<マル激・後半>トラウマを乗り越えることの難しさを社会は理解できていない/伊東ゆたか氏(児童精神科医)

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 故ジャニー喜多川氏(本名・喜多川擴=2019年7月9日死去)の性加害問題について、ジャニーズ事務所が事実を認めて謝罪をしてから1年余りが過ぎた。  10月15日、ジャニーズ事務所の後継会社であるスマイルアップは、ホームページ上で500人余りに補償金を支払ったことを公表した。それを受け、翌16日にはNHK会長が記者会見で「(ジャニーズ事務所を引き継いだ)スタートエンターテイメント所属のタレントへの出演依頼を可能とする」と発言するなど、業界全体で事態の幕引きを図ろうとしているのが透けて見える。  しかし、問題は解決しているわけではない。  故人とはいえ、500人を超える未成年者に対して行われた性加害は、簡単に忘れ去られてよいものではない。この数字も、あくまで事務所が認めたものであり、実際にどれほどの被害者がいるのかも定かではない。性犯罪とも言える行為の検証も行われないままの幕引きを許してしまう社会の在り方自体が、性加害が繰り返される温床となる。  これに先立ち10月9日には被害当事者が記者会見を行い、トラウマを抱えながら何とか生き延びてきたこの1年について語った。会見では誹謗中傷に晒された上に、旧ジャニーズ事務所の心ない対応に傷つけられ、命を失った仲間や日本で暮らすことを断念し海外に移住した仲間のことが紹介された。傷つけられるのを覚悟の上で、被害者自身が被害を訴え出ることによってしか問題解決の糸口が見つけられない現在の日本の実態が、重い課題として社会に突きつけられている。  子どものトラウマに向き合ってきた児童精神科医の伊東ゆたか氏は、トラウマを生き延びたトラウマサバイバーたちに向けられる社会の眼差しがとても重要になると語る。トラウマからの回復には時間がかかる。トラウマを抱えながらも今まで生きてこられたのは本人にはその能力があったからだと理解し、トラウマからの回復は可能だという前向きな姿勢を持つことが大切になる。被害者に対する誹謗中傷など、とんでもないことだ。  臨床の現場では、トラウマ・インフォームド・ケアという考えが導入されていると伊東氏は言う。ケアを受ける本人も、支援者も、まずトラウマを意識することが重要になる。これは「トラウマのメガネ」という言い方もされている。児童相談所などの現場では、性被害も含めさまざまな小児期の逆境体験をしている子どもたちを支援する枠組みとして、生活環境からの様々なアプローチの方法も試みられているという。  トラウマに対する理解が圧倒的に不足しているなかで、性被害を含めたトラウマをどうしたら乗り越えられるのか。今もトラウマを抱える子どもたちと向き合っている伊東ゆたか氏と、社会学者の宮台真司とジャーナリストの迫田朋子が議論した。前半はこちら→so44231423(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

配信期間

2024年10月21日 12:00 から

2025年01月20日 23:59 まで

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