ヲタク弁理士CIVの知財妄想

キャラクター名商標登録排除論(過去ログサルベージ)

2015/02/24 12:51 投稿

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できれば移転後ブログの方を御覧ください

※あくまでもヲタクの妄想です。

アニメ等のキャラクター名が登録商標になる場合があります。

 『ガンダム』なんかだと、キャラクター(っていうかモビルスーツ)の名称であると同時にシリーズ名でもあるので、商標登録はするべきなんですが、シリーズに出てくるキャラクター等の名前が登録されることがあります。
 例えば、ガンダムに出てくる人気モビルスーツの『キュベレイ』(登録4378273)、『クインマンサ』(登録4519013)っていう登録商標があったり、更には『のび太君』なんて登録商標があったりします。
 こういった、シリーズ名ではない、単なる登場人物(含、登場するロボット、モビルスーツ)の商標登録は、排除するべきだという知財妄想。

 そもそも商標登録の効果とは、
・指定商品・役務について、登録商標を独占的に使用できる(商25条)
・類似範囲で、他人の使用を排除できる(商37条)
というもの。

 なので、上記の『キュベレイ』や『クインマンサ』といった登録商標の指定商品・指定役務として、プラモデルを含むような概念の商品が指定されていると、商標権者の許可を得なければ『キュベレイ』や『クインマンサ』のプラモデルは原則として製造、販売できないということになります。

 一方、アニメなんかの知的財産としてはむしろ「著作権」が問題になることが多いのは皆様御存知の通り。そして、アニメに出てくるロボット(モビルスーツ)のプラモデルを製造、販売するためには、著作権者の許諾を受ける必要があり、さらに言えば著作権者の許諾さえ受ければ製造、販売しても良いということになります。

 ここで問題となるのが、「商標権者」と「著作権者」とが異なる場合。
 この場合、仮に「著作権者」から『キュベレイ』や『クインマンサ』のプラモデルの製造、販売の許諾を受けたとしても、「商標権者」がNOと言うと、いくら『キュベレイ』や『クインマンサ』の形をしたプラモデルであっても、『キュベレイ』や『クインマンサ』といった名前で売ると商標権侵害ということになるわけです。

 ガンダムシリーズの「著作権者」について掘り下げるとすっごい面倒なので、ここでは「著作権者」としますが、上記『キュベレイ』や『クインマンサ』の「商標権者」は、ガンダムシリーズの「著作権者」とは違う玩具会社です。なので、とある小規模だけど有力な模型製作会社が『キュベレイ』や『クインマンサ』のプラモデルを製造、販売することについて「著作権者」の許諾を受けたとしても、上記玩具会社がNOと言えば、『キュベレイ』や『クインマンサ』といった名前で売ることはできないという、ヘンテコな事態が発生します。

 ここで、キャラクター名とは別の話ですが、参考にしたい話があります。
 XYZというスタンダードカクテルがあります。
 スタンダードカクテルなので、商標登録されるべきものではないはずですが、それを商標登録出願した企業が昔いました。そして、その出願は登録されてしまったのです。
 その結果、スタンダードカクテルとして世界中の人が自由に楽しめるはずの『XYZ』というカクテルの名前が、日本国内ではとある企業によって独占されるという事態が発生します。

 まぁ、明らかな過誤登録で、仮にそのまま登録されていたとしても、そんな登録商標に基づく権利行使はできないように商標法はできているのですが、これについては第三者による異議申し立てによって意義が確定し、登録が取り消されます。その取消の理由が以下

 登録異議申立人の提出に係る甲第1号証の1ないし甲第2号証の25を総合すると、ラム酒をベースとしたカクテルの一つに、「X.Y.Z.」(あるいは「XYZ」)、その片仮名表記を「エックスワイジィ」(片仮名表記には、「エックスワイジー」、「エックスワイゼット」なども散見できる。)とする名称のものがあり、その名称の由来について、「X.Y.Z.は、アルファベットの終わり。つまり、もうこれ以上ない最高のカクテル」等の記載とともに、該カクテルの作り方などが、本件商標の査定(平成18年10月11日)前より、カクテルに関する書籍や雑誌等に多数掲載されていたことが認められる。
(引用終わり)

