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『gdgd妖精s』を制作した“10年先を行く”CGグラフィックのパイオニア 菅原そうたインタビュー

2013/06/16 02:32 投稿

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菅原そうたさん

菅原そうた。漫画家、CGアニメ監督、CGクリエイター。『gdgd妖精s』1期企画・映像監督・キャラデザイン、2期監督・企画・キャラデザイン。19歳ごろからCGを使った作品を世に送り出してきた。代表作は『みんなのトニオちゃん』、『ネットミラクルショッピング』など。特に『みんなのトニオちゃん』の中の作品「アルバイト」は“5億年ボタン”という名前でウェブ上で度々話題に上り、再評価する動きもある。『gdgd妖精s』では企画の発起人として作品の骨格を作り、絵コンテから映像制作までをリアルタイムにタイトなスケジュールをこなす監督兼クリエイター。今回は『gdgd妖精s』の制作秘話やCGのプロから見る初音ミク、MMD文化について話を伺った。

――はじめまして。よろしくお願いします。
菅原:よろしくお願いします。菅原そうたです。

――『gdgd妖精s』では企画からされていたとのことでしたが、どういう企画だったのでしょうか?
菅原:元々CGを作る仕事をしていて、『ネットミラクルショッピング』でプレスコ作品、『あかるい世界』では大喜利アフレコ作品、その延長で個人的に色々な映像を作って遊んでいたりしたんです。CG空間遊びのような妄想アドリブ会話を収録して、その音声に合わせてモーションキャプチャで動きをつけて、なんでも出せちゃう異次元空間のCGアニメのようなバラエティのような映像を作ったりしていまして。『gdgd妖精s』放送の1年くらい前に、プロデューサーの福原さんと再会して、それらの作品を観ていただいて、それでCGの面白いアニメを作ろうっていうお話をいただいて、企画を相談しはじめたのが最初でしょうかね。

二人でいろいろ話していくうちに、女性声優を起用した「ねんどろいど」みたいな2頭身キャラで、丸い目の天然直球萌えピンク、ツリ目の明るいイエロー元気ギャル、不思議ヤンデレなパープルの3キャラ「萌えアニメ」をやろうと決まりました。構成的には、最初になるべくラクにCGを動かさない感じの会話劇。次に、なんでもできる空間でバリバリCGを動かして、最後に同じ映像に対してみんながアドリブで答える、というような3部構成で…という感じが企画の始まりですかね。僕はCGでギャグ漫画やSF漫画を描いていたのでストーリーやプロットは書けるんですが、萌えアニメ文化へ“萌え”としてちゃんと届くのか多少の不安がありました。そこで福原Pに紹介して頂いたのが石舘光太郎さんです。

――石舘さんには以前お話を伺わせて頂きました。
菅原:インタビューは見ましたよ。石舘さんは萌えアニメ文化についてもそうですが、脚本や萌えアドバイスなど大変お世話になりました。僕と福原Pで相談していた3部構成の骨格が、石舘さんが加わったことによって企画も骨太になり、確かその頃に別所PからTOKYO MXでのTV放送のお話をいただいて、更に萌えアニメ番組として肉付けもされた感じです。僕の作業部屋で毎週、皆で脚本・構成の打合せをしていたので、会う回数が増えるたびに話も弾んで仲良くわきあいあい爆笑しっぱなしでしたが、脚本を練るやりとりに時間をかけていたぶん、CG制作スケジュールが1週間に15分リアルタイムで創るキツキツ状態になってしまったんです。(笑)そんな中、石舘さんから「手伝えるところは手伝いたい」とおっしゃっていただけて、音編集をお願いしたり、フェイスアニメ制作をサポートしてくださった方々へ萌えアドバイスをしていただいたり、ものすごく助かりました。丸一日かかるMAに立ち会う時間も無くなってしまいましたが、石舘さんの才能を信じて任せて正解でした。僕は漫画や映像の方で視覚的なお笑いをやっていたんですが、石舘さんはテレビ番組の構成作家さんでありながら芸人歴もあり、言語的なお笑いを得意とされていたので、別の分野のお笑いが奇跡的な化学反応を起こしたものが『gdgd妖精s』1期なんだと思います。

