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竹田恒泰著 「天皇の国史」 に対する個人的な雑感

2020/08/23 02:37 投稿

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天皇の国史 竹田 恒泰

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竹田恒泰著 「天皇の国史」 読了しました。
内容はかなり面白かったです。

竹田恒泰氏の視点が、今後の「日本の歴史教育」の「基本」「軸」になりそうな感じがしたので、なるべく「あらすじには触れず」に簡単に感想をまとめます。

※あくまで個人的な意見です。

1.「天皇の国史」の内容について
天皇の国史がどの様な内容かを箇条書きにすると

①「天皇」を「軸」に置いた「日本通史」「日本の歴史」のまとめ。

②科学的見地、発見、物証、また日本国内外の文献などを論拠とし、日本の様々な出来事・事象・また神話・正史である「古事記」「日本書紀」などを、分析、比定、推察を行い、時代の特定や事実か否かを検証している。

③天地開闢以来、如何にして「日本の神統・皇統(皇位)を繋いできたのか」を書き表している。

④内容は「古事記」における「天地開闢」「宇宙の誕生」から始まり「新型コロナウイルス感染拡大」まで、広範囲に渡る。
この様な感じではなかろうか。

2.「天皇の国史」の文章、纏め方の特徴
「日本の国史」の文章を見ていると、特徴的に纏めている。

①ページ数として本文だけで「642ページ」。

②文章全体の纏め方が「論文」に準拠しており、引用部分に関しては、必ず「引用元」が文中に提示してある。

③文中に注釈が一切ない。即ち平易な文章である。

④大体3ページ程度の「セクション(節)」で文章が構成されている。

⑤一部、図説は存在するが、それほど多くはない。
この様な構成であるので、本文の量は、結構ボリュームが多く

「文章だらけで読みづらいのではないか?」

という先入観がありそうだが、実際はそうではなく、非常に解りやすく、読者を飽きさせない作りになっている。

3.個人的に気になった点。
全文読んで気になった点を、個人的推察を含めて纏めると

①考古学、生物分類学、生物学、地学、天文学、言語学などの「科学的」な視点からの分析、検証、比定は、主に「飛鳥時代」中期辺りまでが中心で、それ以降は、それ程用いられていない。

これは、恐らく、日本に於いて「文字」や「文章」「文献」が無い時代の、分析、検証、比定のために「科学的アプローチ」を用いたのであって、日本でも文献や資料が揃い出した、推古天皇の時代~乙巳の変辺りからは、徐々に「科学的視点」よりも「文献・資料(史学的視点)」を重視した為に、この様になったと思う。
個人的には

「古墳時代の前方後円墳から飛鳥時代に方墳・八角墳などに変化した時代」

を境に、科学的視点は激減した様な感じがした。

②皇統(皇位)継承について、様々な断絶の危機を乗り越えて現在があることを改めて知ったが「一寸無理があるのではないか?」という践祚もあったとわかった。

これに関しては、特に挙げるとすれば、南北朝時代の「北朝」における「三種の神器」を欠いた継承と、北朝第4代天皇の「後光厳天皇」践祚で

「実質、為政者側が強引に決めた践祚であり、皇室に於いてあまり良い前例では無いな」

というのが個人的な感想。

③平安後期から幕末にかけての内容、項目が少ない。

この点に関しては「中学歴史 平成30年度文部科学省検定不合格教科書」のときにも指摘したが、所謂「中世~近世」の内容が薄いような感じがした。
この理由として、天皇・上皇(朝廷)が徐々に「国政を動かす為政者側」の役割が「武士」に移り、武士を中心とした社会、即ち「封建社会」に変化したために、言及する機会が少なくなったのではないか?とも見ている。

④昭和期の前期、特にサンフランシスコ講和条約による主権回復期までの視点が、軍事面に偏っていて、外交・内政面の言及が弱い。

自分は、大東亜戦争に関しては「日本の『厳正中立』『不戦必勝』」と言うスタンスであり、日本国憲法に対しては「GHQの干渉による占領下での『押し付け憲法』」と言う立場であるので、この点については竹田氏と見解が異なる。

この論点のズレ、相違が出た理由は、自分が大東亜戦争前に於いては「日米交渉」即ち「対米和平交渉」という「外交面」を重視しており、当時の「松岡外交」即ち「枢軸よりの外交」について否定的に見ている点と、「軍事」は「外交『手段』」の一つであり

「戦争を始めるも、戦争を終結させるも『軍事』ではなく『外交』である」

と言う認識からであると思う。
また、日本国憲法改正については、GHQが一度日本政府の改正案を反故にした以上、やはり

「GHQによる干渉に当時の日本政府が折れた」

と言う見解から「押しつけ憲法」という見方をしている。

4.最後に
個人的には、各論では竹田氏との相違点が一部あるが、総論としては、概ね正しいという見解で見ている。

一番「天皇の国史」の中で、画期的だったのは、やはり

「日本に『文字』『文章』『文献』が無かった時代に起こった出来事と謎、そして『記紀の内容』の信憑性について科学的見地・論拠を踏まえて、一定の結論・解答を導き出した」

ところにあると思う。

この点だけでも、上梓したことの目的を充分果たしており、尚且つ、その結論・解答を導き出すプロセスを読者に対して、解りやすく・平易に伝えるよう努力・苦慮しているとも思えた。

特に、今までの日本の歴史教育、日本史に疑問を持っている方や、日本の歴史を再度見つめ直したい方には、お勧めする一冊であるし、所謂、皇国史観に否定的な人や現在の皇室や日本のあり方に「一家言ある人」にも勧めたい。

「こういう見方・視点があるのか」

と、納得していただければ幸いである。

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