 要は、「XYZってカクテルは、もとからあるでしょ」と言ってるわけです。
 しかし、逆に言えば、スタンダードカクテルの名称なんて誰のものでもない、では、基本的に早い者勝ちの商標法においてどういうカラクリで取消ということになるのか。
 適用された条文は2つ

1つは、3条1項3号
 3条1項3号というのは、簡単に言えば「その商品を説明するだけの文字や記号っていうのは、商標なんかじゃありませんよ。」というもの。記述的商標と呼ばれます。
 わかりやすい例をあげるとすれば、指定役務として「飲食物の提供」や「イタリア料理の提供」が指定された場合に、「イタリアン」なんて商標が出願された場合ですね。
 この「X.Y.Z.」の場合は、指定商品のうち「洋酒」が入っており、その中には当然の如くスタンダードカクテルの「X.Y.Z」も含まれるわけです。つまり、「洋酒」という商品において、「X.Y.Z.」という商品の質を示しているだけなので、商標なんかじゃないよ、という理屈。ごもっとも。

もう1つは、4条1項16号
 これは、「品質又は役務の質の誤認を生じさせる商標は、登録できませんよ。」というもの。
 例としては、「フランス料理の提供」が指定役務なのに、「イタリアン」なんて商標が出願された場合。そして、それに限らず、「飲食物の提供」を指定役務としても、「イタリアン」ではだめで、この場合は、指定役務を「イタリア料理の提供」としないとだめです。(まぁ、そうしたとしても、4条1項16号が解消するだけで、上記の3条1項3号でダメですが。)少し突っ込むと、「フランス料理の提供」が指定役務なのに、「イタリアン・ボンバー」という商標が出願された場合にも、「イタリアン」が入ってるので、役務の質の誤認を生じる恐れがあると判断されます。この場合、指定役務を「イタリア料理の提供」にするか、商標を「フレンチ・ボンバー」にしなきゃだめですね。まぁ、そんな爆発しそうな名前をフレンチのレストランには使わないだろうけど。(フレンチ・ボンバーってレストランあったら御免なさい。)
 で、「X.Y.Z.」の登録。指定商品である「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」には、カクテルの「X.Y.Z.」以外の酒も当然含まれるわけです。そんな他の酒にこの「X.Y.Z.」を商標として使用すると、「X.Y.Z」じゃないのに、そうだと思われちゃって品質の誤認が起こるでしょ、という理屈。ごもっとも。

つまりは、
 既に何かの商品や物体を示す名称としてある程度知られている言葉っていうのは、基本的には商標法上の何らかの規定に引っ掛かって登録はされないようになっているわけです。

であるならば!!
※妄想開始

 日本を代表するアニメコンテンツであるガンダムシリーズ、その中でも人気のモビルスーツである『キュベレイ』や『クインマンサ』という存在は、上記の『XYZ』と同様に考慮されても良いのではないかと!
 つまり、『キュベレイ』『クインマンサ』といった言葉は、ガンダムシリーズに登場するニュータイプ専用モビルスーツを示す言葉であるので、仮に「プラモデル」を指定商品とする場合、『キュベレイ』や『クインマンサ』に使えば、その商品を説明しているだけだし、『キュベレイ』や『クインマンサ』以外に使えば、品質の誤認を招くのではないかと!

思うわけで御座います。

 というわけで、キャラクター名の登録商標は排除するべきだということを、ヲタク弁理士としてここに強く主張する次第でございます。

 まぁ、キャラクターがどれだけ有名かによって考えなきゃいけないから、実質的には難しいんだろうけどね。


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