ピクサラ

――どちらが欠けていても『gdgd妖精s』は生まれなかったんですね。
菅原:僕らだけではなく、加えてプロデューサーさんのキャスティングやスタッフィングの嗅覚や心の広さがあったからこそ生まれた作品だと思います。声優さん自身の能力やアドリブ力、音効の徳永くん、OP制作・予告画の中角くん、楽曲の井上さん、スタジオ関係者など、制作に関わり協力下さったすべての方々が各々に自分の役割以上の仕事をして、サポートし合って、天才的にこなして。制作スタッフ全員で力を合わせてお腹かかえて笑いながら作り上げた“キメラみたいな作品”が『gdgd妖精s』なんです。いろいろな化学反応の結果ですから、関わった全てのキャスト、スタッフが評価されるべきであって、当然に皆がそのような意識でいると考えています。一部の人が評価されていないということは『gdgd妖精s』にとって言えば有り得ないことなんじゃないかなと思います。

――なるほど、“キメラ作品”。
菅原:キメラであるための色々な要素っていうのはひとりひとりの力でしか出せません。今回2期のオープニングやエンディング映像で使用したCGは、フリーソフトのMMD(MikuMikuDance)なんですが、『gdgd妖精s』の制作ってMMDを扱っている方たちの文化と似たようなところがあって、モデルを作る人はモデルを、モーションを作る人はモーションを、というように全員が長所でやりとりして制作しているので誰が偉いとかっていうのがないんですよね。そういったMMDの文化を見習って、『gdgd妖精s』についてはこの考え方が基本スタンスになり、2期にも引き継がれていったと思っています。2期では、MMDerの方々にも番組創りに参加いただけたので、この点は実践されていると思います。

――MMDといえば今回はエンディング映像を募集されていましたね。
菅原:エンディング募集は、2期の1つの目玉で、大挑戦でした。「楽曲→踊ってみた→モーショントレース→3DモデルダンスPV」という、ニコニコ動画で起きているクリエイティブなムーブメントを、『gdgd妖精s』でも直にやってみたかったんです。そんな夢みたいなことが事できたらいいなと思って。配布データは、gdgd2期制作スタッフみんなの力が集結して出来上がった結晶です。井上さんの楽曲。モーションは、ピクピク役の三森さんのED振り付け創作。また、“踊ってみた”のスターの方々にキャラソンED振り付け創作していただきました。そして、ゼロシーセブンさんの最新モーションキャプチャーシステムMVNで、ダンスモーションとしての収録をさせていただき、MVNで撮ったBVH形式のモーションデータをMMDで使用できるようVMD形式へ変換や、表情や指などの重要な表現の改良創作は、かんなさん。KEIさんデザインをもとにMMDでキオさんが創られた8頭身妖精モデルや、ポンポコさんが創られた背景3Dを使って応募くださった沢山の方々の力の集大成が、どんどん広がって大きな波になって、各々の描く多種多様な『gdgd妖精s』をみることができて感動しました。

応募いただいたED動画を見て改めて感じたのですが、MMDerの方々って本当にクオリティが高いものを作りますよね。極論を言ってしまえば、EDだけでなく配布している『gdgd妖精s』のMMDモデルを使ってガッツリコラボしてAパートとかBパートもCパートも作ってもらえたら番組自体に様々な長所や新しい風が入って、一段とクオリティーも、僕の領域を超えて進化しますし、僕としては辛くなく楽ですね(笑)。それは冗談としても、初音ミクって“誰のもの”っていうのがないじゃないですか。『gdgd妖精s』も目指すところはあそこなんです、っていうとちょっとおこがましいかもしれませんが、みんなの共通の財産みたいなものになったらいいな、と思っています。

――そうなると、作品での役割と示す“肩書き”もカオスになるような気がしますが……。
菅原:『gdgd妖精s』っていう作品は、アニメというジャンルの中にCGアニメとして無理矢理創り上げていったものなので、仕事の役割っていうのが既存のもの(一般的なアニメ作品)とは異なるんですよ。例えば、1期の僕の肩書きは、企画・映像監督・キャラデザインですが、映像を創る上で必要な絵コンテ・プロット・構図・演出・制作などは当然僕の仕事ですし、他にもいろいろありますが……。制作スタッフの皆で脚本や構成の種を出し合ったり、皆が肩書き以外の仕事をしていたりと、協力プレイで出来上がったキメラ作品が『gdgd妖精s』1期、2期なので。多くのアニメは、きっと肩書き通りの役割で仕切られていると思いますが、『gdgd妖精s』はテロップがスマートに見えるように、ということから肩書きは3つまでと決めて、皆自分でつけたい肩書きにしたんです(笑)そもそも既存の役割に当てはめようとしたのが間違っていたのかもしれませんね。肩書きは大事ですが、僕としては面白いものを創れれば肩書きの定義はあまり関係ないかなとも思います。

――スタッフの人数も抑えたという話も聞きます。
菅原:少数精鋭でスタッフ全員が力を合わせた作品です。先ほどお話したように、『gdgd妖精s』は先ほども言ったように“キメラ作品”なので、みんなで祭りみたいになって相談しながら作ったっていう感じですね。

