Day.1
2023年10月28日(土)
東京・新宿ReNY
MSTR(千聖 from PENICILLIN/Crack6)の主催により2013年に初開催されて成功を収め、以降毎年行われるようになった <Crazy Monsters Halloween Party>。同イベントは出演するアーティストの上質さや彼らのコスプレ/仮装を見れる貴重な場として人気を博し、秋の恒例イベントとして定着している。コロナ禍が起こったことで’20年から’22年にかけては中止を余儀なくされたが、今年は10月28日・29日に新宿ReNYで開催された。
今回の<Crazy Monsters Halloween Party 2023>の出演者は、初日がCrack6、THE MICRO HEAD 4N’S、KAMIJO(Versailles)、Nicori Light Tours、168、甘い暴力。2日目はCrack6、THE MICRO HEAD 4N’S、Kneuklid Romance、Kαin、 H.U.G、Dacco 、クマムシという顔ぶれで、両日ともにNoGoDの団長(vo)が司会を務めた。<Crazy Monsters Halloween Party>にふさわしい豪華なアーティストが集い、さらに4年ぶりの開催ということで、この日を待ち望んでいたリスナーは多かったに違いない。新宿ReNYには多数のオーディエンスが集まり、華やいだ空気に満たされたライブとなった。
初日の公演はスポンジボブに扮した団長(ちなみに2日目は、昭和のバブリーガール姿でした)による前説に続いて、168のライブから始まった。168はメンバー全員がロリータ・ファッションでステージに登場して、ダークファンタジーが香る「化けの皮が剥がれ、善がる。」や、アッパーな「ニュークラシック」、妖艶な「春の餌食」などをプレイ。リアル・ガールズバンドと見まがうキュートなヴィジュアルと起伏に富んだライブ構成、高い演奏力などで、場内を埋めたオーディエンスを大いに魅了した。
THE MICRO HEAD 4N’Sは、中世ヨーロッパの仮面舞踏会を思わせる瀟洒な衣装に身を包んだ姿を披露(2日目はボーカルのKEKEが大魔王のコスプレをされていました)。力強さと洗練、感を融合させた良質な楽曲とフィジカルなステージングで、2日間に亘って場内を大いに沸かせた。また、2日目の最後に演奏された「REVERBERATIONS」ではギタリストの潤(PIERROT/ALvino/Bräymen)が加わって、ライブに華を添えるというサプライズがあったこともトピックといえる。
元Janne Da Arcのyou(g)とkiyo(key)が2021年に始動させたNicori Light Toursは、スタイリッシュな楽曲を続けて聴かせた。華やかなツイン・ボーカルやyouのテクニカルなギターなどをフィーチャーした楽曲は聴き応えがあったし、音楽性から受けるイメージとはやや異なり『東京リベンジャーズ』のコスプレが似合う熱いライブを展開したことも見逃せない。今後の彼らがさらなるステップアップを果たすことを強く予感させるステージで楽しませてくれた。
メンバー全員がメイドに扮した甘い暴力は、咲(vo)のMCから入るという独創的な形でライブをスタート。咲の巧みな話術でオーディエンスを巻き込んだ後、ハードな「イかせて欲しい」やメロディアスな「噛み痕」、ダンサブルな「おねだりろまんちっく」、ラウドな「首絞めマアチ」などを相次いでプレイした。幅広さを見せつつパワフルに突き進んでいくライブは気持ちを引き上げる力に満ちていて、場内は盛大な盛り上がりを見せた。
美麗な世界観の「Castrato」でライブをスタートさせたKAMIJOはハードネスとクラシックを融合させたドラマチックな楽曲を続けて披露。彼の音楽性は本当に魅力的だし、ヴァンパイアに扮して美声を聴かせるKAMIJOの華麗な姿に目を奪われずにいられなかった。オーディエンスも熱いリアクションを見せ、ラストソングの「Nosferatu」では客席から大合唱が湧き起こり、感動的な余韻を残してライブは幕を閉じた。
Day.2
2023年10月29日(日)
東京・新宿ReNY
2日目のトップバッターを務めたDaccoはLida、YURAサマ両名が枝豆に扮した姿でライブを展開。群を抜くシンクロ度合いが光る華やかなダンスとキャッチーなメロディーをフィーチュアしたナンバーで、オーディエンスの熱量をどんどん高めていった。イベントの火付け役として最適であると同時に、彼らが独自の魅力を持ったエンターテメントを確立していることをあらためて感じさせるステージだった。
