていうのはそんな大統領ですら、そんな大統領ですら、そういう国会を解散させたりとか出来ないのに、なんかなぜ日本の憲法では出来ちゃうのか?

小飼:日本の場合、解散できるのは、衆院だけです。衆院だけなんですけど、日本では衆院のほうが上院、要はより……

山路:上院に権限があるとういうことですよね。

小飼:うん、権限があるところなので。
 でも、それもあくまでも国会に限ったことであって、地方自治体で行政の長がそこの議会を解散する権利がある法律、どこにありますか。あったら超びっくりするので、それは是非示して欲しい。国がやってくるから、俺たちもいいだろうってそんなわけねえじゃん。

山路:明示されてないのって、そんなこと成り立たないですよね、なんかこう凄い日本って法治国家じゃなくて、凄い前近代的な、そういうので動いているんじゃないかっていう気が。

小飼:でも行政訴訟を起こされたら区長のほうが負けると思うんですけど。

山路:こんなこと口走ってますもんね。

小飼:なんですけども、更に条件がややこしいのは23区、東京都特別区というのは市町村の別名ではないんですよね。

山路:うーん、同等ではない。

小飼:うん、同等ではない、だから普通の市町村が持っている権限のけっこうな部分を持ってないんですよね。

山路:徴税はいちおう。

小飼:ない。

山路:あれ?

小飼:ない、だから、それはもう都の権限なんだよ。

山路:ああそうかそうか。

小飼:はい。だから本来であれば市町村が、議会で決めて市長とか町長とか村長が出来るというのはないんです。だからじつは東京都の区長っていうのは、かなりお飾りなんですけども。

山路:しかしこんな何か「千代田区議会は存在しない」ってラノベみたいな感じのニュースで、意外に深い話がありますね。

小飼:うんいや、だから深い話じゃなくて、そんなアッサリやっていいのかと。たとえばそのマンションの権利というのだって、これ立派な汚職ですよね。

山路:うんうん。これ最近、千代田区が1人12万円でしたっけ?

小飼:はいはい。

山路:何か配るみたいなことをやったじゃないですか。これってやっぱりその単純に人気取りなんですかねっていう。そういう。

小飼:人気取りの前に、それって区議会通ってる? その12万円配る。

山路:通ってないということがあり得るのですか?

小飼:いや基本行政というのは、1度法的にOKが出ていれば、その範囲であれば行政の裁量で出来ます。12万配るだって。でも普通ならそれだけの金を配る場合には議会に諮っておく必要がありますよね。

山路:なんかその12万円配るという話、そういう区長の汚職というか不正疑惑みたいなんが、あまりにもタイミング的に近かったんで、何かあるのかなと、ちょっと思ったんですけどね。

小飼:そうだから東京都の区の裁量っていうのが、どれくらいあるのかっていうのが、じつは東京都の1番の謎かもしれないですよね。

山路:アハハ

小飼:たとえば消防とかは普通の自治体であれば市町村がやるんですけども、23区の場合は都の仕事なんですよ。だからいきなり区とかすっ飛ばして都議会なんですよ。

山路:何か23区って、本当にじゃあ何やってるのか、よくわからなくなってきましたね。

小飼:うん、もともと東京市というのが、23区まるっとまとめて東京市だった、大阪市みたいに。なんですけども、東京都が特別な存在になったお陰で、却って地方自治がなくなっちゃったよね、なので23区の区の皆さんというのは市町村並みの権利をよこせというのを、時々やってます。

山路:これってちなみにそういうふうに弾さん的には、23区にもうちょっと権限を渡したほうがいいと思ってます?

小飼:ええと逆にですね、大阪が何で都に成りたがっているかというと、要するに大阪市をなくしたい。

山路:府の権限を高めたい。

小飼:そう言ってるわけですよね。

山路:うーん、なるほどね。これちょっとじゃあコメントにもあったマスク。

小飼:ああ。あったな、首相が立法府の(笑)、そうそう。

山路:市長が?

