かわさき科学技術サロンにて、宇宙飛行士の向井千秋さんの講演を聴いてきました。
無重力、真空といった宇宙環境の具体的なパラメータのハナシから始まり、それを利用した物質の性質や振る舞いの実験について、動画を交えながらとても面白く分かり易く説明がありました。
また、医師である向井さんの専門分野として、宇宙で生活することによって人体に生じる影響についてのデータを色々と説明してもらえました。
人類が気軽に宇宙に出られるようになるにはまだ時間がかかりそうだけど、「何が問題か?」「何を解決すればいいのか?」が、色々と判明しているということはよくわかりました。宇宙旅行、そしてその先の宇宙移住が夢物語ではなくなってきているということにワクワクしました。
で、
質問コーナーでは、「UFO見たことありますか?」等、ざっくばらんな質問も多かったので、自分も宇宙と知財について思っていたことを質問してみました。
無重力や真空という宇宙の環境を利用して、例えば地上では不可能だったモノの製造が可能になるとか、地上よりも飛躍的に生産効率を高められるとか、そういった話は割と聞きます。
そうすると、「モノを製造する方法」みたいな特許が当然に出てくるわけです。
おそらく、
「無重力(微小重力)、且つ真空の空間において・・・することを特徴とする~の製造方法」
みたいな特許になるんでしょう。
宇宙はどこの国でもないのでどこの国の法律も適用されない、従ってどこの国の特許も適用されない
みたいな議論もありそうですが、とりあえずその話はここでは置いといて、宇宙利用の特許が有効に存在した場合のハナシ
そういった特許によって宇宙を利用した技術に独占権が発生する場合もあるでしょう。
かたや、
「宇宙は人類共有の資産」
という話もあり、向井さんの講演にもそういったメッセージが含まれているように感じました。
宇宙利用の特許の存在は、そんなメッセージに反するものとも言えますよね。
なので、
「宇宙は人類共有の資産」という考え方に対し、宇宙開発・研究に資金を投じ、その成果を特許として取得すること、その是非について向井さん個人のお考えを質問してみました。
その回答を要約すると
・宇宙開発や研究に資金を投じる事、研究・開発に向き合って努力する事、そういった事を推進するためには競争が不可欠。
・競争を起こすためには相応のインセンティブが必要なので、特許や著作権といった「いずれ消滅する」形でのインセンティブなら良いのではないか。
といった趣旨でした。
「いずれ消滅する」というところにピンときたので、重ねて
「特許は20年ですが、20年という期間は長いと思いますか?」
と質問すると、
・人の人生において20年という期間は長いが、人類の歴史という観点で考えれば大したことない。
という趣旨の回答。
これは素晴らしい!
知財制度の核心を突いています。
全ての人を幸せにするためにあるべき「技術」について、人ひとりの観点で考えれば長い20年という期間の独占が認められるのは、特許法の法目的では「産業の発達」とされていますが、つまりは「その方が社会全体にとって有益だから」です。
要するように、特定の人や企業に20年という長い期間の独占が認められるためには、それが「多くの人の生活」に寄与するような技術、「社会効率を向上させる」ような技術でなければならないわけです。
その部分は、特許法上では「進歩性」という要件で規定されていますが、この要件がザルなために、しょうもない特許がワンサカ。
そして特許合戦にいそしむ大企業は、そういった「社会全体の進歩」なんぞそっちのけで、ライバル企業との椅子取りゲームに夢中です。
そしてパテントトロールという、知財制度の根幹を揺るがす大問題が引き起こされている現状。
ばかばかしい!
そんな現状の知財業界を一笑に付すかのような、まさに宇宙規模、人類全体の利益に対するインセンティブという観点での向井さんの回答にはとても感激しました。
願わくば、「人類の発展に寄与した」と胸を張れる特許を一件でも多く書きたいものですな。
無重力、真空といった宇宙環境の具体的なパラメータのハナシから始まり、それを利用した物質の性質や振る舞いの実験について、動画を交えながらとても面白く分かり易く説明がありました。
また、医師である向井さんの専門分野として、宇宙で生活することによって人体に生じる影響についてのデータを色々と説明してもらえました。
人類が気軽に宇宙に出られるようになるにはまだ時間がかかりそうだけど、「何が問題か?」「何を解決すればいいのか?」が、色々と判明しているということはよくわかりました。宇宙旅行、そしてその先の宇宙移住が夢物語ではなくなってきているということにワクワクしました。
で、
質問コーナーでは、「UFO見たことありますか?」等、ざっくばらんな質問も多かったので、自分も宇宙と知財について思っていたことを質問してみました。
無重力や真空という宇宙の環境を利用して、例えば地上では不可能だったモノの製造が可能になるとか、地上よりも飛躍的に生産効率を高められるとか、そういった話は割と聞きます。
そうすると、「モノを製造する方法」みたいな特許が当然に出てくるわけです。
おそらく、
「無重力(微小重力)、且つ真空の空間において・・・することを特徴とする~の製造方法」
みたいな特許になるんでしょう。
宇宙はどこの国でもないのでどこの国の法律も適用されない、従ってどこの国の特許も適用されない
みたいな議論もありそうですが、とりあえずその話はここでは置いといて、宇宙利用の特許が有効に存在した場合のハナシ
そういった特許によって宇宙を利用した技術に独占権が発生する場合もあるでしょう。
かたや、
「宇宙は人類共有の資産」
という話もあり、向井さんの講演にもそういったメッセージが含まれているように感じました。
宇宙利用の特許の存在は、そんなメッセージに反するものとも言えますよね。
なので、
「宇宙は人類共有の資産」という考え方に対し、宇宙開発・研究に資金を投じ、その成果を特許として取得すること、その是非について向井さん個人のお考えを質問してみました。
その回答を要約すると
・宇宙開発や研究に資金を投じる事、研究・開発に向き合って努力する事、そういった事を推進するためには競争が不可欠。
・競争を起こすためには相応のインセンティブが必要なので、特許や著作権といった「いずれ消滅する」形でのインセンティブなら良いのではないか。
といった趣旨でした。
「いずれ消滅する」というところにピンときたので、重ねて
「特許は20年ですが、20年という期間は長いと思いますか?」
と質問すると、
・人の人生において20年という期間は長いが、人類の歴史という観点で考えれば大したことない。
という趣旨の回答。
これは素晴らしい!
知財制度の核心を突いています。
全ての人を幸せにするためにあるべき「技術」について、人ひとりの観点で考えれば長い20年という期間の独占が認められるのは、特許法の法目的では「産業の発達」とされていますが、つまりは「その方が社会全体にとって有益だから」です。
要するように、特定の人や企業に20年という長い期間の独占が認められるためには、それが「多くの人の生活」に寄与するような技術、「社会効率を向上させる」ような技術でなければならないわけです。
その部分は、特許法上では「進歩性」という要件で規定されていますが、この要件がザルなために、しょうもない特許がワンサカ。
そして特許合戦にいそしむ大企業は、そういった「社会全体の進歩」なんぞそっちのけで、ライバル企業との椅子取りゲームに夢中です。
そしてパテントトロールという、知財制度の根幹を揺るがす大問題が引き起こされている現状。
ばかばかしい!
そんな現状の知財業界を一笑に付すかのような、まさに宇宙規模、人類全体の利益に対するインセンティブという観点での向井さんの回答にはとても感激しました。
願わくば、「人類の発展に寄与した」と胸を張れる特許を一件でも多く書きたいものですな。
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