クマムシは2015年に千聖、O-JIRO(ds/PENICILLIN)と共に“クマシリン”というユニットを結成したことがあり、その縁で今回MSTRが声をかけて出演することとなった。クマムシはトークと「あったかいんだからぁ」の歌唱でオーディエンスを沸かせた後MSTRとO-JIRO、団長と共にトークを行い、さらに最後はDaccoも姿を現して、7人で「あったかいんだからぁ」を披露。彼らは今回のイベントの絶妙なアクセントになっていた。
H.U.Gはryo(vo)が『101』のクルエラ、Karyuは『アダムスファミリー』のウェンズデー、横山が松田聖子をイメージしたロリータ・ファッションで登場。意表を突くコスプレに客席からどよめきが起こる中、彼らはラウド&スタイリッシュなナンバーを並べたライブを“バシッ!”と行った。勢いと華やかさを兼ね備えたH.U.Gのライブは本当に魅力的で、今回のライブで初めて彼らに触れて心を鷲づかみにされた人も多かったに違いない。
統一感のあるヴィジュアルを構築するバンドが多い中、Kneuklid RomanceはYUTAKA(vo)が悪霊(?)、小笠原健一(g)はキラキラしたハーレイ・クイン(スーサイド・スクワッド)、TAKUYA(g)は中世の貴族、TATSUYA(b)はサンタクロース、カエデ(ds)は血みどろの白衣といういで立ちで登場。カラフルなステージと洗練感を湛えたロック・チューンで、オーディエンスを魅了してみせた。彼らは年内で活動休止となるが、“さすが!”と思わせる部分が多かっただけに、いつの日か再び復活することを期待したい。
‘80年代のパンクロッカーを思わせるYUKIYA(vo)とシックな楽器陣というスタイルでステージに立ったKαinはキャッチーさや洗練感を纏ったロック・チューンを続けてプレイ。良質な楽曲やフィジカルなステージング、YUKIYAの熱い言葉などに、場内は大いに盛り上がった。基本的にイベントには出演しないスタンスでいながら、ショート・ライブでオーディエンスの心を掴む辺りはさすがの一言に尽きる。
2日連続でトリを務めたCrack6は、初日はメンバー全員がMoi-même-Moitiéの服を纏い、2日目は新しい学校のリーダーズを思わせる揃いのセーラー服姿を披露。「Butterfly Effect」や「Break The Darkness」「電撃ミサイル2006」といったパワフルに疾走するサウンドとキャッチーなメロディーを融合させた楽曲は爽快感に溢れているし、アッパーなナンバーを軸にしながらラテンが香る「CYBER ROSE」を入れ込む辺りもさすがといえる。そして、力強さと温かみを併せ持った歌声を聴かせ(「BANG!」ではラップも披露)、速弾きやタッピングなどを織り交ぜたテクニカル&スリリングなギター・ソロを決めまくるMSTRの存在感の大きさは圧倒的だった。両日ともに「KICK!!」で団長が加わったこともあり、オーディエンスは熱狂的なリアクションを見せ、新宿ReNYの場内は怒涛の盛り上がりとなった。
Crack6のライブの後、イベントの締め括りとして「Crazy Monsters」のセッションが行われた。コスプレ/仮装姿の総勢24名がステージに並び立った情景は壮観だったし、場内は笑顔で埋まり、煌びやかな空気に包まれて<Crazy Monsters Halloween Party 2023>は幕を下ろした。
レベルの高い出演者や予想を上回る本格的なコスプレ/仮装、団長の秀でたMC力などが相まって<Crazy Monsters Halloween Party 2023>は楽しくて、観飽きることのないイベントに仕上がっていた。唯一無二の魅力を持ったイベントであることを実感できただけに、今後も永く続いていくことを強く願う。
文章:村上孝之 / 写真:折田琢矢
優勝(2023年クレモン仮装大賞)
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12月21日(木)18:00 UNDER FALL JUSTICE / Sadie
12月22日(金)18:00 Crazy Monsters Halloween Party 2023
12月25日(月)18:00 DEATHROLL / Ars Nøva / チンチン
12月26日(火)18:00 KISAKI
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