「十文字曳参のヲタコンテンツ批評」
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【ヲタ評×ハマトラ】
ミニマムホルダーと呼ばれる特殊能力者の存在する世界、ハマトラ探偵事務所を営む二人のミニマムホルダーの活躍を描く。COOL!COOL!COOL! ダサかっこいいハードボイルド異能力探偵アニメ、ハマトラの魅了とは!

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覚悟(エゴ)、それがヤツらの信念(ルール)

本作は週刊ヤングジャンプより発表されたハマトラプロジェクトのアニメ化作品。内容は現代をベースにミニマムホルダーと呼ばれる特殊能力者達の苦悩と活躍を描くクライムサスペンス。

彗星の如く突如現れた本作は間違いなく今期のダークホースの一つだろう。一見して女性向けゲーム原作のように見える本作は、ハマトラプロジェクトと呼ばれる企画の中のアニメ化作品。去年11月に漫画連載が先行し、後には小説、ゲーム企画が予定されている。

本作は惜しい。内容について言えば、100点満点とはいかないが、非常に高い評価を与えるに足る作品だ。設定に関しては大味だが、シナリオ面での魅力が光る。一見すれば底の浅い、アンパンマン的な予定調和の三十分アニメに思えるが、その実はこまかな台詞にキャラクターの魂が宿った非常に丁寧な作りとなっている。

シナリオは、アニメよりも90年代後期から2000年前期の実写ドラマを思わせる作りになっている。例を挙げるとすればケイゾク、池袋ウェストゲートパーク、私立探偵濱マイク、それら癖の強い作品を三十分用にライトに落とし込んだ感じだろう。

漫画作品で例えるとゲットバッカーズ辺りが近いが、分かりやすさやメッセージ性ではこちらに部があると言えよう。昨今は三十分で起承転結が収またアニメが少ない中、本作は珍しく一話の中で一つの事件を解決し、尚且つ本筋を進めていくという、基本的だが中々真似の出来ない綺麗な構成で進んでいる。

とはいえ、本作は面白さを他人に伝えづらい作品でもある。一話一話のエピソードとそこに宿るテーマ、メッセージは非常にありきたりで、言葉にした途端陳腐になってしまう。実際、つまらないアニメの多くはそういったメッセージ性をうまく処理できず、ただ説教臭いだけで終わっている場合が多い。

しかし本作は、三十分という限られた時間の中で依頼人その他登場人物の葛藤や対比を描き、テーマの前提を分かりやすく視聴者に伝え、その上で安っぽくならない、かといって上辺だけの奇麗事ではないメッセージを提示している。なによりも、そういったメッセージが真にキャラクター達の内側から発せられていると思えるようシナリオが設計されている為、時に同意しかねる答えを突きつけらた時も、それが彼等の選んだ答えなのだと納得出来るだけの説得力がある。

本作は青臭い。そしてダサい。しかし、それこそがハマトラの最大の魅力だろう。物語としての演出よりも、キャラクターの人間味に重きを置き、日和らずにそれを貫き通している。だからこそ、この物語はどこか歪で、リアルに見える。

唯一の欠点はプロモーションの甘さだろう。人気原作のアニメ化や、有名アニメ会社のオリジナルなど、競争相手は山ほどいる。見れば面白い作品は沢山あるが、まず見てもらわない事には始まらない。その点で言うと、ハマトラは絵的にも設定的にも地味さが否めない。筆者として、この記事を読んで一人でも興味を持ってくれれば幸いである。

というわけで、本作は十文字オススメの一本である。一話を見るだけで合う合わないがはっきり分かる作品だと思うので、興味を持った方は騙されたと思って是非ご視聴を。

そして、もしも本作がお気に召した暁には、DVDコミック及び、これから始まる壮大なハマトラプロジェクトに消費者として参加しよう!





十文字曳参103.jpg(じゅうもんじ えいさん)
アニメ、マンガ、ノベル全般を愛する孤高の評論家。
作家、文筆家としても活躍する。
ぬこPの依頼で「ヲタクの評価」のコメンテーターに就任。
「CoTri(当チャンネル)」と「ヲタクの評価」のコラボ企画として、
不定期で色々な作品について語る予定。


ヲタクの評価(テスト運営中)
http://yuruwota.myplayers.jp/


十文字曳参 著
SDイラスト こたつねこ

企画 こたつねこ(ぬこP)
配信 みらい図書館/ゆるヲタ.jp




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