「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
2019年2月19日(火)配信の「小飼弾の論弾」の前半をお届けします。
次回は、2019年4月2日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2019/02/19配信のハイライト(その1)
- LINEの見放題規制とペイロード差別
- ネットの速度と満足度
- 5Gが何を持ってくるのかがわからない
- 既存の法律で事例を積み上げるべき「ネットの著作権問題」
- 「ネットの国境」という為政者の権力
- 代表取締役と取締役と代表取締役課長
LINEの見放題規制とペイロード差別
山路:今日はいちおうネット関係の話題が多くて。
小飼:多いですね。
山路:私らも他人事じゃないぞというニュースがあの……(笑)
小飼:いやぁなんか頭痛い。
山路:今日いちおう特集ネタとしてはカドカワ、ドワンゴですね。決算、さらにその川上氏が辞任するなどいろいろかなり盛り沢山なニュースがあったんですが、それについて、どういうことなのか、あるいは今後ニコ生はどうなっていくのかとか、そうしたことについて、それが一つの特集で。もう一つ、スクリーンショットを撮って保存。
小飼:ちょっとCoinhiveの件と絡めて、はい。
山路:Coinhiveのやつとも絡んできますか。
小飼:はいはい。
山路:そのネット絡みのニュースっていうのが、今日いちおうミニ特集というのになるんですけども、これもネット絡みで今朝、入ってきたニュースで。このスマホ動画、SNSが見放題が一部規制というニュースが入ってきまして。
小飼:ああ、それも、これ僕も最初見てこれ一体どういうことかっていうと、たとえばMVNOによっては特定のサービスを提供しているところっていうのがありますよね。たとえば。
山路:LINEモバイルみたいなところだったり。
小飼:LINEモバイルですとか、はい。そういうところっていうのは、一部パケットはギガから除外している。要は特定のサービスを贔屓していると。
山路:そういうことは良くないぞ、っていうことを総務省が言って、なんか通達を出したっていうことらしいんですが。
小飼:いや、だからお前らこういうのに通達出せるのけ? Coinhiveとかパクっておいてさ。
逆なんですよね。Coinhiveとかっていう特定のサービスを差別してはいけませんよっていうことであれば(笑)、Coinhive程度でパクってたら話にならないんですよ。
いやもちろん「連中も一枚岩ではないのでは?」ではなくって、本当にあれですから、小指の先がやっていることを、小指の第1関節がわかっていないような状態ですから。いやでもそれにしても。
山路:えらく距離が短いな(笑)。
小飼:うん、それにしても、ちょっとひどいなと。これはたぶんそうですね、役所もまたがってますよね。これって役所的には。
山路:総務省と。
小飼:左手の小指と右足の小指くらい離れてますね。これくらい離れてますね。こっちは総務省ですよね、管轄は。
山路:向こう、いろいろゴチャゴチャ、企業関係やっているのは経産省だったりもするわけだし。
小飼:そうそう。
山路:これってそもそも見放題みたいなものって、そのどこか特定のサービスを優遇することのマズさ、消費者のほうのデメリットみたいなものっていうのは、どうなんでしょうかね? 総務省とかがこういうふうに一部規制っていうふうに言っているけど、競争を明らかに阻害してるんでしょうか? っていう。たとえばYouTubeとかに誘導するとかなった場合に、それは事業とかを、企業のそういう競争を阻害しているからこそ、こういうふうな規制をしようとするわけですよね。
小飼:うん、なんだけども、LINEですとか、他のSNSとかのトラフィックって、いかほどなのかなっていう。まあ動画SNSってなってますよね。
山路:この場合はYouTubeとかそういうものとかになってくるんでしょうけども、これってそういうインフラとかにタダ乗りされてる感もあるっていうことなんですかね?
小飼:これって物凄い強引な例えですけども、なんて言えばいいのかな、たとえばNHKは普通に映るけれども、他のチャンネルを見るためには、ボタンを連打しなければいけないとか。
山路:連打か(笑)。アナログな(笑)。そういう何というか、そうなったらNHKをやっぱり皆、人は見やすくなっちゃう。
小飼:たとえばTwitterは無料だけれども、たとえば他のSNSが有料とかっていうふうになったら、それは独占をより進めちゃいますよね。
山路:ちなみにこういうふうな動画SNS、まあ見放題とかそういうふうにやっているところって、その誘導しているサイト、たとえばその金のやり取りがあるのかな?
小飼:そもそもこれが許されているっていうのが、おかしいはずなんですよね。通信というのは、ペイロードを差別しちゃいけないんですよ。
山路:その中味に何が入っているのかっていう。
小飼:そうそう。パケットは皆平等のはずなんだけども。そもそもこれが許されているっていうのが、おかしいよね。
山路:それは中味を見てるっていうことに。
小飼:そう、中身を見てるっていうことなんですよ、これも。少なくとも宛先は見てるわけですよね。
山路:え? なんかすごい、じつは深く考えるとヤバいことというか、ヤバい仕組みになっているということでもある?
