今回はしんざきさんのブログ『不夜城』からご寄稿いただきました。
■2ch系まとめサイトのスタンスと、テレビのバラエティ番組のスタンスが凄く似てる
2ch系まとめサイト、というものがある。2chにおける様々なスレッドの書き込みを抜粋、または転載・編集して、自分のブログのコンテンツとして掲載する、というスタンスのサイトである。
これらまとめサイトの一般的な構造は、「お題になるニュース」と「それに対する複数の反応」という二つで出来ている、と思う。
最近一部のまとめサイトは、2chからの転載を禁止されて、なんと自分のブログのコメント欄の書き込みを再帰的に自分の記事のコンテンツにするという、言ってみればウロボロス的な手法を用いるようになってきた。正直それ程好きではないが、凄い根性だとは思う。
これらのまとめサイトの多くが得意としている手法が、コメントのデコレーションである。「ニュースに対する複数の反応」の内、まとめている人が強調したいコメント、ないし面白いと思われるコメントについて、例えば大文字にしたり、例えば赤字にしたりと目立たせる。そういう演出である。
この演出の主要な意味は、勿論まとめ主の強調したい意見、ないし晒したい意見を目立たせる、という点にあるだろう。ただ、それ以外にも、どうも何かに似ているなあ以前から思っていた。
今日ようやく気付いた。テレビのバラエティ番組でよくある、「笑い声」という演出に似ている気がする。
バラエティ番組、お笑い番組などでは、「笑いどころ」を示す演出が良くある。それは、例えば「スタジオの聴衆の声」という体裁での笑い声の演出であったり、画面隅でバストアップだけ表示されたタレントの爆笑ポーズであったりする。
この演出の意味は、多分幾つかあると思う。
・視聴者に、「ここは面白い部分だよ」「ここは注目するところだよ」「ここは笑いどころだよ」ということを明示出来る
・「他に笑っている人がいる」という体裁によって視聴者の笑いのハードルを下げることが出来る。
・「他に笑っている人がいる」という体裁によって、なんとなく視聴者も面白がるべきである、というような誘導を行うことが出来る。
・それ程面白いコンテンツでなくても、なんとなく面白いような雰囲気を作ることが出来る。
この辺り、かなりの部分がまとめサイトにそのまま敷衍出来るのではないか、と私は勝手に思ったのだが、どんなものだろう。
言うまでもないことだが、文字の強調自体は主要なポイントではない。どんなブログ、どんなテキストサイトでもやっていることだ。
ただ、あるニュースに対して「他にそう感じている人がいる」「こんなところに、こんな風に面白さを感じている人がいる」→「だからお前もここが面白いと思うよな?」というような、言ってみれば感受性の同調圧力。その辺が、「笑い声」という演出に近しいなあ、と思った次第なのである。
断っておきたいのだが、私はこの演出手法を「悪い」「批判されるべき」とは思っていない。むしろ、長年続くバラエティ番組の中で練磨されてきた、非常に優れた演出手法だと思っているし、仮にそれと相似した演出がまとめサイトで機能しているのだとすれば、まとめサイトという文化もなかなか侮れないなあと思う。
ただ、まとめサイトがしばしば批判する既存マスメディアの、その結晶のような部分と同様の手法を、まとめサイトでもとっているとすれば、聊か皮肉な話だなあ、と思った次第である。
今日はこの辺で。
執筆: この記事はしんざきさんのブログ『不夜城』からご寄稿いただきました。
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