「十文字曳参のヲタコンテンツ批評」 critique.019「ガールズ＆パンツァー」

2014/01/28(火) 13:00

「十文字曳参のヲタコンテンツ批評」
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【ヲタ評×ガールズ＆パンツァー】
戦車を使った武道、戦車道の盛んな世界。過去のトラウマを理由に戦車道から遠ざかった少女西園みはひょんな事から大洗女子学園の戦車部再建に携わる事になる。異色のパンツァースポコンアニメ、ガールズ＆パンツァーの魅力とは！

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パンツァー、フォー！！

冬の大メカ物祭りも終わり、ここらで一息、

つきません！

今回からは冬の大ミリタリー×女子祭りと題して女の子とミリタリー物がクロスする作品を批評していこうと思います。

栄えある第一号はアニメ、『ガールズ＆パンツァー』
本当は最後までとっておこうと思ったのですが、今回はあえて最初に。

本作は名前の通り、女の子と戦車の話。概要をザクッと説明すると、剣道や茶道と同じポジションにある架空のスポーツ戦車道を題材に、とある理由で戦車道から離れた戦車道の家元の家系の少女の成長を描いた作品。

戦車道？　なにそれｗｗｗ　と、一見するとストライクウィッチーズ前後で火のついたミリタリー×女子ブームの模造品のように見えるが、ある意味でそれは正解だ。

ただし、本作品は過去無数に作られたミリタリー×女子物の中でも特別な意味を持つ同ジャンルの集大成と言える良アニメである。

本作品は商業的にも人気的にも大成功を収め、放送終了後も多数のファンが舞台となった大洗に赴き、地元サイドもそういったムーブメントを歓迎、イベント開催に協力的な姿勢を見せている。

戦車というマイナーなガジェットを題材にしたにも関わらず、何故本作品はそれほどまでに成功し、ヲタク、非ヲタク関係なく多くの人々に愛される作品に成り得たのか。

一つは前回、ガンダムビルドファイターズを評論した時と同じく、時代性の合わない部分を大胆に削除した点にある。兵器である戦車を題材にする以上、その背景に戦争が関係するのは必然といえる。しかし、本作は戦車道という架空の武道を創作する事で、戦車から戦争や政治的な要素を取り払い、ミリタリーという要素を極限まで純化している。（ミリタリー物と戦争物は似ているようでまったく別の要素なのである）

これにより、本作は戦争的なしがらみを一切排除し、不純物なしで戦車の魅力を描き出す事に成功している。本筋は主人が今は亡き大洗女学園戦車部を再建し、仲間と共に優勝を目指すという物。

ストーリーに関してはこれ以上ないくらいストレートなスポ根物で、その率直さにはヲタク以外の人間も心を動かされる普遍的な感動が宿っている。

戦争を排除した純度の高いミリタリーと正統派スポ根の丁寧なストーリー。しかし、ガルパンの成功の秘訣はそれだけでない。

忘れてはいけないのはパンツァー、戦車の部分だ。本作品は随所にミリタリー物の敷居を下げるような工夫を施していながら、戦車に関する表現に対しては一切の妥協も一部の隙もなく、むしろ今までのどんなミリタリー作品よりもマニアックに作られている。

本作は友情と戦車愛、二つの愛で支えられている。直向な少女達の努力、友情、勝利。そして、これぞヲタクと言える徹底的な掘り下げだ。

CGを多用した戦闘パートは戦車の機体性能、重量感や破壊力を過不足なく描写し、我々が戦車に抱いていた適当な印象を打ち砕いてくれるだろう。
戦車がダサい？　とんでもない！　戦車は強く、かっこいい！

最初の数話こそ温い女の子アニメだが、回を増すごと少女達の一生懸命が胸に響き、彼女達の操る戦車の活躍、軋る無限軌道や主砲の咆哮に胸が熱くなる事請け合いだ。

時代に合わせ捨てる所は大胆に捨て、残すべき所に勇気を出して全力を注ぎ、ガールズとパンツァーの魅力を最大限に描ききった所が本作品の魅力であり、成功の秘訣と言える。

惜しむらくは、ミリタリーというジャンルが持つ潜在的なとっつき難さだが、今後このような作品が増えれば、ミリタリーはそれが背負うシリアスな背景から開放され、公平な視点からカジュアルに楽しめる有り触れたジャンルになる日も遠くないだろう。

アニメが地域活性に貢献し、ヲタク以外もハッピーに出来ると証明した最高の作品、それがガールズ＆パンツァーだ。

美少女達の努力と友情、汗と涙、そして実在する戦車達のリアルな躍動を見たいなら、今すぐDVDを購入だ！

十文字曳参（じゅうもんじ　えいさん）
アニメ、マンガ、ノベル全般を愛する孤高の評論家。
作家、文筆家としても活躍する。
ぬこPの依頼で「ヲタクの評価」のコメンテーターに就任。
「CoTri（当チャンネル）」と「ヲタクの評価」のコラボ企画として、
不定期で色々な作品について語る予定。

ヲタクの評価（テスト運営中）
http://yuruwota.myplayers.jp/