小飼:はい、そういうことです。
山路:へえー。これって、そういうふうに考えると、この特定の動画サイトとかだけ見放題にするっていうのは、マズいっていうふうにも。
小飼:ダメ。うんそれはダメ、はい。
山路:だけど、総務省の言っていることっていうのが、つまりこれに関しては、仮に一部規制するのがもっともな話だとしても。
小飼:だから通信以外のものを提供しちゃってるし、通信としての要件を満たさないんですよね。
山路:通信としての要件を満たさない?
小飼:要するにだから、宛先で差別しちゃいけないと。
山路:ああ。通信の定義に反しちゃうっていうことですね。
小飼:はい、そういうことです。
山路:これって、そういうふうに今『ITmedia NEWS』の取材によれば、一部規制といいつつも、具体的な今の時点でダメだとわかっているサービスはないというふうに総務省のほうはとりあえず、答えてるらしいんですけどね。
小飼:うん、全部通してるけども、要はパケットの料金を計算する時にどうするかっていうことですよね。
山路:これしかし、不思議ですよね。たとえば携帯電話の料金って、凄い今、下げさせようとしてるじゃないですか。国のほうから4割下げ、4割でしたっけ? なんかそういうふうに携帯電話料金もっと下げろみたいな。
小飼:うん、どこかで出てきた。その挙げ句が日本のネットの速度が23位になっちゃったというやつですね、はい。
ネットの速度と満足度
山路:今のは、携帯のほうじゃなくって、固定回線のほうなんですかね? こっちの話っていうのは。
小飼:同じ原理なんですよ。料金は下げろ、差別はするなという。
山路:ああ。
小飼:差別をしないために、たとえばNTTというのは、ISPが持っていなければいけない機能というのを全部、提供できるんですけども、それやっちゃうと回線持っている、物理回線を持っているNTTの寡占状態になっちゃうわけですよね。
山路:今ってフレッツ光とか契約する時っていうのは、適当に選んで、プロバイダーとセットで契約しないといけない。
小飼:ISPとどうやって繋げているのかっていうとPPPoEという技術ですよね。IP上でさらに別のIPを通しているっていうやり方をしているんですけれども。まあ携帯におけるMVNOみたいなものですよね。じつはその部分というのが、混み合っている。だから物理回線というのはあれなんですよ。
山路:充分な余裕がある。
小飼:十二分に世界一なんですけども、局舎のほうに問題があるんですよね。
山路:はあ、なんかアホみたいな話ですね。それで遅くなっちゃってるっていうのもなんか。じゃあ結局、本来の物理的な回線のほうっていうのは、ある意味スカスカとは言わないまでも、充分に余裕があるんだったら。
小飼:充分に余裕がある。
山路:遊んでるわけじゃないですか。それなのにユーザーのほうは遅いと感じてるという。
小飼:だけれども、固定のほうのNTT東日本、西日本というのはあんまり投資したくないんですよね。投資したところで見返りがあるわけではないですから。
山路:また動画見放題サイトとか、自分たちが投資したインフラの上に乗っかるサービスとかが、もう勝手に流して儲けてるみたいな。
小飼:だから本当に、どこか一箇所でもボトルネックがあったら、そこが律速しちゃうんだよ。律速というのは、要するに。
山路:そこが一番、速度を決める要因になっちゃう。だけど、その物理回線とプロバイダーを繋ぐ、言ってみたら交差点というか、ジャンクションみたいなとこなわけじゃないですか。
小飼:まあそういうことですね、はい。余計なことをしているわけですよね。PPPoEというのは、はい。
山路:それって回避手段みたいなものは、ないんですか? 最近だとIPv6対応のプロバイダを使って、そういう混み合うのを避けてスムーズにというのを聞いたことがありますが。
小飼:一番簡単な方法というのはPPPoEをやめて、NTTにプロパイダー、そうそうISPとしての機能も全部やらせちゃうと。
山路:このNTT法をそれこそ改正して、好きなように。
小飼:そうそう。
山路:それは独占的な問題があるのではという気がするんですけど。
小飼:だけども、僕はこう思うんですよ。じゃあなんで独占を禁止しているかっていうと、その独占を利用して不当に利益をあげようとしちゃうからでしょう。じつは独占だけれども、そうならないようにして成功している、少なくとも今のところは成功しているのに、さらに余計なことを言うと、改悪されようとしているものがあるんですよね、一つ。
山路:え? なんです? そのインフラになっているっていうものですか? つまり。
小飼:はい。水道です。
山路:あぁ水道か。
小飼:はい、水道って、どの業者から引くかというのは選べないですよね。選べないですけども、水不足で困るというのは起きてないですよね。概ね比較的安価に、キチッと供給されてますよね。
ネットのコネクティビティもそうあるべきものであれば、わざわざ業者を選ばせる必要というのがあるのだろうかというのも感じますね。
山路:インターネットも、もう黎明期ではないですもんね。
小飼:そう、黎明期じゃないんですよ。もう本当に、水道とか電気と同じですから。だから水道とか電気と同じようなレギュレーションをすべきなんですよね。だからこんなたくさんISPが残ってていいの? いや僕自身、僕も1990年代後半に雨後の筍のように、インターネットプロバイダーが出来て、だからそういうところが僕のお得意さんだったわけです。
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