――ずっとthe GazettEとして活動してきた中で、自分はこういうところが変わったなと思う点をあげるとしたら？

戒：どうだろう？　……根本的には変わっていない気がしますね。よりこだわりを持つようになったり、気持ちに余裕を持てるようになったりといったことはあるけど、言ってしまえば、それは20年続けていれば当たり前の話なのかなとも思うんですよ。根っこの部分でなにか変わったかというと、それはないと思う。性格がすごく変わったかというと、そういうこともないし。

――性格や人柄は戒さんも含めてthe GazettEの皆さんは、本当に変わらないですね。アリーナクラスの会場でライヴをすることで人生観が変わったというようなアーティストもいらっしゃいますが、そういうことは全くありませんか？

戒：そういうことを経て変わったところはある気がするけど、当時の気持ちをあまり覚えていないんですよ。ということは、人生観が変わるほど大きな出来事ではなかったんだと思う。でも、本当にいろいろな経験をさせてもらいましたね。海外でもライヴをしたし、アリーナクラスの会場で普通にライヴができるということ自体がすごいことだし。

――20年を経た今でも代々木第一体育館のステージに立てるというのは、本当にすごいことです。

戒：the GazettEを始めた当初は、そういう未来が待っているなんて全く思っていなかった。変な自信だけはありましたけどね（笑）。やれば売れるでしょうという変な自信があった（笑）。でも、あらためて考えてみると、20年続けることになるとは…というのはありますね。当時は1年続けるのも結構大変で、先のことは考えていなかったから。

――バンドを始めた頃は、皆さんそうですよね。では、逆にいろんなことを経てきながらも自分のこういう面は一貫して変わらないなと思うところは？

戒：バンドが好きなところ。個人でなにかやろうなんて全く思わなくて、俺はthe GazettEのあの4人の後ろ以外でドラムを叩くつもりはない。そこは本当に、もう昔から今に至るまで変わらないですね。

――10年ほど前に戒さんと話したときも、同じことをおっしゃっていました。ドラマーとしてはthe GazettEの曲が上手に叩けるドラマーであればいいと。

戒：そう、the GazettEだけでいいんです。純粋に凄いなと思いますけどね、いろんなバンドや、いろんな人の後ろで叩いているドラマーを見たりすると。俺は不器用なので、the GazettE以外の場所で熱量を出すことはできないと思います。

――たしかに、戒さんがthe GazettE以外でドラムを叩いている姿というのはイメージできません。

戒：違和感しかないと思う（笑）。そういうドラマーになれたというのは自分の中で嬉しいことですね。もうこれ以外はいらないと思えるバンドで、ずっとドラムを叩いてこれているわけだから。

――素敵な人生を歩まれていると思います。では、続いて未来の話をしましょう。まずは【MASS TOUR】の“03”が、今年の3月に行なわれます。

戒：“03”はライヴハウスをまわるんですけど、そういうツアーにしようと決めたきっかけは『MASS』というアルバムを、物理的にどこまで引っ張っていくかというのがあって。“02”自体がかなり特殊なツアーだったので、自分達の中で“01”の感覚が少し薄れつつあるんですよ。純粋に『MASS』というアルバムとthe GazettEの総ての楽曲の中から今のthe GazettEを引き出せるものをピックアップした楽曲を演奏したのが“01”だったけど、その感覚をちょっと忘れている部分がある。

　『MASS』というものを終わらせる前に、その感覚をもう1度取り戻しておきたいという気持ちがあって、“03”はそういうツアーになります。

――楽しみです。4年ぶりのライヴハウス・ツアーということは、どんなふうに感じていますか？

戒：このご時世なので、ライヴハウスはどうなんだろうとちょっと気にはなっていたんですけど、去年の9月にファンクラブ限定ライヴをなんばHatchと豊洲PITでやったんですよ。そうしたら通常のライヴハウスの感覚で普通にライヴができたので、そこに対する不安は消えたんです。あとは、ホールを立て続けにやってきているというのもあるし、時期的に3月10日をまたぐので、よりみんなの近くにいたいという気持ちもあって“03”はライヴハウスかなという話になりました。

――ファンの方にとって今でもライヴハウスでthe GazettEを観れるというのは本当に嬉しいことだと思います。

戒：それは、お互い様ですよね。俺らも嬉しいですから（笑）。ライヴハウスとなるとまだみんな気にしている部分があると思うけど、4年ぶりのライヴハウスということで楽しいライヴになることは間違いないので、期待していてほしいです。去年戻ってきてくれた人も多かったので、これを機にライヴハウスという場を一緒に体験して、またどっぷりthe GazettEにハマッてくれるといいなと思っています。

――3月頃にはコロナが収まっていることを願っています。それにしても、ホール・ツアーやアリーナ公演ができるバンドでいながらライヴハウスのことを忘れないところもthe GazettEの魅力といえますね。

戒：俺はホールじゃないと嫌だとか、ライヴハウスは嫌だというようなことは全くないし、それはメンバーみんな一緒だと思う。ただ、小さいライヴハウスは規模にもよりますよね。極端に小さい箱だと、いろんなことに我慢しながらライヴをすることになる。再現できないところまで追い込んでライヴをする意味があればいいかなと思うけど、なければ特にやる必要はないのかなと思うんですよ。やりたいとか、やりたくないというよりは必要がないかなという感覚です。

――そういうところもライヴバンドらしいといえますね。ライヴバンドというのはライヴを沢山やるバンドではなくて、毎回意味のあるライヴ、お金を払って観る価値のあるライヴをするバンドだと思いますので。

戒：そうですね。そういうバンドでありたいし、そのうえで可能な限りいっぱいライヴをしたいと思っています。

――ずっと、そうあってほしいです。最後になりますが、2023年は、どんな1年にしたいと思っていますか？

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