コスケ逃亡中

替え歌と著作権と収益化

2017/01/05 20:16 投稿

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0・はじめに

野球選手名で替え歌を歌って動画にし、それでちやほやされているユーザーのコスケです。

替え歌って幼稚園児から大人まで楽しむことができ、ニコニコでもyoutubeでも結構伸びるコンテンツであります。
私も5年以上替え歌を歌っては動画にし、歌っては動画にし、いままで楽しんできました。
おかげさまでいくつかの動画は多く再生いただき、私としても承認欲求が満たされ満足していたのです。

ただし、少しの後ろめたさはあるわけです。
そもそも、人様が作った曲や詞を、勝手に改変し歌い上げ、動画の中で、野球選手の画像や動画を使っているわけです。
大の大人であれば、それが人様の知的財産権(著作権および肖像権)を犯していることは想像に難くないわけです。
そこのところは、作っている側としてもやもやもありましたし、いくつかのコメントでも「違法じゃないの?」と指摘を受けてもいます。
ただ、ここいらで「社会正義」と自分のやっている事の折り合いというものを明文化して示しておくことは、古参として先達として意義のあることかなと思い、筆を取る次第です。

1・二次創作は違法

ネットやサブカルチャー界隈には、二次創作(二次著作物)がたくさん存在していることは周知の事実だと思います。
二次創作とは特定の作品(一次著作物)そのものや登場人物やストーリーを用いて、新たに作り出された作品の事です。
同人誌だけでなくpixivなどで見られる二次創作としてのイラスト、ニコニコでよくみられるMAD動画、替え歌ももちろんこうした二次著作物です。

著作権法の中には、著作者の持つ様々な権利が示されていますが、二次創作の場合、特に関係するのが「同一性保持権(第二十条)」「翻案権(第二十七条)」でしょう。
つまり、著作者が創作物に対して持つ著作権には、その作品が自身の意に反して変更されず(同一性保持権)、もし内容や解釈を変更したければ著作者だけがその変更について認められる(翻案権)という権利が含まれる、というものです。

つまり、替え歌のように、本来の歌詞を別の歌詞に変えてしまうことは、この二つの権利を犯している違法行為です。
もちろん、替え歌だけではないです。
同人誌のように、原作にはないストーリーで漫画を二次創作した場合も、同様に違法な行為と言えます。

2・二次創作で逮捕されることは極めて稀

じゃあ、その二次創作は違法だから、全ての二次創作者は逮捕されるのか?
答えは「逮捕はされうるが極めて稀」です。

著作権法違反は現在の日本において親告罪(第八章 罰則)です。
親告罪とはつまり、権利者が違反者を訴えない限り、民事請求や刑事罰(罰金)を科すことができないという事です。
つまり、違法だから、すなわち犯罪というわけではないのです。
(故意の過失の場合は刑事罰は科されません(刑法三十八条)。念のため。)

例えば時々目に付く事例として、RADWIMPSのファンと思しき人から「前前前世の替え歌が気に食わないから訴えてやる!」というコメントがあるのですが、この訴えはほぼ無効です。
仮にyoutubeに対して、「あの動画、違法行為しているよ!」と垂れ込んでも、動画サイトは一次創作物の著作者でないので替え歌動画を削除する法的な根拠を有していません。
ですのでファンとしては、その権利者に対して「あなたの作品が勝手に利用され、著作権が侵害されているよ!」と垂れ込み、権利者の動きを待つというのが、最善の方法となります。

では、権利者が直接替え歌やMADなどの二次創作の投稿者の肩を叩いて、民事訴訟や逮捕に至るかというと、自分の知る範囲でそうした事例はありません
訴訟にかかるリスクは、訴訟をされる側だけでなく、訴える側や動画サイトにとっても面倒なものです。
ですので、多くの権利者は代理のエージェントと契約し、そのエージェントを通じて動画サイトにおける権利侵害動画や投稿を削除していく手法を取っています。
動画サイトの場合、いきなり投稿者情報を権利者に渡し訴訟に持っていくのではなく、違反に対しては動画の公開停止等のペナルティを設け、それを積み重ねる場合はアカウントの停止をすることで、こうした違法行為を取り締まっています。

現実的には、二次創作動画を取り締まることに対するインセンティブが権利者にあまり無いのです。
権利者が数万円の損失のために、弁護士をたてて二次創作の創作者を相手取り民事訴訟を起こしたりすることは経済的に不合理ですし、
刑事で告訴(刑事訴訟法第二百三十条)しようにも違反者が何者か動画サイトに捜査を行うインセンティブが警察側にとっても小さく、刑事罰にも至らないでしょう。

それに、権利者からすると、そのような二次創作は基本的にファンの活動なので、むしろ擁護する者もいるでしょうし、コミケやMAD動画なんかは黙認状態です。
自分や他の人の替え歌が作品の公式に取り上げられたこともあるわけです。
むしろ、権利者からすると取り締まらないといけないのは、作品の本編を丸上げし、直接的に経済的損失を生み出す人たちであり、取り締まりの優先度はそちらが上になるかと思います。

3・二次創作物にも著作権はある

じゃあ、二次創作は一次創作の著作権を犯したものだから、それに著作権は無いのか、というとそれは誤りです。
二次創作(二次著作物)にも、一時著作物と同等に著作権が認められています(第二条十一項)。

つまり、替え歌であろうとMADであろうと、著作物に対しては立派な著作権があるわけです。
ですので、もし無断で動画が転載された場合、上映権(第二十二条の二)や公衆送信権(第二十三条)を盾に、戦う正当性があります。

ただ、あくまでこれは日本の国内法の話であり、実際の各サービスにおける削除の要請は、アメリカの法律に則って行う必要があります。
その場合は、自身の本名や住所等が、相手側に筒抜けになる可能性があります。
その点は、サービスによってケースバイケースで対応しなくてはいけません。

4・二次創作動画でお金儲けしてもいいの?

当たり前ですが、二次創作動画の収益化はNGです。
度の動画サイトも、名言はしていないものの実質的に二次創作の動画は収益化の対象外としています。
まぁ、動画サイトが大手を振って、「二次創作に広告料の一部あげるよ!」とは言えないでしょう。

ただ、二次創作動画の収益の是非を巡っては、法的にはNGではあるものの、先に挙げたように実際にそれが訴訟や刑罰の対象になるかというと、そうではありません。
実質、他の同人活動と同様に「黙認」されているといった状態です。

じゃあ、他の同人活動やyoutuberのように、お金儲けしていいんじゃないか?というのは早計です。
やはり、違法ですからね。

結局踏み出すのは自己責任だと思っています。
踏み出す人が出てきてもいいと思いますし、それを非難するつもりはありません。

道路交通法を完全に守れる人がいないのと同様に、
著作権法も対象が広く、違法行為であっても同人誌のように常態化して評価されてしまえば、
二次創作動画の収益化も非難の対象から外れるのだと思います。

替え歌、特に野球選手名で歌ってみた界隈に関しては、今のところ、赤信号でみんなが踏みとどまっているといったところです。
今後、誰かが一歩を踏み出す事になるのでしょうか…



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