去る9月19日、国土交通省は、鉄道が運行していない深夜1時から早朝4時の時間帯に、以下の5路線についてアクセスバスの実証運行を実施すると発表しました。
横浜(YCAT)←→羽田空港
蒲田・大鳥居・品川←→羽田空港
渋谷←→羽田空港
新宿・池袋←→羽田空港
銀座・東京・秋葉原←→羽田空港
なお、実証運行は10月26日から平成27年3月31日の期間で、各路線ともバス運行会社と協議の上、一日一往復運行するそうです。
首都圏以外の地域にお住まいの方のために、説明を加えなければいけませんね。
羽田空港は、神奈川県川崎市を目の前に臨む、東京都大田区の南にあります。浜松町から東京モノレールが空港まで直接乗り入れています。また、品川からは京浜急行を利用して、羽田空港まで直接移動することができます。
京浜急行は、神奈川県へも伸びていますので、川崎や横浜などの町から電車一本で羽田空港へ移動できます。これに加えて、首都圏各地からシャトルバスが出ていますので、羽田空港は以前に比べて、アクセスがとても便利になりました。
首都圏の電車を利用された方はおわかりいただけると思いますが、首都圏の電車って通勤客の関係で、深夜からでも隣の県へ移動するのも無理がありません。実際、神奈川県の横浜駅周辺から23時くらいに出発しても、電車で羽田空港まで移動できます。
つまり、朝早くから夜遅くまで電車が動いている中で、深夜早朝のアクセスバスを増便するということは、事実上、ほぼ24時間羽田空港へ移動ができるということです。国土交通省が、そこまで利便性を図るのには、ある理由が考えられます。
●仁川空港から羽田空港へ利用客を取り戻す
日本の空港は、国内線から国際線の乗り継ぎの悪さが指摘されていました。たとえば、羽田空港から成田空港へ移動する場合、3時間程度は余裕を見ておかなければいけません。
もちろん、日本国内の他の地域には、国内線と国際線が就航している空港もあります。
しかしながら、一番利用客が多い北米、アジア、豪州、欧州各国へそのまま移動できる空港は皆無に等しいのが現状でした。
そのため、大韓民国の仁川空港を経由して世界各地へ移動する利用客が増えたことが指摘されていました。実際、大韓民国はそれを見越して、仁川空港内の顧客の快適性を図る工夫を重ねたといわれています。
これに対して国土交通省は、羽田空港国際線の発着枠を、年間6万回から9万回へ増やすことを3月に許可しました。その結果、大韓民国メディアによれば仁川空港乗り換えの日本人客は減ったことが分かっています。
仁川空港経由ではなく、羽田空港から世界各地へ移動する日本人旅行客が増えたかについては、国土交通省などの今後の統計を検証する必要があります。とはいえ、今回の羽田空港への深夜早朝のバス運行については、国際線の増便にともなって、羽田空港の利用客を増やすための実験と考えて間違いないでしょう。
仁川空港を利用するにしても、羽田空港から目的地へ直行するにしても、世界各地へでかけるルートが増えるのは歓迎したいですね。
写真は 足成 http://www.ashinari.com/ より
※この記事はガジェ通ウェブライターの「松沢直樹」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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