ニコニコチャンネルメニュー

DHCテレビ

DHCテレビブログ

志方俊之(帝京大学名誉教授・元陸将)×丹羽宇一郎(元駐中国大使・前伊藤忠商事取締役会長)基調対談レポート~危機管理産業展2017より~

2017/10/29 18:00 投稿

  • タグ:
  • 登録タグはありません
  • タグ:
  • 登録タグはありません

 毎年秋に東京ビッグサイトで開催され、2017年で13回目となった国内最大級の危機管理トレードショー「危機管理産業展」。本年は1011日~13日に渡り開催され「防災・減災ゾーン」「セキュリティゾーン」「事業リスク対策ゾーン」の3分野に分かれた展示内容で、自治体・民間企業の危機管理担当者に最新の情報を提供した。


0c5d8f45255b9be4b6575359c957dfb77ed42470



毎年、この大規模展示の冒頭を飾るのが、帝京大学名誉教授で元陸将の志方俊之がホストを務める基調対談である。多彩なゲストを招き、その時々の日本を取り巻く安全保障情勢に関する対談が行われる。昨年は小野寺五典防衛大臣(当時は衆議院議員)、一昨年は小池百合子都知事(当時は衆議院議員)がゲストであった。本欄では、本年の基調対談の模様をレポートする。


去る1012日に行われた基調対談では、前伊藤忠商事株式会社取締役会長で、2010年~12年まで民主党・菅内閣で駐中国大使を務めた丹羽宇一郎氏をゲストに「日本の危機管理はどう変わる~世界の大きな変化の中で~」というテーマのもと、60分に渡り対談が行われた。500名収容の会場は多くの来場者で埋め尽くされ、期待の高さを伺わせた。


66c743a7cf72efa7231f3237f16a0a23297532fe



 

 

領土問題は棚上げから“凍結”へ

対談冒頭、志方氏は「北京に赴任されたのは尖閣諸島国有化の時期。対日感情が厳しかったのでは?」と切り出した。受けて丹羽氏は「どなたがやっても日中関係に満点の答えはない。ただひとつハッキリしているのは、島(尖閣諸島)の問題はおそらく解決しないだろうということ」と語り、領土問題を“棚上げ”してきた歴史的経緯に言及。そして棚上げが嫌ならむしろ“凍結”すべきと主張した

45d5b2ae84db6458383c39a07f40f002b32f7673


4d6d3cb598bcbc98d29677a6f5a5434dc9a919d5


更に、日本が尖閣問題を譲歩出来ない理由として、島に付随する①漁業権と②資源の共同開発権の存在について触れた。一方で「中国は尖閣に対する日本の実行支配を暗黙のうちに認めてきた」とし、日中双方が“棚上げ”状態で了解しあっていたものを、今ここにきて決着をつけようとするが故に揉めていると現状を分析。「習近平とは13回面談したが、『中日両国は住所変更不可、だから仲良くするしかない』それが彼の基本的な考え方」とも語った。

 

領土問題は解決が難しく“凍結”すべきと主張する丹羽氏に対し志方氏は、中国は14もの国々と国境を接しており、そもそも日本とは「国境」の概念が異なると指摘した。



 

 

日中関係改善のために

日中の領土問題を巡っては、中国公船による領海侵犯や中国軍艦によるレーダー照射事件、中国軍機による接近行動など軍事的緊張も高まる中、果たして両国は今後、どのように関係改善を図るべきなのだろうか?

 

丹羽氏は、日中が直接の軍事衝突になった場合「制空権は軍機の数からいって中国に勝てない。領土問題は国同士の争いになると戦争しかない。しかし出来るだけ避けるように政治が動いていかなければならない」と語り、そして「世界が『日本の判断は正しい』と思うように持ち込まないといけない」と主張。現在の日中関係の冷え込みを改善し尖閣問題を解決するためには、安倍首相と習近平国家主席とが、島の①漁業権と②資源共同開発権について真正面から話し合うのが唯一の危機管理と語った。

また、中国の南シナ海進出を例に出し、日本が示すべき態度は「対中強硬でもなく、米国追従でもなく、アジア諸国の“後ろ盾”になること」と主張した。



 

 

北朝鮮問題も“凍結”と“話し合い”で解決

一方で、昨今キナ臭さを増している北朝鮮情勢については「一番の問題は中国はもう北朝鮮と意思の疎通が出来ないこと」と語り、両国の対話ルートが無い事を示唆した。そして、現在の米国主導の“圧力”は、相手が金正恩のように危険人物の場合、追い込みすぎると「窮鼠猫を噛む」になる可能性があると指摘。米国による圧力は、日本を対米開戦へと引きずり込んだ「ハルノート」であるとし、このまま制裁を強化すれば同様の事態が起きると警鐘を鳴らした。そして、日本が米国の対北制裁を支持するのであれば、そこまで考えるべきと主張した。