コロちゃんを探せ

――しかし改めて考えると『gdgd妖精s』って面白いんですけどよくわからない作品ですよね。
菅原:『gdgd妖精s』って特殊なアニメで、視聴者がひとつの層じゃないんですよ。会話劇、CG、アドリブの各パートすべてにファンがいるっていう感じで。また俯瞰で観て楽しむエキスパートがいたりとか。

――2期で変化をつけた部分はどこですか?
菅原:1期ではものすごい自信作を出せたと思っています。でも、それを超えるとなると、そもそも1期目がバラエティに富んでいたので、そのバラエティの富み方をさらにバラエティに富んで飽きさせないようにするための更なる工夫が必要ですよね。頭の入り口で毎回ボケるとか、シルちゃんが毎回歌が違うとか、先ほどお話したED募集もそうですし。あと、「コロちゃんを探せ」を入れてみるとか。

――「コロちゃんを探せ」はめちゃくちゃ難しかったです(笑)
菅原:いまのゲームって結構簡単にできちゃうじゃないですか。だからせっかくなので鬼ゲーぐらいのほうが面白いと思って(笑)

――2期のAパートはタイムワープを軸にしてつながっている感じでしたね。
菅原:ストーリーが立体的に進んでいくっていうのをやってみたかったんです。脚本家の太蔵くん、長部くんも、群像劇やSF方向が大好きというのもあって相談してプラスしました。でも、『gdgd妖精s』の醍醐味は、CGアニメならではの独特の笑いの世界や、3妖精の会話や声優さんの演技やアドリブからにじみ出る魅力だと思うので、ストーリー的なタイムワープはあくまでもオマケ的要素としてプラスするかたちで。あからさまに『週刊少年ジャンプ』でいったら『ジャンプ放送局的』な、アニメ業界に対して一番ぶっ飛んだ位置にいたいと思ってます。2期でも笑いの手数は減らしていないですが、今回はトライするハードルを意識的に設け過ぎたかもしれません。例えるなら、1期がAメロBメロサビがバランスよく作られていたのに対して2期では短いAメロのあといきなりずっとサビみたいな激しいハードコアテンションな感じですかね。

新キャラ

――新しく出てきたキャラクターたちもいましたが、どういう設定なのでしょうか?
菅原:元々の3人以外にもテンプレな性格ってあるじゃないですか。そこで3人の中にツンデレがいないなということでサラサラが決まりました。あとは元気系とほんわかお嬢系にしようということでクルクルとファファが出来ました。ツッコミとボケについてはクルクルとファファが率先してボケて、ちゃんと1人がフォローしてツッコミをいれていくみたいなところを相談して決めました。ただ、地の性格や声質でいうと元々の3キャラじゃないとアドリブが出来ないんですよね。

――キャラ声のアドリブだと声優さんと性格が近くないと難しそうですね。
菅原:新しい要素を入れた時でもあくまでもおまけで本筋は変わらないっていうのがいいですよね。コーラを頼んだのにトマトジュースが出てきたら困りますよね。レモンコーラぐらいにしとかないとっていう。(笑)あとやっぱりCGでアドリブ6人は混乱してしまうし、1~2人だとちょっと寂しいし、3人が丁度いいですよね。

●稀代のCGクリエイターから見るMMDの魅力
菅原そうた氏
(インタビュー中に映像を観せてもらう記者)

――未公開の映像もたくさんありましたが、普段から映像作られているのですか?
菅原:趣味なので休みの時でもひたすら遊びで映像を作っています。MMDerの端くれでもありますし。ただ、どのタイミングでアップしようかっていうのが難しいですね。MMDってソフトの性能がメチャクチャ高いので、気楽に10分くらいのノリで適当に作ったものでも、そこそこの完成品に見えちゃう魔法のようなソフトなんですが、気楽に作ったものをネットにアップしたら、「ぜんぜん凝ってないじゃん!」ってガッカリされちゃいそうなプレッシャーもあって(笑)gdgd本編を作ってる時くらい気合いれたものじゃない映像をアップするのは、自分的に申し訳ない気がしてしまうんですよね。(笑)

――趣味の作品もクオリティが高かったです。
菅原:MMDってこんなにいい作品が作れるのにタダなんてすごいですよね。既存の何十万円もするCG制作ソフトを使ってMMDと同等のクオリティの映像を制作するには、ソフトに何十万、さらに人件費もかかりますからね。『ニコニコ動画』にはMMDerによってMMDで制作された高クオリティな作品が山ほどUPされていますし、そもそも『ニコニコ動画』自体が天才の集う場所じゃないですか。ここに集まった人たちがそれぞれモデルやモーション、エフェクトを作ったりしてっていうのを繰り返しているんですよね。

