華やかなサウンドと笑顔を浮かべて演奏し、客席を見渡すメンバー達の姿。
Moi dix Mois、Versailles、D、摩天楼オペラにより立ち上げられた新たなプロジェクトJapanese Visual Metal。メタル・テイストを活かしたヴィジュアル系バンドという共通項を持っていながらこの4バンドが一堂に会するのは初めてのことで、2023年1月1日に始動を告げる『共同声明』が発せられると同時に、Japanese Visual Metalは大きな注目を集めた。
コロナ禍によって沈滞化したミュージック・シーンを活性化させる動きとして、彼らの新たな取り組みに胸を高ませたリスナーは多かったに違いない。
4バンドそれぞれがJapanese Visual Metalの周知に勤しむ期間を経て、9月20日に4バンドによるプロジェクト・バンドJVM Roses Blood Symphonyとしてシングル「協奏曲~耽美なる血統~」がリリースされ、9月22日から10月2日にかけて<Japanese Visual Metal Tour>と銘打ったZeppツアー(全4公演)が行われた。
各会場ともに多くのオーディエンスが集まっていて、さらにライヴの内容も非常にいいという声が聞こえてくる中、10月2日にツアーを締め括る公演がZepp Hanedaで開催された。ライヴ当日のZepp Hanedaは立ち見客が出るほどの盛況ぶりとなり、場内は開演前から華やいだ空気に包まれていた。
ツアー・ファイナルはDのライヴで幕を開けた。ファスト・チューンの「闇より暗い慟哭のアカペラと薔薇より赤い情熱のアリア」を皮切りに、ストーリーを感じさせる構成が光る「組曲「狂王」第五番~落陽に哭く蝙蝠~」やASAGIの「Dからのサプライズです」という言葉と共に届けられた「月下の夜想曲」(MALICE MIZERのカバー)などを相次いで聴かせるD。
メンバー全員が織りなすフィジカルなステージングに目を奪われるし、ラウド&タイトなサウンドも全身に心地いい。激しさや艶やかさ、シアトリカルな味わいなどが折り重なったDの世界観は本当に魅力的で、場内を埋めたオーディエンスも華やかなリアクションを見せ、イヴェントは上々の滑り出しとなった。
続いてステージに立った摩天楼オペラは、静と動の対比を効かせた「もう一人の花嫁」で“グッ”とオーディエンスを惹き込んだ後、超高速で突進する「Adult Children」やエモーショナルな「桜」などをプレイ。幅広さを見せながらどの楽曲も完成度が高いのはさすがだし、常にスタイリッシュな雰囲気を纏っているのも実にいい。
そして、苑の突き抜けるようなハイトーン・ヴォーカルや楽器陣が展開するテクニカルなプレイなど、演奏面が充実していることも楽しめた。オーディエンスの様々な感情を突く楽曲達を経て、華やかな「真実を知っていく物語」をラストに持ってくる構成も絶妙で、摩天楼オペラが去った後の場内は爽やかな余韻に包まれていた。
薔薇をかたどったサイリウムの7色の光で客席が染まる中、Versaillesのライヴは「MASQUERADE」からスタート。クラシックが香る重厚かつソリッドなサウンドと耽美的なKAMIJOの美声、絢爛な衣装などがひとつになり、場内は瞬く間にVersaillesの世界へと染まった。
その後は高速で疾走する「Ascendead Master」や胸に染みるスロー・チューンの「Sympathia」、光を感じさせる「The Revenant Choir」などをプレイ。勢いに任せていき上げるだけではなく聴かせるシーンが多いこともポイントで、オーディエンスが深く惹き込まれていることがはっきりと感じられた。短い時間の中で密度の濃いライヴを披露したのはさすがの一言に尽きる。
ツアー・ファイナルのトリを務めたMoi dix Moisはアグレッシヴな「Diabolus et angeli」やダークなファスト・チューンの「the Prophet」、緊迫感を放つ「A ghost Whinspers」などを相次いで披露。激しさと美麗な翳りを巧みに融合させた彼らの楽曲の惹きこみ力の強靭さを、あらためて実感させられた。
どんどん深みへと降りていくようなライヴを展開した後、締め括りとして超高速で疾走する「Ange ~D side holy wings~」をプレイ。客席はヘッドバンギングの嵐と化し、場内はツアー・ファイナルにふさわしい熱狂的な盛り上がりとなった。もうひとつ、Manaの妖艶かつミステリアスなオーラは圧倒的で、唯一無二の存在感を放っていることも印象的だった。
4バンドのライヴが終わった後、JVM Roses Blood Symphonyによる「協奏曲~耽美なる血統~」が演奏された。曲の出だしは各バンドからの選抜メンバーという編成だったが、曲が進むに連れて他のメンバー達も姿を現し、後半では出演者20名全員がステージに並び立った。華やかなサウンドと笑顔を浮かべて演奏し、客席を見渡すメンバー達の姿、大歓声をあげて熱いリアクションを見せるオーディエンス。
場内が完全にひとつになったことを感じさせる中、最後に1人残ったManaが挨拶した後、再び各バンドのリーダー全員がステージに姿を現し、ステージ中央で大きな円陣を組んだ。互いの顔を見つめ合う姿からは、彼らが大きな達成感を得られたことや強い絆を感じていることが伝わってきた。そんな感動的な情景を生み出して、<Japanese Visual Metal Tour>は幕を降ろした。
近似性がありつつ異なる個性を備えた4アーティストの競演は非常に観応えがあり、瞬く間に時間が過ぎていった。ハイレベルなバンドが揃ったため、それぞれのライヴが始まると同時に場内は非日常の空間へと変貌し、それぞれの世界に深く誘われていく感覚は本当に魅力的で、何度でも味わいたいと思わずにいられなかった。
来年3月にDが活動休止することやVersaillesのYUKI(ds)が今年いっぱいで引退することなどもあり難しい面もあるとは思うが、Japanese Visual Metalが今回限りで終わってしまわないことを強く願う。
INFORMATION