 

そして、北朝鮮に核開発を放棄させるためには、現在の核保有国自らが核の使用を凍結する必要があるとし、特に核大国の米露に対しては「アメリカには安倍首相が、ロシアにはメルケル首相が、現在保有している核の実験・運用・開発の全てを “凍結”するよう説得すべき」と主張。とにかく2年間、強いものが譲歩することでまずは北朝鮮の核開発を凍結させ、その間に話し合いの場に引きずり出すべきであるとし「その譲歩を引き出すことが安倍首相の仕事。世界が期待している」と語り、「とにかく解決に向けてやってみること。それが北朝鮮に対する危機管理の最重要点」と結んだ。

 



 

 

日本が示すべき態度

対談の終わりに際し志方氏は、丹羽氏の著作から「日本は資源が乏しく、武器となるのは“人と技術”しかない。頭脳流出だけでなく、若い人の理工科離れにも危機感を抱いている」との言葉を紹介。今年のノーベル賞受賞者に日本人が選ばれなかったことを例に挙げながら「何十年もかけて育てたものがノーベル賞という結果に結びつく。目先の問題しか見ない日本は、“人と技術”だけが武器で、核も持たないとなれば、将来、地球から消滅するのではないか」と警告を発して締めくくった。



 

 

今こそ「危機管理」を常識に

「危機管理産業展」は毎年秋に開催され、事前登録を行えば無料で入場可能となる。実際に会場内を歩くと、自治体、民間企業(中小企業から大企業まで)、自衛隊、消防…と多様な展示ブースと実演を見ることができ、期間中は様々なセミナーも開催されている。また、併設展である「テロ対策特殊装備展」は、来場者を治安関係者や重要インフラ事業者に限定したクローズドショーとなっており、より専門性の高い展示が行われている。

 
80116f16ba859f1593071cf90b7246782e00a95f

2011
年東日本大震災の年には、除染対策、放射線防護、津波や帰宅困難者対策などの展示が目を引いた。御嶽山が噴火した翌年、2015年の自衛隊展示ブースでは、実際に捜索活動に使われた探知機が展示されたほか、活動にあたった隊員からも話を聞く事が出来た。またここ数年の傾向としては、ドローン展示の増加も挙げられるだろう。

 

本年は、東京オリンピックに向けたテロ対策ブースや自然災害対策ブースのほか、8月と9月に北朝鮮のミサイルが日本列島を横断したこともあり、Jアラート関連の展示ブースが人目を引いていたことを添えておきたい。このように、同展では今の日本が直面している「危機」が何であるかを肌で感じ、その対策には何を用意しどのように心構えをしたら良いかを考えるきっかけを得ることが出来る。

 

筆者は志方氏から、危機管理の心構えとは「悲観的に備え楽観的に行動せよ」であると教わった。2020年東京オリンピック開催が迫る中、北朝鮮有事が現実味を帯び、自然災害とも付き合い続けなければならない列島に暮らす以上、一度、同展を訪れ自身の周りの危機管理を点検してみては如何だろうか?

 

2017.10.29
DHCテレビジョン


◆開催概要

『危機管理産業展2017

日にち:20171011日(水)~13日(金)

主催:東京ビッグサイト

特別協力:東京都

特別併催企画展:『テロ対策特殊装備展’17

特別併催企画:『サイバーセキュリティーワールド2017

公式HPhttp://www.kikikanri.biz/

 

2016年の同展レポート映像

志方俊之『危機管理と日本の安全』#69~危機管理産業展2016(前編)小野寺五典×志方俊之基調対談~

YouTubehttps://www.youtube.com/watch?v=3wBw_6KMY1I

201712月末までの配信となります。

ニコニコ動画:http://www.nicovideo.jp/watch/1482411760

 

志方俊之『危機管理と日本の安全』#70~危機管理産業展2016(後編)~

YouTubehttps://www.youtube.com/watch?v=-YLcmT_4W3g

201712月末までの配信となります。

ニコニコ動画:http://www.nicovideo.jp/watch/1482717804

 

◆志方俊之氏の監修・出演番組

『危機管理と日本の安全』アーカイブ

ニコニコ動画:http://bit.ly/2gFVPZl

ブロマガ会員ならもっと楽しめる!

  • 会員限定の新着記事が読み放題!※1
  • 動画や生放送などの追加コンテンツが見放題!※2
    • ※1、入会月以降の記事が対象になります。
    • ※2、チャンネルによって、見放題になるコンテンツは異なります。

DHCテレビブログ

DHCテレビブログ

月額:¥540 (税込)

コメント

コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事