中国の老僧との出会いを取り上げた(その2)に引き続き、今度は食事を作るときの心得『典座教訓』が紹介されています。
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【結城登美雄の食の歳時記#37】 (禅と食編・その3)
日本料理のルーツ、精進料理の祖とも言うべき道元禅師の『典座教訓』という食事を作る時の心得を書いた本は、書かれてからもう750年以上も経っているのに、今でも胸に突き刺さるほど新鮮で、なおかつ食べ物のの基本を問いかけているように思えます。
講談社学術文庫より出版
要点を抜粋しますと、
「材料は旬のものを選び、味付けは六味(酸味、甘味、塩見、辛味、苦味、旨味)を整えなさい」
「食材を人間の目のように(ここまで183文字/1,049文字中)大切に扱いなさい」
「献立を作るときは食べる者の希望を聞き、おかずの数をそろえて、調理法を決め、それをみんなに知らしめるために紙に書いて張り出しなさい」
「料理は清潔が第一」
「食器を整理整頓しなさい」
「時間を計算して料理しなさい」
「段取りをちゃんと考えなさい」
「料理を粗末なものや上等な食材という差別をつけてばいけない」
「祖末なものほど工夫しておいしくしなさい」
「人に任せず、自分でやりなさい」。
耳の痛いことがたくさん書かれています。
以上は本の一部ですが、私たちが常日頃、無意識のうちに行っているのことや、つい忘れてしまっている食事をつくるための基本がまとめられていまあす。それが年月を重ねて受け継がれていって、さまざまな料理書に影響を与えています。例えば、日本料理の基本である「五味、五色、五法」というもの。五つの味、五つの色、五つの調理方法。五色とは、赤、緑、黄、白、黒のことで、五つの色のことをちゃんと考え料理しななさい、という意味です。
調理法については、生、煮る、揚げる、焼く、蒸すをうまく組み合わせなさい、ということ。こうして調理法が確立し、それが京料理や私たちの家庭調理にまで広がり、「一汁一菜」の献立様式が出来上がってきました。さらに、道元さんは美食を戒め、粗食を常とし、肉や魚を使わないようにしました。こうして、穀物や野菜、味噌を中心にしたいわば日本料理の原点が整っていきます。
例えば、豆腐、湯葉、精進揚げ、麩、漬け物など、私たちの家庭料理には道元さんの精進料理が影響しています。また味噌や醤油などの普及にも寄与しています。道元さんによって始まった日本の精進料理が、いかに私たちの生活に入っているか、その料理の名の一部を挙げてみます。けんちん汁、あずき粥、柿なます、千枚漬け、かぶら蒸し、がんもどき、栗おこわ、胡麻和え、胡麻豆腐、山菜天ぷら、すまし汁、ふろふき大根、おかゆなど数えきれません。みなさんのお宅ではいかかでしょうか。今日、明日におつくりになる料理と道元さんとのつながりを考えていただけたら嬉しいなと思います。(その4に続く)
【プロフィール】結城登美雄(ゆうき・とみお)
1945年、中国東北部(旧満州)生まれ。宮城教育大学、東北大学大学院非常勤講師。「地元学」の提唱で2005年芸術選奨・文部科学大臣賞受賞。著書に「地元学からの出発―この土地を生きた人びとの声に耳を傾ける」(農文協)「東北を歩く―小さな村の希望を旅する」(新宿書房)など
【これまでの記事】
■結城登美雄の食の歳時記#35<禅と食編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar492893
■結城登美雄の食の歳時記#30<コメの話編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar368627
■結城登美雄の食の歳時記#25<川の恵み編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar311987
■結城登美雄の食の歳時記#20<中山間地域編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar238181
■結城登美雄の食の歳時記#16<農山村と若者編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar215232
■結城登美雄の食の歳時記#12<浜の暮らし編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar190685
■結城登美雄の食の歳時記#8<食育編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar164946
■結城登美雄の食の歳時記#4<麦編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar139064
■結城登美雄の食の歳時記#1<暦編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar126106
