「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2020年07月21日(火)配信その1をお届けします。

 次回は、2020年9月29日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2020/07/21配信のハイライト(その1)

  • Twitterアカウントハックと「リツイートで著作権法違反」
  • 10万円アンケートと「GO TOトラベルのドタバタはなぜ?」
  • コロナ研究不正とマスクについてのコンセンサス
  • Arm買収とMaster/Slave言い換えから「言葉の乗っ取り」問題

Twitterアカウントハックと「リツイートで著作権法違反」

山路:さっそく1番目の話題なんですけど、弾さんもちょっと被害に遭ったというTwitterアカウントのハッキング。

小飼:ああ、いやハックという言葉よくない、クラックって言って欲しかったな。まぁそこは置いといて、今回の特徴はただのアカウントがやられたんではなくて、いわゆる認証アカウントというのがあります。要はTwitter社がこの人は本物の誰々であると認めたアカウントがあるんですけども、それがTwitter社の調べによると、130程、それもかなり、かなり超有名どころ。

山路:Appleの公式アカウントとか。

小飼:そうそう、Appleの公式とか。

山路:ビル・ゲイツとか。

小飼:要するに公式アカウント、まあ認証アカウントというのは、けっこう公式のやつも多いんですけども、だから大物の公式アカウントがかなりやられたということで、けっこうそれが凄かったのは、それがずーっと起こっていた時に、要は認証アカウントをとりあえず、もうすべてread onlyにしたと。

山路:ああ全員。

小飼:ロックしたと。

山路:ああ全員ロックしたんだ。全員なんだ、あれは。

小飼:そう、だから僕自身は別にクラックされたわけではないんだけれども、認証アカウントだったんで、巻き添えを食らっても何もTwitterで言えないなという状態。

山路:え? どれくらい続きました? 弾さんの場合。

小飼:どれくらい続いたんだろうな?

山路:数時間とかそういうオーダー?

小飼:そうオーダーだったと思います。じゃあちょっとその時の様子を見てみましょうかね。

山路:なんか、しかしTwitterのこのアカウント乗っ取りっていうの? 妙に多くないですか? っていう。

小飼:ああ、まあ他はとにかく、けっこうあるのが、違うアカウントだけども、要は名を騙る。

山路:あのアプリで、そうじゃなくて別の似たようなアカウントを作ってっていう。

小飼:前にやられたJack Dorseyがやられたというのは、SMSですね、要は携帯のメッセージサービスというのを使って、日本ではとにかく米国では番号偽造できちゃうみたいです。
 というのはあったんだけど、今回の場合はもう流石にあれだろうということで、内部犯行が疑われているんですけども、今のところ公式にこういう理由だったというのは、出てないのかな。

山路:ソーシャルハッキングだったということは言ってましたよね。従業員がメールか何かで。

小飼:そう従業員のほうに食い込まれてた。そういう意味ではCoincheckの時の例と似ているのかな。

山路:しかし言っちゃあなんですけど、こんなに派手にわかりやすくやんなくても、もっとそのアカウントとか、Twitterのそういう担当者のアカウントなりとか、そういうのを乗っとった状態を黙っておけば、もっといろいろ情報を集められるんじゃねえのとか思ったんですけどね。

小飼:うん、まぁでもそこはどうなんだろう? でもそこはクラッカーが何をしたかったかじゃないの? だから、もしたとえば理由の1つとして考えられるのは、Twitter社のレピュテーションを落とすと。という目的であれば、これほど理にかなった行動というのは、あんまりない。

山路:確かに、確かに、ああTwitterのいうことを信用できねえ、みたいな事例をどんどん増やしていくわけか。

「愉快犯ですか」(コメント)

山路:でも愉快犯にしてはなんか手口的にも凝ったことをやっているんじゃないですか、こう。大統領選挙、もしかしたら大統領選の予行演習みたいなもんもあるのかもしれないですけどね。

