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あるクライアントと他の企業の間の商標のライセンス交渉、契約の代理についての出来事。
クライアントがライセンスを受ける側で、他の企業が許諾する側です。
そもそも法律的に判断すれば、「許諾は不要」という判断が十分にできる案件でした。
が、そこは私が惚れるクライアントですから、「挨拶はしておきたい」という誠意ある意識のもと、先方に御伺いを立ててみたのです。
自分の本音は、
「別に許諾なんてなくても大丈夫なはずだけど、一応挨拶に来てやったぞゴルァ」
みたいな感じだったんですが、私もギリギリ大人ですので、「許諾を頂きたい。お金は払えませんけど。」という低姿勢で望みました。
話してみたところ、
「無料であるにしろ、許諾という形を取って頂けた方がこちらも有難い」ということで、正式に契約書を交わすことになりました。
しかし、ここで問題が、というか私をキレさせる出来事が起こります。
先方が契約書のドラフトを作るということで、ドラフトを受け取ったところ、
「許諾する行為」として列挙されている行為が、いずれも商標権において指定商品・役務に指定されていない行為ばかりで、指定商品・役務に指定されている行為が全く挙げられていなかったのです。
これではライセンス交渉を行った事や、契約書を交わす意味がありません。
契約書なんて交わさなくても、それらの行為について何ら文句を言われる筋合いなど無いからです。
つまり、先方の企業は、私のクライアントの企業活動を、
「許す/許さない」ということを言う権利のない範囲に閉じ込めようとしたわけです。
企業として、非常に行儀の悪いことです。
百歩譲って、利益を追求する企業だから、企業にメリットのある主張を行うのは当たり前だ。
として、先方の企業の対応をまずは受け入れるとしましょう。
私が一番納得いかなかったのは、先方の企業側の代理人の姿勢。つまり先方の顧問弁理士の姿勢です。
当然ながら、弁理士はクライアント企業の利益のために行動します。
が、
それは金銭的な利益だけでしょうか?
知的財産に関する法律の専門家として、法律の趣旨を理解し、企業としての法律に対する考え方を指導していくのが、顧問としての務めだと思います。
今回のようなドラフトを企業が作った場合、
「これは良くないですよ。企業としての姿勢、礼儀が問われますよ。そもそも、今回の案件については必ずしも許諾が必要とは言えないんです。それでも相手方は筋を通そうとしてくれているんですよ。それらのに、こんなドラフト作って自分たちのメリットばかり主張していたら、まともな企業だとは思ってもらえませんよ。」
といったことをアドバイスするのが、顧問弁理士としての役割なのではないでしょうか。
個人によって考え方はあると思います。
また、契約書を結ぶ相手によっても対応は変わると思います。
確かに、どこの馬の骨かも知れないような企業との間で契約を結ぶのであれば、トコトンまで自己の利益を主張した対応になるでしょう。(まぁ、そんな対応を取る必要のある相手とはそもそも契約なんてしないと思いますが。)
しかし、私のクライアントは優良です。そしてライセンス交渉の場では、そのことを理解してもらうための説明に一番力を入れました。私のクライアントとの間に関係を結んでおくことが今後どれほど有益か、それは十分に理解してもらえたはず。だからこそ、無償での許諾にも応じて頂けたんだと思います。
そして、企業がリスク回避のために、時には他社の権利を抑圧するような態度になることも理解できます。
しかし!
相手方の顧問がそういった態度を諌められず、指摘する気すらないことには非常に憤ります。
それで「クライアントのメリットを考えている」というのは、かなり考えが浅はかなのではないでしょうか。
あのドラフトを見たことにより私は
「あぁ、こういう行儀の悪い企業なのか。大した企業じゃねぇな」
と思いました。そして、そのままドラフトをクライアントに提示するのであれば、
「誠意も礼儀も知らない企業だから、契約なんて結ばなくてもいいんじゃないですかね。」
というアドバイスをします。
これだけで、既に企業にとってデメリットが発生していると言えないでしょうか。
そしてこれは、ドラフトを出した企業の責任ではなく、それを指摘できなかった顧問の責任です。
特許や著作権法等の知的財産権に関する法律は、個人や企業の権利を守るためだけにあるのではありません。
個人や企業の権利が全く守られなければ、多くの人が「誰かが作った物をパクればいいや」と思ってしまい、「良いモノを作ろう」という意識が弱くなって、全体の発展が遅れてしまう。
しかし、個人や企業の権利が守られ過ぎると、一個人や一企業の独占によって一部の人間のみが裕福になり、全体の利益が損なわれてしまう。
そのバランスを取るためにあるのが知的財産に関する法律です。
そして、弁理士はそのような知的財産に関する法律の趣旨を理解し、クライアントの金銭的な利益を守ることが一番の役目です。
が、それと同時に、知的財産権法によって守られるべき社会全体の利益に対するクライアントの貢献をサポートするのも役割だと思います。
クライアント企業が利益を追求するあまり、法律を曲解したり拡大解釈したりして暴走した時、それを諌めるのは顧問弁理士の役目です。
「時には耳に痛いことも言う」
弁理士に限らず、顧問ってそういうもんでしょう?
