株式会社ドワンゴ 代表取締役会長
川上量生 様
(CC:niconicoユーザー様)
いつもお世話になっております。
ch424『ニコニコゲーム実況チャンネル』を運営しております、
スタジオえどふみのふみいちと申します。
この度は川上様の著書『ルールを変える思考法』の書評オファーを頂きまして、誠にありがとうございます。
さて、さっそくではありますが、『ルールを変える思考法』を読ませて頂いた上での個人的に気になった部分をざっくりではありますが記載させて頂きますので、ご確認頂ければ幸いです。
以下インラインにて失礼致します。
<P.68 『簡単に越えられる山なら、その先は血みどろの市場』より>
> ビジネスではプロセスを考えるのが大切です。(中略)化学変化を起こすには何が必要
> なのかを考える。つまり、ビジネスを始める以前から「Cの段階でどうするか」をイメ
> ージしておくわけです。
私は、上記のような考え方をしたくてもなかなか出来ない人間の一人です。
というのも、「Cの段階」がいつ来るのか想像ができず、仮にいつの間にか「Cの段階」に突入していたとしても、結果的にそのタイミングにたまたま存在していた“触媒”に助けられることが多いからです。
様々な経営者の方々が川上様と似たような考え方を持っているように感じますが、どのようにして「Cの段階」を見極めるのか、ご教授願いたいものです。
<P.90 『人の感情を動かすのは「わかりそうで、わからないもの」』より>
> 人はなぜ、わかりそうで、わからないものに惹かれるのか。生物の進化のプロセスから説
> 明ができるんじゃないかと僕は想像しているのです。
上記仮説から始まるお話は、大変興味深く、同時に、とても納得がいくものでした。
私の好きなジャンルに、「ホラー」や「オカルト」、「都市伝説」や「風習」などといったものが挙げられるのですが、これは私だけではなく、世界中にファンを多く持つジャンルであると言えるでしょう。
この度『ルールを変える思考法』というタイトルのビジネス書から、その理由がわかったのは、良い意味で驚きでした。
<P.116 『クリエイター側に立った仕組みなら必ず支持されると考えた』より>
> ユーザーにとってクリエイターは「神」にもなり得る存在なので、その距離を縮めたいと
> いう感情を持つのは自然なこと。つまり、そこではファンクラブビジネスに似た構図をつ
> くっていくこともできるわけです。
現在私共の運営している『ニコニコゲーム実況チャンネル ブロマガ』では、まさにここにあるような“ファンクラブビジネス”が成立しており、ありがたいことに開設2ヶ月足らずで総合会員数4位という記録も頂きました。知名度を考えると異例ではないかと自負しております。
ただ、今後ブロマガなどの有料会員システムを“ファンクラブビジネス”として捉える場合、致命的な欠陥として、「会員を数でしか把握できない」という部分があることに危機を感じております。
せっかく会員になってくれた方がいたとしても、そこに対して運営サイドから還元できることがとても少ないのです。
実際に熱狂的なファンの方であれば、コンテンツがなんであれ納得して入会している訳なので、特に問題はないのかもしれませんが、コンテンツホルダー側から見た場合、そこにギブアンドテイクが正しく発生しているか不安になることがあるのです。
どこかのタイミングでバランスが崩壊し、インフラのせいでコンテンツホルダーが被害を被るなどといった事態が起こらないように、より双方納得できるシステムとなっていくことを願っております。
<P.137 『現実でできないことを実現できるからゲームは面白い』より>
> ブラウザ三国志のことなどを振り返っているうちに、また新しいゲームがやりたくなって
> きました。僕がやりたいのは、ゲームが好きで好きでたまらないような人間がつくったゲ
> ームです。そしてまた、のどかなものではなく、「殺伐としたゲーム」がやりたい。
勝手な想像で恐縮ではありますが、ブラウザ三国志を川上様がプレイして楽しかった部分というのは、ゲームの中身というより、そのとき出来たコミュニティだったのではないでしょうか。
私は昔「FFXI」を5年程プレイしていたことがあるのですが、以降どのような素晴らしいMMORPGが発売しても「FFXI」を超えた感動を味わうことはありませんでした。
それは、ログインするモチベーションになり得るコミュニティがゲーム内に作れなかったからです。
ゲーマーにとってコミュニティは非常に重要なものであり、それ次第ではどんなゲームも所謂神ゲーになる可能性を秘めていると私は思っています。
今niconicoでは定期的にゲームの大会が大掛かりに催されているようですが、個人の実力によって優劣が決まるという企画は私に言わせればniconicoらしくありませんし、ユーザーのモチベーションを上げ、それを持続させる要素を孕んでいるとは思えません。
もっとコミュニティレベルで、それこそ川上様がドワンゴ社員の皆様と取り組んだブラウザ三国志のときのような人の巻き込み方を企画に落とし込んで、まさに殺伐とした大会を展開することができれば、もしかしたらniconicoらしい結果を残せるのではないでしょうか。
あくまで素人レベルの発想ですが、少なくとも私は、そのような大会がniconicoらしく開催された際には、俄然注目することになりそうです。
以上です。
長々と好き勝手なことを書かせて頂き失礼致しました。
お忙しい中大変恐縮ではございますが、ご確認の程何卒宜しくお願い申し上げます。
スタジオえどふみ
ディレクター/構成作家/タレント
ふみいち
とまぁ、冗談はこのくらいにしておいて。
改めまして、スタジオえどふみのふみいちと申します。
今回、川上量生氏の『ルールを変える思考法』の書評をドワンゴ様からオファー頂き、最初はどうしたものかと悩みました。
「私のような人間がこの書を評するなどというおこがましいことがどうしてできるだろうか。」といったような考えがあった為です。
が、「様々な形で書評がピックアップされ、チャンネルのプロモーション効果もありますよ」などというチャンネル担当者様のわかりやすい釣り文句により、引き受けることになったわけですね。
引き受けた後は、どう書くかということについて数パターン考えていたのですが、実際に『ルールを変える思考法』が届き(引っ越しのクソ忙しい中)、読んでみた結果(引っ越しのクソ忙しい中)、それまで考えていたプランをすべて破棄し、上記のような形となりました。
これにはいくつかの理由があるのですが、何よりも大きかったのが、
“川上量生氏の人間性を垣間見ることができたから”です。
会長(しかも株式会社ドワンゴ)という肩書がある以上、どうしても、偉いとか、凄いとか、恐いとかいうイメージが少なからず私の中に存在していたわけですが、『ルールを変える思考法』を読んだ結果、「あれ、この人確かに凄いことしてる人だけど、根はゲーム好きのNGCユーザーと一緒なのかもしれない」と自分の立場をわきまえない勝手なイメージを持つに至り、同時に、「川上さんの考えていること、やりたいことは、今niconicoで出来ているのかな」と疑問に感じました。
そのイメージに甘え、書評という名を借りた直談判を実施し、抱いた疑問を単刀直入に本人にぶつけてみたというわけです。
ちなみに、これによりなんらかのトラブルが発生した際は私個人の責任ですので、私を咎めて頂ければと思います。
最後に。
『ルールを変える思考法』は、niconicoユーザーより、ドワンゴ社員の方に読んでほしいです。
2013年11月24日(日)スタジオえどふみ ふみいち
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真面目に書いてる
と思ったけどww