食(じき)=すなわち禅なり
日本の食の哲学を作った道元禅師。私たちが食事のときになにげなく使っている「いただきます」という言葉、食材の旬の大切さ、料理をするときの心得などを、日本で初めて本格的に唱えた人です。道元禅師と、精進料理についてお話をしています。
人間は五欲をもつ、そんな存在だといわれています。五欲とは、一)財欲、二)色欲、三)食欲、四)名誉欲、五)睡眠欲です。
まず財欲ですが、お金に対する欲はなかなかつきることがないですね。日本人はバブルまで引き起こしてしまいました。わたしの場合は、少々諦めかけています。色欲。これも思い当たりますね。これも実は諦めています。なにせもういい年ですから。次は、名誉欲。これには若いときにはずいぶん翻弄されました。が、このごろは段々なくなってきました。食欲と睡眠欲。これはまだまだつきるところがありません。食欲がなくなったら人間も終わり。人間が最後まで持つ欲求が食欲なのではないでしょうか。食欲は人間の本性に最後まで残るものだからなかなかコントロールできない。ついついむさぼり飽食となってしまう。しかしそれでは動物と同じではなのか。動物と人間の違いを食をテーマに据えて、それを追い求めるところから日本料理の歴史、食文化の歴史が始まったと言えます。
健康や環境との調和、食と人間の関係のありようという考え方から、世界が注目している日本型食生活の原点、そのルーツともいえる精進料理などを通じて日本人が食とどのように向かい合ってきたのかを探ってみたいと思います。(「その2」に続く)
【関連動画(会員は無料/非会員は200ptで視聴可能)】
http://www.nicovideo.jp/watch/1376088950
【プロフィール】結城登美雄(ゆうき・とみお)
1945年、中国東北部(旧満州)生まれ。宮城教育大学、東北大学大学院非常勤講師。「地元学」の提唱で2005年芸術選奨・文部科学大臣賞受賞。著書に「地元学からの出発―この土地を生きた人びとの声に耳を傾ける」(農文協)「東北を歩く―小さな村の希望を旅する」(新宿書房)など
【これまでの記事】
■結城登美雄の食の歳時記#30<コメの話編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar368627
■結城登美雄の食の歳時記#25<川の恵み編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar311987
■結城登美雄の食の歳時記#20<中山間地域編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar238181
■結城登美雄の食の歳時記#16<農山村と若者編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar215232
■結城登美雄の食の歳時記#12<浜の暮らし編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar190685
■結城登美雄の食の歳時記#8<食育編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar164946
■結城登美雄の食の歳時記#4<麦編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar139064
■結城登美雄の食の歳時記#1<暦編>
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar126106
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