ここでひとつ、私が職業の関係で知りえた話をしたいと思います。
心霊関係の話ではないのですが、非常に不思議でいやーな話でした。
今回は、その事実に脚色を加えて、小説形式で、あくまでフィクションとして書きたいと思います。なんせとにかく事実は謎が多すぎて不可解すぎるし、知りえた話をそのまま書いたらなんかまずい気もするし。
では、はじめます。
『人形』
田村から連絡が来たのは久しぶりだった。昨年、田村の結婚式には出席させてもらった。上品な奥さんをもらって、新築した自宅で行政書士事務所を開業していることは知っていた。
久々に会った田村は、こころなしか顔色が悪く、気力がうせているように見えた。
どこにでもある普通の居酒屋でビールで乾杯し、つまみがある程度運ばれてきたところで田村が口を開いた。
「うちの奥さん、最近気味悪くてさぁ」
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