●「デス・ノボリが立ってオタッシャ重点」「チャメシ・インシデント」…
今、Twitterでじわりと広がる「忍殺語」をご存知でしょうか。
これら頭痛がしそうなブッ飛んだ日本語たちの元ネタは、小説『ニンジャスレイヤー』です。
では早速、書籍版公式サイトよりあらすじを引用させていただきましょう。
"ニンジャ殺すべし!ニンジャ抗争で妻子を殺されたサラリマン、フジキド・ケンジ。
彼自身も死の淵にあったそのとき、謎のニンジャソウルが憑依。
一命をとりとめたフジキドは「ニンジャスレイヤー」――ニンジャを殺す者となり、復讐の戦いに身を投じる。
近未来都市ネオサイタマを舞台に、ニンジャスレイヤーvsニンジャの死闘が始まった。
マッポーの世に救いは無いのか? 走れ、ニンジャスレイヤー、走れ!"
…まともな人ならあまりのツッコミどころの多さに奇声を上げて倒れるかもしれません。
しかしそれがサイバーパンクニンジャ活劇小説『ニンジャスレイヤー』。
今、間違いまくった日本語と日本観があなたの脳を刺激する!
●What's 『ニンジャスレイヤー』?
前述の通り、小説です。小説なのですがそのバックグラウンドもまたツッコミどころだらけです。
・原作者はアメリカ在住のブラッドレー・ボンド&フィリップ・N・モーゼズ
・英語版原作を読み衝撃を受けた日本人が、原作者に許可を得て翻訳者チームを結成・翻訳を始める
・日本語翻訳版はTwitterにて連載(現在も翻訳は続いており、公式アカウントにて連載中)
・ニンジャヘッズ(※『ニンジャスレイヤー』ファンのこと)の普及活動が実を結び、2012年9月にに書籍化開始
・原作は9部まであり、Twitter連載は現在3部まで進行中。書籍版は1部4冊が刊行済
・数々の斬新すぎる日本語に「英語版原作は一体どうなっているんだ。読みたい」との声多数。しかし、原作者・フィリップの家にあるプリンターが壊れたために現在英語版書籍は流通していないとのこと。何でだよ!
・部は複数の短編エピソードによって構成されている。原作の連載形態を踏襲しており、その部の内でのエピソードは時系列順になっていない。そのためTwitter連載第1話が「これまでのあらすじ」からスタート
●「ニンジャ殺すべし。慈悲はない」
これらからだけでも、「ああ、まともに考えちゃいけないんだ。Don't think, feelな小説なんだ」という学びを得た方もいらっしゃるでしょう。正解です。
ブラッドレーとフィリップが一体何から日本のインスピレーションを受けたのかは闇に包まれていますが、小説舞台のネオサイタマでは実にハードボイルドな戦闘が繰り広げられます。
・ニンジャのイクサはアイサツから始まる。「ドーモ、○○=サン。××です」「ドーモ、××=サン。○○です」ここまでアイサツを交わしてからイクサ開始。相手がアイサツをしている途中で攻撃を仕掛けるのはシツレイの極みだからしない。もししたらムラハチにされる。古事記にもそう書いてある。
・ジツを繰り出し攻撃する側は、コトダマ「イヤーッ!」を用いてニンジャ・シャウトを行う。攻撃された側は、コトダマ「グワーッ!」を叫びその痛みを表現する。スゴイ級のワザマエを持つタツジン同士の戦いになると、ツイートの140文字が「イヤーッ!」「イヤーッ!」で埋まる。
・負けた側は爆発四散する。慈悲はない。
初めて読む読者は、こういったニンジャめいた奥ゆかしいアトモスフィアに圧倒されることでしょう。
●ふざけてるのかと思いきや…?
この小説を読んでいるとですね、我々、こう思うわけです。一体何だこれはと。これのどこが日本なのかと。ネタかと。インパクト重視の一発屋なのかと。
ところがどっこい、次々襲い来る常に斜め上の日本語と日本観に腹筋を爆発四散させながら読み進めている内に、一見無茶苦茶なようで筋の通った設定、主人公の孤独と苦悩の厚みのある描写など、物語自身の持つ魅力に気付くことでしょう。
まずは有志のニンジャヘッズ編集によるファンwikiを読むことで忍殺語中毒となったら、
(本記事中の忍殺語の意味がわからん気になる!という方も、こちらのサイトにてご確認いただけます)
http://www10.atwiki.jp/njslyr/pages/104.html(ニンジャスレイヤー@wiki - 「用語/アイサツ・コトワザ・ヤクザスラング・感嘆詞・掛声」)
次はTwitter連載をエピソードごとにまとめたTogetterに手を出すか、
http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/08930110/1291998528(ネオサイタマ電脳IRC空間 - 「エピソード一覧(第1部)」)
早速翻訳チームの公式Twitterをフォローして最新エピソードから読んでみましょう。
https://twitter.com/NJSLYR(Twitter - NINJASLAYER @NJSLYR)
もちろん、書店に駆け込んでカッコいいカバーのついた書籍版を買うのも手です。
来たれ、忍殺語ブーム。
個人的にはもし忍殺語が筆文字かなんかでアプリ『LINE』のスタンプ化されたら有料でも買います。ですのでどなたか作ってくださいお願いします。
…他力本願Wasshoi!
(ツチナリ)
※この記事はガジェ通ウェブライターの「ツチナリ」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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