あるクライアントと他の企業の間の商標のライセンス交渉、契約の代理についての出来事。
クライアントがライセンスを受ける側で、他の企業が許諾する側です。
そもそも法律的に判断すれば、「許諾は不要」という判断が十分にできる案件でした。
が、そこは私が惚れるクライアントですから、「挨拶はしておきたい」という誠意ある意識のもと、先方に御伺いを立ててみたのです。
自分の本音は、
「別に許諾なんてなくても大丈夫なはずだけど、一応挨拶に来てやったぞゴルァ」
みたいな感じだったんですが、私もギリギリ大人ですので、「許諾を頂きたい。お金は払えませんけど。」という低姿勢で望みました。
話してみたところ、
「無料であるにしろ、許諾という形を取って頂けた方がこちらも有難い」ということで、正式に契約書を交わすことになりました。
しかし、ここで問題が、というか私をキレさせる出来事が起こります。
先方が契約書のドラフトを作るということで、ドラフトを受け取ったところ、
「許諾する行為」として列挙されている行為が、いずれも商標権において指定商品・役務に指定されていない行為ばかりで、指定商品・役務に指定されている行為が全く挙げられていなかったのです。
これではライセンス交渉を行った事や、契約書を交わす意味がありません。
契約書なんて交わさなくても、それらの行為について何ら文句を言われる筋合いなど無いからです。
つまり、先方の企業は、私のクライアントの企業活動を、
「許す/許さない」ということを言う権利のない範囲に閉じ込めようとしたわけです。
企業として、非常に行儀の悪いことです。
百歩譲って、利益を追求する企業だから、企業にメリットのある主張を行うのは当たり前だ。
として、先方の企業の対応をまずは受け入れるとしましょう。
私が一番納得いかなかったのは、先方の企業側の代理人の姿勢。つまり先方の顧問弁理士の姿勢です。
当然ながら、弁理士はクライアント企業の利益のために行動します。
が、
それは金銭的な利益だけでしょうか?
知的財産に関する法律の専門家として、法律の趣旨を理解し、企業としての法律に対する考え方を指導していくのが、顧問としての務めだと思います。
今回のようなドラフトを企業が作った場合、
「これは良くないですよ。企業としての姿勢、礼儀が問われますよ。そもそも、今回の案件については必ずしも許諾が必要とは言えないんです。それでも相手方は筋を通そうとしてくれているんですよ。それらのに、こんなドラフト作って自分たちのメリットばかり主張していたら、まともな企業だとは思ってもらえませんよ。」
といったことをアドバイスするのが、顧問弁理士としての役割なのではないでしょうか。
個人によって考え方はあると思います。
また、契約書を結ぶ相手によっても対応は変わると思います。
確かに、どこの馬の骨かも知れないような企業との間で契約を結ぶのであれば、トコトンまで自己の利益を主張した対応になるでしょう。(まぁ、そんな対応を取る必要のある相手とはそもそも契約なんてしないと思いますが。)
しかし、私のクライアントは優良です。そしてライセンス交渉の場では、そのことを理解してもらうための説明に一番力を入れました。私のクライアントとの間に関係を結んでおくことが今後どれほど有益か、それは十分に理解してもらえたはず。だからこそ、無償での許諾にも応じて頂けたんだと思います。
そして、企業がリスク回避のために、時には他社の権利を抑圧するような態度になることも理解できます。
しかし!
相手方の顧問がそういった態度を諌められず、指摘する気すらないことには非常に憤ります。
それで「クライアントのメリットを考えている」というのは、かなり考えが浅はかなのではないでしょうか。
あのドラフトを見たことにより私は
「あぁ、こういう行儀の悪い企業なのか。大した企業じゃねぇな」
と思いました。そして、そのままドラフトをクライアントに提示するのであれば、
「誠意も礼儀も知らない企業だから、契約なんて結ばなくてもいいんじゃないですかね。」
というアドバイスをします。
これだけで、既に企業にとってデメリットが発生していると言えないでしょうか。
そしてこれは、ドラフトを出した企業の責任ではなく、それを指摘できなかった顧問の責任です。
特許や著作権法等の知的財産権に関する法律は、個人や企業の権利を守るためだけにあるのではありません。
個人や企業の権利が全く守られなければ、多くの人が「誰かが作った物をパクればいいや」と思ってしまい、「良いモノを作ろう」という意識が弱くなって、全体の発展が遅れてしまう。
しかし、個人や企業の権利が守られ過ぎると、一個人や一企業の独占によって一部の人間のみが裕福になり、全体の利益が損なわれてしまう。
そのバランスを取るためにあるのが知的財産に関する法律です。
そして、弁理士はそのような知的財産に関する法律の趣旨を理解し、クライアントの金銭的な利益を守ることが一番の役目です。
が、それと同時に、知的財産権法によって守られるべき社会全体の利益に対するクライアントの貢献をサポートするのも役割だと思います。
クライアント企業が利益を追求するあまり、法律を曲解したり拡大解釈したりして暴走した時、それを諌めるのは顧問弁理士の役目です。
「時には耳に痛いことも言う」
弁理士に限らず、顧問ってそういうもんでしょう?
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