――やっぱりフリーソフトっていうのはすごいですよね。
菅原:MMDは最初にアップされたソフトが無料だったので、続くモデルやエフェクトなんかも意志を継いで全部タダで配布されているんだと思います。既存のソフトだと1つのエフェクトで数万円とかしますし、ちょっと新規追加エフェクトがあるだけのアップデートでまたお金かかったり。その点、MMDは日々新しいエフェクトが登場していますし、しかも全部タダ。現実の資本主義とは違って、良心だけで回っていて、日本の映像制作シーンでそういったことが起こっているのは、とてもステキなことですよね。海外にもMMD以外の3Dのコミュニティサイトとかはあるでしょうけど、モデル1体1万円とか10万円とかの相場だと思いますし、お互いのコミュニケーションも頻繁ではないと思うんです。『ニコニコ動画』っていうのは図らずも3D業界に与えた最大のコミュニティサイトみたいなものだと思います。

――MMDについては僕も『ニコニコ動画』が生んだ最大の功績だと思っています。
菅原:MicrosoftのKinectにしても、世界中のプログラマがなにかやってやろうとクラック合戦をして試行錯誤していた最中に、一番最初に3Dに適合したのがMMDなんですよ。簡単にすぐ認識して使えるっていうのを真っ先にやって海外から称賛されて。世界に引けをとらない天才が日本に、MMD界にいるんです。そういう人たちがもっと普通に注目されたり、お金が入るような世界になって欲しいですね。「この映像に使われているエフェクトはあの人の作ったやつでね」とか言っても、普通の視聴者さんにはキャラクターにしか注目がいかないじゃないですか。そういう陰ながら支えている、エフェクト制作やプラグイン制作などですごい発明をしている方々に対して社会的に何かしらのリターンがある世界になってほしいなと思います。

MMD画像

――僕もついキャラばかり注目してしまいます。そこはクリエイターならではの指摘ですね。
菅原:あと、僕は元々漫画家でデビューしてすぐCGグラフィッカーになったんですけど、CGグラフィッカーって漫画家より職業としての歴史がすごく浅くて全然地位が確立されていないんです。だからCGグラフィッカーが作った作品や、CGグラフィッカーっていう職業の人自身が、漫画に対しての漫画家みたいにもっと注目されたり、尊重されるような世界になって欲しいなと思います。例えば漫画や雑誌でいうところの出版社のような、クリエイターとして権利を守ってくれる会社が出てくると、世の中全てのCGグラフィッカーが次のステップへとに進めるむ気がします。

――すごいクリエイターの方なのに注目されないのは勿体無いと思います。
菅原:本人に思うところがあったり、あまり欲がないのかも知れませんね。今は合体していろいろやっていくことで、一つ先が開けたところはあると思うんです。その次のステップとして個人が個々にすごいことが起こっていくような、映像クリエイター個人の作品集DVDが出るとか、クリエイターの作品ランキングが音楽CDみたいな感じでテレビや雑誌でも発表されるとか。すでにそういうことを盛り上げる活動をされている方々もいるので、その波がこれからどんどん大きくなっていくと個人クリエイターにはいい未来が来そうですね。

――個人のCGクリエイターでも活躍の幅が広がるといいですね。
菅原:MMDだったらハイスペックなパソコンじゃなくても動かせますからね。MMDを開発されたのは樋口Mさんという方なんですけど、この方はより多くの人が低スペックのパソコンでも動かせるようにという目的でアプリを開発されたんです。他の作業でも稼働するCPUを使うんじゃなくて、パワーが余っているGPU、グラフィックボードの部分を活用して3Dが動かせるような仕様にしたみたいなんです。まさしく2010年代ならではの次世代アプリですよ!

●10年早かった作品と、信じられる世代
gdgd妖精s

――話は変わりますが、1期からずっと気になっていたSEがあるんですけど……。
菅原:アイキャッチのやつですか?