Moi dix Mois Information
【LIVE】
Dis inferno XX 2days
2023/12/16(土) ~Dark Xmas Night~
2023/12/17(日) ~LAST YEAR PARTY~
2024/1/10(水) 目黒鹿鳴館
Versailles Information
【LIVE】
CHATEAU DE VERSAILLES
2023年12月14日(木) Zepp Haneda
【RELEASE】
Live Blu-ray & DVD & Live Album 「15th Anniversary Tour -Holy Grail-
2023年11月29日(水) RELEASE
KAMIJO Information
【LIVE】
TOUR「NEW VAMPIRE IS BORN
2024
1月19日(金) ESAKA MUSE
OPEN 18:30 / START 19:00
1月21日(日) 名古屋BOTTOM LINE
OPEN 17:00 / START 17:30
1月31日(水) CLUB CITTA' 川崎
Open 18:30 / START 19:00
BAND MEMBER
Guitar : HIRO (La'cryma Christi)
Guitar : YUKI (DUSTAR-3,Rayflower, Λucifer)
Bass : IKUO (BULL ZEICHEN 88, Rayflower)
Drums : shuji (ex.Janne Da Arc)
D Information
【LIVE】
HIDE-ZOU BIRTHDAY「Rafaga Day
11月17日(金) 高田馬場CLUB PHASE
D Official Fan Club Ultimate lover限定LIVE「Ultimate lover ~第三十七夜~」
11月26日(日) 高田馬場CLUB PHASE
-Ruiza BIRTHDAY-
2月17日(土) 高田馬場CLUB PHASE
-Tsunehito BIRTHDAY-
3月3日(日) 渋谷REX
■D 無期限活動休止前 Last Tour 2023~2024
2023年
12月2日(土) 秋田Club SWINDLE
12月3日(日) 秋田Club SWINDLE
12月9日(土) 神戸VARIT.
12月10日(日) 神戸VARIT.
12月16日(土) 仙台CLUB JUNK BOX
12月17日(日) 仙台CLUB JUNK BOX
12月23日(土) 高崎Club JAMMERS
12月24日(日) 高崎Club JAMMERS
2024年
1月6日(土) 福岡DRUM SON
1月7日(日) 福岡DRUM SON
1月13日(土) 川崎Serbian Night
1月14日(日) 川崎Serbian Night
1月20日(土) 名古屋 ell.FITS ALL
1月21日(日) 名古屋 ell.FITS ALL
1月27日(土) HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3
1月28日(日) HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3
2月3日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
2月4日(日) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
2月10日(土) 江坂MUSE
2月11日(日) 江坂MUSE
2月24日(土) 札幌cube garden
2月25日(日) 札幌cube garden
D 20th Anniversary Year Grand Final
3月7日(木) 豊洲PIT
3月8日(金) 豊洲PIT
摩天楼オペラ Information
【LIVE】
「KISAKI BANDWORKS 30TH ANNIVERSARY LIVE BEYOND THE KINGDOM -OSAKA-」
2023/11/05(日) 大阪BIG CAT
「Club摩天楼 presents MATENROU OPERA CHRONICLE #2 2017-2023
2023/12/23(土) 初台The DOORS
「Premium Live 2023 "X´mas Night”」
2023/12/24(日) 初台The DOORS
「EVIL TOUR 2024
2024/1/13(土) 大阪・なんばHatch
2024/1/14(日) 愛知・名古屋DIAMOND HALL
2024/2/12(月・祝) 東京・EX THEATER ROPPONGI
「17th Anniversary Live
2024/5/4(土) LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)
【RELEASE】
NEW EP「EVIL
2023/12/13(水) RELEASE
東京都新宿区西新宿7-2-5 TH西新宿ビル6階
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Mana(Moi dix Mois) × KAMIJO(Versailles) × ASAGI(D) ×苑(摩天楼オペラ) 座談会インタビュー!第1回(全3回) 『今回のJVM Roses Blood Symphonyの企画でManaさんは絶対的な中心にいらっしゃるということで、最大限のリスペクトを込めてカヴァーさせていただきました。(ASAGI)』
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HAL(FEST VAINQUEUR) 動画(1):「『いま、ハマっているもの』を教えて下さい。」 #日刊ブロマガ!club Zy.チャンネル
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