小飼:「立法府の長」のことね。

山路:ああ、はいはい(笑)。なんかそういうこと言ってる首相もいましたね。みんな社会科とか勉強してこないんですかね? 政治家になる人たちっていうのは。

小飼:だから二重競争がなくて効率的、どうかな、それはどうなのかな。ちょっとわからんけど、その場合23区の区切りというのは効率的なのだろうか? さっき言ってた千代田区というのは、東京都の中では最小の自治体なんですけど、確か4万5千人だったっけ。

山路:しかも平均年収とかその辺のやつでも、ずいぶん区によって差があったりしますしね。

小飼:そうですね。けっこう区によって、あの区にはあるのに、この区にはないっていう制度とかっていうのは、けっこうあったりするんですよね。

山路:ああ条例、なんか区条例ありますよね。

小飼:出せるけど、でも金が絡むものっていうのは、区ってなかなか動けないんだよね。だからそう財源ないから。

山路:うん、何か本当に区議会の人が何やってるのか、よくわかんなくなってきましたね。

小飼:わかんない。

山路:アハハ、これコメントにもあったマスクの話、今リンク出したのはマスク追加しようとしてるという段階での記事だったんですけど、結局これ取りやめになったみたいですね。

小飼:え? 取りやめって、取りやめられるの?

山路:それがどういうふうに取りやめになったのか。

小飼:もう発注がかかってるんじゃないの?

山路:なんか6月に発注されたという話を聞いたんですけどね。

小飼:だとしたら違約金、払わないといけないよね。

山路:その違約金を払って、コストもかさんで、マスクは配られない、ということになる。

小飼:本人もしてないよね。何か本人もしてるのやめちゃった。

山路:アハハ、今の政府のやってることってそのあらゆるところで、凄い運転が下手な人が車運転してるみたいな感じの。

小飼:それは運転が下手な人に失礼だよ。

山路:これも失礼なんですか(笑)。うーん、なにをやってんだろなということなんですけどね。

「備蓄しておいて希望機関に配るとかじゃなかった?」(コメント)

 そういう今回のは機関に配るみたいな話だったみたいですけど、ただ8千万枚もそれを、必要な所っていうのは今マスクっていうのは潤沢にあるから、買おうと思えば買えるから、金銭的に補助してもいいわけだし。

小飼:しかもずっといいやつですよね。

山路:別に医療機関にアベノマスクを配る必然性というのは。

小飼:いや、医療機関では使うべきものではないわけです。

山路:本当に何というか、国がやっていることってその判断云々というよりもやることがすべて何というか、いろいろ遅いから結局こういうことに。

小飼:いや、でもここまで駄目っていうのは凄いよね。

山路:単純にスピードが。

小飼:なかなか出来ないよね。ここまで仕事出来ないというのは、なかなか出来んよ。

山路:もうちょっと何とかなるやろうという、ITがあろうがなんだろうが。単純に物事をすすめるのが遅いから、いちいちその状況変化激しいところだと、あらゆるところがおかしくなっちゃうから。

小飼:いや遅いとか云々をもう超えてるよね。

「議員に帯刀の権利を!」と「専門家を議員に」

山路:これちょっと前のニュースなんですけど、1週間か2週間くらい前のニュースかな、国会でマイボトルを国会に持ち込んでいいかどうかっていう。

小飼:はあ?

山路:アハハ、いや私もわかんないですよ、同じ反応しますよ、本当に。マスクを、ああマスクじゃねえや、マイボトルに飲み物を入れて、自分の飲み物ですよ。入れて国会に臨んでいいかどうかっていうことを。

小飼:え? 何を持って入っていいかとかいう。

山路:決まっているらしいですね。

小飼:はあ? でもiPadとか持っていいんだよね。そこでKindle本とか読んでて、後ろ指さされてたみたいだけど、別にいいわけですよね。

山路:マイボトルに飲み物を入れて行くのは駄目とか、いいとかそういう話をしとるという。

小飼:え? わけわかんない。

山路:わけわかんないんですよね。ちょっと私も今紹介してて、よくわかんないんですけれども。そういう忙しい時に、こういうことで審議とかをしている。

小飼:でも何でそういう、だからさ、本当にガキの使いみたいに扱うの? 議員の皆さんを。専業の皆さんを。

山路:けっこう高い金払ってますしね。

小飼:けっこう高い金ではなくって、公に選ばれる中では、1番権限を持ってる人たちなわけでしょう。国会会期中は不逮捕特権すらあるわけです。地方の議員にはないですよ。不逮捕特権というのは。だからそれだけ特権を持ってる皆さんというのは、本当に一国一城の主な筈です。一国一城の主に、ペットボトル持ち込むなっていうわけ?

山路:そういうことになりますね。アハハ

小飼:いや、だから、これもし時代が時代で「無礼者!」ってその場で手打ちにされない?

山路:うん、そうっすね。

小飼:いや、だから何で、あれなわけ? 小学生というのか、保育園児か何かか?

山路:アハハ、いやあ実体がそうだからそういうことになってるのか、それとも何なんですかね?

小飼:いや、でもよく1年生議員だ何だっていう言い方をするじゃないですか。それももうそもそもおかしいよね。