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<北朝鮮>市場は盛況、国営百貨店は閑散
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◇市場経済の波にさらされる社会主義経済両江道恵山(ヘサン)市の「恵山市場」は人々で賑わっている。米、肉、衣類など多種多様な品が並んでおり、あちこちで価格交渉をする声も聞こえてくる。一方、付近にある「恵山百貨店」は対照的な姿を見せている。きれいに整えられた建物内部には、市場では見ることのできない高級製品が並んでいるが、肝心の客の姿が見当たらない。今やお飾りとなった国営商店と、賑わう市場の様子を、北朝鮮内部にいるアジアプレスの取材協力者が2012年11月に撮影した。(整理 南正学)現地の住民は、市場と国営商店の差をどう見ているのか?2009年まで恵山市に住んでいたある脱北者は「百貨店は商品の種類も少なく、値段も高い上に、価格交渉もできません。それと比べ市場は、品物が豊富で、価格交渉も自由なので、庶民は市場を好んで利用します」と説明する。百貨店などの「国営商店」に並ぶ品は、今やほとんどを中国産が占めている。経済難により国内の工場の稼動もままならず、国内生産品では売り場を埋めることができないからだ。外貨稼ぎを行う貿易会社や、中国への親戚訪問者、華僑など、中国と行き来する人々を介し仕入れた品がほとんどだ。北朝鮮では、住民の間で人気の高いテレビやラジオなどの中国産の電子機器を、「収買商店(海外製品を買い取り、一般の住民に販売する)」や「国営商店」で売るよう統制している。しかし、こうした場所で売られている品物は、機能制限があったりで何かと不便なため、住民は好まない。例えばラジオは国営放送だけ聞けるよう周波数が固定されているし、パソコンからはCDをコピーする機能が外されている。今回撮影された映像には、国営商店の一つである「踏査専門商店」も見える。元々は白頭山にある故金正日総書記の生家(捏造である)や「普天堡(ポチョンボ)戦闘」の戦跡地などを訪れる観光客用の店だったものが、商売不振により売り場を個人に経営委託し、今では市場経済式に運営されている。市場経済の波は、米の流通にも影響を与えている。撮影された「糧穀販売所」では住民の姿も、管理する人の姿も見えない。ここは本来、国家が定めた、米を売り買いできる唯一の場所だったのが、今では市場にその地位を奪われている。米を売る商売人が少しでもお金を稼ごうと、市場で米を売り始めたからである。このように、今回撮影された映像からは、社会主義経済における「国営流通」が麻痺し、市場経済化している北朝鮮経済の現状を読み取ることができる。
配信期間
2013年06月12日 15:53 から
2038年01月01日 00:00 まで
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