時代変われば映画事情も変わるってもんで、デジタル上映になるとフィルム上映の映写技師さんは不要になってしまいます。
映画を愛し、最善の形でそれをスクリーンに映し出すことに尽力してきた映写技師、それが突如お払い箱に。そんな映画時代の変わり目にある現代を舞台に、「いまさら若造どもとデジタル上映の研修を受けろだと?!」とブチ切れたベテラン映写技師が、悪夢の大リベンジをくわだてる映画『シアターナイトメア』が10月11日より公開となります。
ナイトメア=悪夢といえば『エルム街の悪夢』ですが、何を隠そうこのブチ切れベテラン映写技師・スチュアート役は“フレディ”を演じたロバート・イングランド。彼の怪演っぷり、一見の価値ありです。
時代の移り変わりについていけず、こだわりのない素人仕事のデジタル上映に反発を示したがために売店勤務に異動、ろくに映画に興味もないくせに暗がりでイチャつくために映画館にやってくる若者どもにポップコーンを売るスチュアート。そりゃムカつくよね、愛していた文化はすっかり見る影もなく、もはや自分の美学などコケにされてるんだもの。
そんな彼が企てた大リベンジは、なんと“映画館に来た人間を閉じ込めて本物のスリラー映画を撮影してやろう”というもの。
「デジタルのほうが映像が綺麗でリアリティがある? だったらもっとリアリティのあるもの見せてやろうじゃねえか!」というわけです。
スチュアートは深夜上映にしけこんだ一組のカップルを罠に陥れ、彼らの行動を制御し、自分が用意した台本をひとつひとつ遂行させ、映画をワンシーンずつ撮影していきます。
この作戦をスタートしてからの、スチュアートのいきいきとすること! 売店の制服をさっそうと脱ぎ捨て、映画を愛する復讐人へと変貌。自分の思い描いたスリラー映画を実行させ、それをVIP席で堪能するスチュアート。狂気と愛嬌をはらんだキュートな“したり顔”はまさしくフレディそのもので、観ているこちらも思わずにやり。
このほかにも、標的となるカップルの観ていた映画が『サランドラ2』(『エルム街~』と同じウェス・クレイブン監督作!)だったり、スチュアートの口からあれこれと映画ネタが飛び出したりと、映画好きの心をくすぐるポイントがあちこちに盛り込まれています。“劇場に閉じ込められてスリラー映画の登場人物にさせられる”というシチュエーションも、劇場で観ると臨場感も倍増しそうですね。
スチュアートの映画への偏った愛情がまたちょっとだけ切なかったりしつつ、ハラハラドキドキとニヤリのあるエンターテイメントムービーです。
『シアターナイトメア』はヒューマントラストシネマ渋谷にて10月11日より公開、是非劇場でご覧ください。閉じ込められても知らんけど。
ワールドエクストリームシネマ 公式サイト:http://world-extreme-cinema.com/[リンク]
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