――“PHASE 02”を'22年12月21日に締めくくった後'23年3月からスタートした＜the GazettE LIVE TOUR2023 -MASS- / PHASE 03 "LAST MILE"＞はライヴハウス・ツアーで、これにも驚きました。

RUKI：なぜでしょう？

――普段ホール・ツアーやアリーナ・ライヴなどを行っているアーティストがライヴハウス・ツアーをするというのは稀有ですので。

RUKI：俺らは、ライヴハウスが好きなんですよ。というか、ライヴハウスもホールも好きなんですよね。だから、今の段階では選び難いというのがあって。ライヴハウスはルーツ的な場所で、自分達がちょっとエモーショナルな気分になりたいんです、ライヴハウスで（笑）。ただ、もう長い間やっていなかったから、勝手が違うところもありましたけど。

――ホールなどとはステージ周りの環境が大きく違っていますし、お客さんも近いですしね。

RUKI：距離が近いということは、あまり感じなかったです。俺はステージが狭いからどうこうというのもないし。自分達はライヴハウス上がりで、いろんなことをライヴハウスでやっていって、逆にホールをライヴハウスみたいにするということを掲げてやってきたから、あまり気持ちは変わらないんですよね。ライヴハウスはちょっと…みたいなものは全くない。ホールよりもステージの前後が少し狭いくらいですよ、感覚的には。俺の後ろにいそうなREITA、麗辺りは俺の動きが怖いと言っていました。俺は後ろを見ずにホールの感覚で動くから、全然足とか踏んでいました（笑）。

――な、なるほど（笑）。でも、ステージが狭いからといって、こじんまりしたライヴにならないのはさすがです。

RUKI：どんな場所でも変わらないライヴができるバンドでありたいし、今回はホールから下っていく感じだったので、ライヴハウスでやったときに会場が狭く見えるバンドじゃないといけないな…というのがあって。そういう成長したところは見てほしいですよね。

――ファンの方にとって、今のthe GazettEをライヴハウスで観れるというのは大きなプレゼントだったと思います。

RUKI：どうでしょうね。逆に苦情はありました。

――えっ、苦情ですか？　それは、どういう？

RUKI：21周年の日のライヴがFUKUOKA DRUM LOGOSだったんですよ。だから、観れない人がいっぱいいて、それは申し訳なかったなという気持ちがありますね。そういう意味では、やっぱり今の規模感でライヴハウスというのは難しいものがあるなということは実感しました。バンドマンというのは1人でも多くの人に観てほしいという気持ちがあるから、観れなかったという人がいるとせつなくなるんです。

　昔は、そんなこと全然考えなかったんですよ。でも、今は申し訳ないなと思う。ライヴハウスでもライヴをしたいという気持ちだけで押し進めていいのかなということは考えさせられましたね。

――そこに関しては、同じライヴハウスで5デイズなどをするという手もあるかと思います。もうひとつ、コロナ禍が起きる前はライヴは土日・祝日に行なうのが主流になっていましたが、the GazettEはずっと平日のライヴもされていて、そこもリスペクトしています。

RUKI：それは、仕方なかったからです（笑）。でも、今回のツアーは昔よりは土日を押さえてもらえたなという感じがしますね。20何本とかあるツアーだと、土日は1～2本くらいしかないというのが常だったので。

――その結果the GazettEがツアーに出ると、“今日もthe GazettEはどこかでライヴをしているんだよな。自分もがんばろう”という気持ちになることが多々ありました。そういうファンの方は、沢山いらっしゃると思います。

RUKI：そういう声は、結構聞いています。励みになりますとか、ライヴがない間は本当に不安でしたとか。我々の目的として、いかにファンの方達の日常生活に入り込むかというのがあって。みんな今まであたり前のようにライヴに行っていたのが、あたりまえじゃなくなったりしたわけじゃないですか。その間に他の趣味を見つけた人もいるだろうし。だから、ライヴにきてもらったら以前の感覚を呼び覚ましたいという気持ちはありますね。

――“ファンのみんなもブランクがあるから、ライヴは土日・祝日に限定しよう”ではなく、平日もやろうと決めたのはさすがです。ファンの皆さんも仕事や勉強が終わればthe GazettEのライヴがあるんだと思うことで、がんばれるでしょうし。

RUKI：そうだとしたら嬉しいです。それに、その辺で学んだなと思ったのは、ちゃんと電車に乗って帰れるような時間に終わろうということですね。そういうことも、今まで考えたことがなかったんですよ。昔とか、「関東土下座組合」を延々とやっていたじゃないですか（笑）。終わりがいつかというのは関係なかったんです。もう帰れなくて普通みたいなところがあった。でも、今はもうそういう時代ではないですよね。自分が誰かのライヴに行ったときとかも、何時に終わるか分からないライヴは怖いですから（笑）。それは、the GazettEのファンの方も同じだと思うんですよね。

――そういうことにも思いを馳せたうえで平日ライヴをされている辺り、the GazettEは本当にいいバンドだなと思います。そして、＜LIVE TOUR MASS＞を締め括る＜the GazettE LIVE TOUR2022-2023 MASS "THE FINAL"＞と銘打たれた公演が7月15日に日本武道館で開催されます。

RUKI：13周年のときに日本武道館でライヴをして、今回はそれ以来ですね。日本武道館は競争率が凄くて、押さえられないんですよ。これまでも何度かやりたいなと思ったけど、実現できなかった。今回のツアーを計画しているときに、ファイナルは日本武道館でやりたいという思いがあったんです。取れるかどうかはわからなかったけど、やるなら日本武道館でやりたいなと。今回奇跡的に取れて、これは運命だなと思いました。

――やはりthe GazettEは、持っていることを感じます。RUKIさんは日本武道館に思い入れがあるんですね。

RUKI：あります。これまでも日本武道館で何本かライヴをしましたけど、武道館は言ってしまえば聖地と言われている場所じゃないですか。そういう場所でライヴをやれるのは純粋に嬉しいですよ。名前的にも“日本武道館”という名前は“ビシッ”とくるし。

――たしかに。では、今回の日本武道館では、どんなライヴをしようと思っていますか？

RUKI：ツアー・ファイナルなので、その集大成を見せるというのはもう大前提としてあって。それに、本当は今回のツアーのホールでやりたかったこともあるんです。ステージセットとか、演出とか。だから、ファイナルを観てもらうと、これをホールでやろうとしていたんだな、この人達は…というのが伝わると思います。アホなんだなと（笑）。あとは、やっぱり久しぶりの日本武道館というのが大きいかな。いいですよね、武道館。日の丸の下で演奏するthe GazettEを、ぜひ観にきてほしいです。

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