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【結城登美雄の食の歳時記#37】 (禅と食編・その3)
日本料理のルーツ、精進料理の祖とも言うべき道元禅師の『典座教訓』という食事を作る時の心得を書いた本は、書かれてからもう750年以上も経っているのに、今でも胸に突き刺さるほど新鮮で、なおかつ食べ物のの基本を問いかけているように思えます。
講談社学術文庫より出版
要点を抜粋しますと、
「材料は旬のものを選び、味付けは六味(酸味、甘味、塩見、辛味、苦味、旨味)を整えなさい」
「食材を人間の目のように(ここまで183文字/1,049文字中)大切に扱いなさい」
「献立を作るときは食べる者の希望を聞き、おかずの数をそろえて、調理法を決め、それをみんなに知らしめるために紙に書いて張り出しなさい」
「料理は清潔が第一」
「食器を整理整頓しなさい」
「時間を計算して料理しなさい」
「段取りをちゃんと考えなさい」
「料理を粗末なものや上等な食材という差別をつけてばいけない」
「祖末なものほど工夫しておいしくしなさい」
「人に任せず、自分でやりなさい」。
耳の痛いことがたくさん書かれています。
以上は本の一部ですが、私たちが常日頃、無意識のうちに行っているのことや、つい忘れてしまっている食事をつくるための基本がまとめられていまあす。それが年月を重ねて受け継がれていって、さまざまな料理書に影響を与えています。例えば、日本料理の基本である「五味、五色、五法」というもの。五つの味、五つの色、五つの調理方法。五色とは、赤、緑、黄、白、黒のことで、五つの色のことをちゃんと考え料理しななさい、という意味です。
調理法については、生、煮る、揚げる、焼く、蒸すをうまく組み合わせなさい、ということ。こうして調理法が確立し、それが京料理や私たちの家庭調理にまで広がり、「一汁一菜」の献立様式が出来上がってきました。さらに、道元さんは美食を戒め、粗食を常とし、肉や魚を使わないようにしました。こうして、穀物や野菜、味噌を中心にしたいわば日本料理の原点が整っていきます。
例えば、豆腐、湯葉、精進揚げ、麩、漬け物など、私たちの家庭料理には道元さんの精進料理が影響しています。また味噌や醤油などの普及にも寄与しています。道元さんによって始まった日本の精進料理が、いかに私たちの生活に入っているか、その料理の名の一部を挙げてみます。けんちん汁、あずき粥、柿なます、千枚漬け、かぶら蒸し、がんもどき、栗おこわ、胡麻和え、胡麻豆腐、山菜天ぷら、すまし汁、ふろふき大根、おかゆなど数えきれません。みなさんのお宅ではいかかでしょうか。今日、明日におつくりになる料理と道元さんとのつながりを考えていただけたら嬉しいなと思います。(その4に続く)
【プロフィール】結城登美雄(ゆうき・とみお)
1945年、中国東北部(旧満州)生まれ。宮城教育大学、東北大学大学院非常勤講師。「地元学」の提唱で2005年芸術選奨・文部科学大臣賞受賞。著書に「地元学からの出発―この土地を生きた人びとの声に耳を傾ける」(農文協)「東北を歩く―小さな村の希望を旅する」(新宿書房)など
【これまでの記事】
■結城登美雄の食の歳時記#35<禅と食編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar492893
■結城登美雄の食の歳時記#30<コメの話編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar368627
■結城登美雄の食の歳時記#25<川の恵み編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar311987
■結城登美雄の食の歳時記#20<中山間地域編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar238181
■結城登美雄の食の歳時記#16<農山村と若者編>
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■結城登美雄の食の歳時記#12<浜の暮らし編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar190685
■結城登美雄の食の歳時記#8<食育編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar164946
■結城登美雄の食の歳時記#4<麦編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar139064
■結城登美雄の食の歳時記#1<暦編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar126106
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