小飼:どうなんだろうな? それ。まぁでもロシアのプロとかにかかったら、この程度は些事だった。

山路:ああ、じゃあもう1つTwitter絡みの事件で、これもけっこうでかいかなと思うニュースがありまして。このパクツイの話ですね。

小飼:ああ。

山路:これは何かでもこのちょっとややこしいんですよね、この事件。そのタイトルだけでは、ここで語られている問題がよくわからないという。

小飼:そうそう、タイトル変わってない? Twitterアカウントのハッキングのほうの。

山路:ああ、本当だ。リツイートによる自動トリミングという。ちょっとよくわかんない。

小飼:どういうことかというと、ある写真家の写真付きのツイートがパクツイされたと。

山路:うん、よくある。

小飼:うん、よくある、そこまではよくある。パクツイされたほうのツイートがいっぱいリツイートされたと、それもよくある。

山路:よくある。

小飼:そのパクツイされた人は、そのパクツイした人の発信者情報を開示せよと。この時にパクツイした人だけではなくて、それを更にRTした人の発信者情報も開示せよという要求をTwitter社に出したんだけども、Twitter社はこれは著作権法違反じゃないしということで、断ったんですよ。
 一審判決の段階で、パクツイに関してはもうこれは著作権法違反だから開示せよと。

山路:それはわかる。

小飼:但しパクツイのそのまたリツイートに関しては、そうではないということで、一審の段階ではそこは弾いたわけ。ところが二審でパクツイだけではなくて、リツイートのほうも著作権法違反。

山路:へえ。

小飼:何で著作権法違反だというと、よく画像とかを画像とかに上げた時っていうのは、タイムラインでいっぱい並んでいる状態では、全部は映らないんですよね。

山路:クリックしないと出てこない。

小飼:そうそう、だから端っことか表示されない状態ですよね。大抵、署名とか転載禁止とか、要は著作権を表すものっていうのは、端っこに書きますよね。
 だから、それはタイムラインに流れている段階では、見えない状態ではありますよね。だからトリミングではちょっとないんですよね。だからこういう時に端っことか切る時に、日本、カタカナだとトリミングと言っちゃうけれども、クロッピングですよね。リマップですよね。

山路:あるいはフレーミングとかかなあ、言うんだったら。

小飼:ただこれ拡大解釈しちゃうと、スクロールしなければ見えないものっていうのは全部、著作権法違反にならない? iframeも駄目っていうことにならない?

山路:HTMLで使うiframeも駄目っていうこと?

小飼:そうそう。

山路:ああ。元サイズをまるごと表示してなかったらということか。

小飼:要するに、だから表示されないだけで著作、この場合著作権ではなくて、著作隣接権の著作人格権なのか。
 ただ更にややこしいのはこれ、あくまでも元の原告の要求は何かと言うと、情報者開示なんですよね。

山路:リツイートした人も含めて。

小飼:そうそう。だからリツイートした人にまで損害賠償が認められるかって言ったら、それはまた別なんですね。まだ「まず、こいつらは誰か教えろ」の段階なので、だから被告もTwitter社なんですよ。だから開かすべき情報を出さないじゃないかと、だから裁判に訴えたと。
 だから損害賠償請求はこれからなんですよ。だからやっと誰を訴えるかというのが、もしTwitter社がこの判決に従えば、ですけれども。

山路:うんうん。それをリツイートした人への損害賠償がみんな認められるかっていうのは、ちょっと認められなさそうな気がしますけどもね。

小飼:それはそれで判例を作って欲しいものだけども、その前にちゃんと発信者情報開示してくれるのかな? ただいちおうTwitter社は、各国のlocal lawsには、要は各国の法には合わせてるんですよね。
 まぁその一例としては、高須クリニックの高須先生はドイツでは表示出来ないと。

山路:アハハ、ナチとかに関わることをツイートしたからっていう。

小飼:そうそう、反ナチス法に引っかかっているので、ブロックされています。
 だから各国の法には、なるべく従うようにはしてるみたいですね。そうでなくて、けっこうそういう判決が来てものらりくらりかわす業者っていうのは少なくはないので。

山路:これ、しかし本当にこういうものとか、SNSに対する規制みたいなことっていうのをガンガン、いろいろ面倒くさいことを言って来たら、結局それに対応できるのって超大手だけっていうことにもなっちゃいそうな気もするんですけどね。

小飼:うーん。

山路:SNSの規制をしているつもりで、またGAFAなんかも含めた、より強いものを利しているだけなんじゃないかという気もするし、あと思ったのが、裁判官が妙にITに疎くないですか?

小飼:いやITだけではなくって。