――はい(笑)一部界隈で有名なフラッシュゲームと同じSEだったのでびっくりしました。
菅原:あれは完全に偶然です。『gdgd妖精s』前に僕がやっていた『ネットミラクルショッピング』を観て、音付けのセンスが好きっていうことで連絡をくれた音効の徳永くんという方がいるんですが。ちょうどその頃、笑い飯さんのDVD制作時期で、徳永くんに音効で協力いただいて、彼の音センスやクオリティーを実感したのもあって、『gdgd妖精s』でも一緒に仕事をしてほしいとお願いしまして。基本的には本職である彼のほうがレベルが高いので、『gdgd妖精s』の音効は僕のほうでラフに付けてイメージを伝えるくらいで、ほとんど任せていたんですが、アイキャッチの効果音については僕がラフに付けたフリー素材まんまの音です。(笑)

――偶然だったんですね。わざとかなってちょっと思ってました。
菅原:狙ってたって言ったほうがかっこいいですかね?(笑)アイキャッチについても視聴者が反応してイラストを描いてくれたりと感度がすごくいいですね。信じられる方たちが沢山いて嬉しかったです。です。

――作品に対してみんなすごく反応がいいですよね。
菅原:面白かったのが、『gdgd妖精s』(2期)の#0が出た時にコメントで「初見ですが、帰ります」って大量に出てたんですね。そしたら「初見で帰るやつは何もわかってない。最後までちゃんと観ろ」みたいなことを書き込んでる方がいて。きっと『gdgd妖精s』を初めて観て下さった方で、「初見ですが、帰ります」を本当に真に受けちゃったんだろうなって(笑)。一期から観て下さっている方々には定着してますからね。「初見ですが、帰ります」もそうですし、自然発生のものがみんなで盛り上がって定着していくっていうのがおもしろいですよね。どう考えてもシルちゃんのキャラ付けで星矢好きとかってありえないですからね。アドリブ会話から個性が突然変異的に出てくるから、キャラとしても突然変異級のキャラとして成立してしまうというか。今の時代だからこそいるキャラみたいな感じですよね。

――先ほど“信じられる”という言葉がありましたが。
菅原:元々CGで漫画を描いていた話をしたと思うんですけど、その中に「アルバイト」っていう回があるんですね。ボタンを押したら100万円をもらえるんだけど、押した瞬間から5億年間何もない空間で過ごさなきゃいけない。だけど現実ではその時間がほんの一瞬で、過ごした5億年の記憶もまったく残っていないっていう。最近まとめブログなんかでは「5億年ボタン」って呼ばれてたりして今になって盛り上がってくれてるみたいなんですが、こういった部分にもリアクションをして下さる方々も信じられる方ですね。

――読ませて頂きましたけど色々と考えさせられますね。いつ頃の作品なんですか?
菅原:SPA!で連載していたころなので1999年とか2000年ごろですね。13~14年も前の作品が今になって若い世代に受け入れられているっていうのがあって「10年早かった!」って思います(笑)あと、昔に比べて少数にしか受け入れられなかった不条理ギャグみたいなものも幅広く通じるようになってきていたり、不条理なことをやる人が面白いっていう認識が若い女性や女子高生まで広がっていたり、生きやすい世の中になったなと思います。そういったところから信じられる感覚を覚えました。

――こういった作品はどこから生まれたんですか?
菅原:中高時代に現実がつまらなかったんで、この世界ってなんだろうって思って哲学を読んでいた時期があるんです。そこから思春期の頃によくある「もし、めちゃくちゃでっかい人間がいて、そのプラモデルが俺たちだったらどうする?」とか「この世界ってなんだろう?」とかそういうことを友達と話したりしてました。18~19歳の頃、世界観のパラダイムシフトが結構起こっていて、大人になったらそういう世界がひっくり返るようなことがあまり起こらなくて寂しいですね。

アフレ湖

――今後作ってみたい作品はありますか?
菅原:やってみたいことやこれから挑戦したい事はいろいろありますが、今は『gdgd妖精s』2期が終わったばっかりで、まだ頭が整えられてないので、次の作品は何をどういったかたちで表現するかは決めてません(笑)疲れが癒えてないので、まず一旦休んでゆっくり考えたいですね。(笑)

――先日の『ニコニコ生放送』でも触れられていましたが、3期についてはどうですか?
菅原:この間の生放送で行ったアンケートでは「舞台が一番票が多かったんですよね(笑)舞台かーって、スタッフみんなで驚きました。(笑)3期のアニメが無くて舞台だけでも本当に受け入れていただけるんでしょうかね?(笑)スタッフもキャストもあの番組のノリが好きなので、いろいろな可能性はあると思います。

――舞台はさすがに厳しいかもしれませんが(笑)
菅原:いろいろな可能性が実現してきたのが『gdgd妖精s』なので可能性はありますよ。

――また面白い作品が観られることを期待しています!
菅原:ありがとうございます。必ず感じるものがあるはずですので、是非MMDで映像をつくってみてください。

菅原そうたさん

――それではありがとうございました。
菅原:ありがとうございました。

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