AKB48が7月12日放送の『THE MUSIC DAY 音楽のちから~日本人に力をくれる名曲~』(日テレ)に出演し、37枚目となるシングル曲『心のプラカード』を初披露した。
これがテレビ初披露となった『心のプラカード』のステージには、渡辺麻友(まゆゆ)以下メディア選抜メンバー16人が総出演。5月の握手会襲撃事件で右手を負傷した川栄李奈も、まだギプスは外れないながらも事件後初めて舞台に復帰し、元気に歌唱する姿を見せた。
●まゆゆのための王道アイドルソング?
ところで、選抜総選挙の結果を受けて毎年この時期に発表される、いわゆる“選抜曲”は、第2回の『ヘビーローテーション』(大島優子センター)、第3回の『フライングゲット』(前田敦子センター)、第5回の『恋するフォーチュンクッキー』(指原莉乃センター)を聴いてもわかる通り、その年の1位に選ばれたメンバーのキャラクターを象徴するような楽曲となっていることから、「新センターのための曲」と見るファンも多い。では、まゆゆのために書かれた今年の選抜曲『心のプラカード』はどのような曲だったのか。
AKBの夏曲としてはややスローテンポな曲調は、1970~1980年代アイドルソングを彷彿とさせる昭和の“懐メロ”全開。ベタな「パヤヤヤヤヤン」で始まり、男子視点で淡い恋心を歌った詞と合わせ、王道アイドルソングと言えるだろう。ラッキー池田が担当した振り付けは、簡単ながらもグループダンスとしては見栄えがした『恋チュン』以上にユルく、ダンスというよりも単なるポージングの連続。これまでの路線とは完全に趣を異にするが、王道アイドルの振り付けとしては悪くないのかもしれない。
ただ、ややマニアックな視点から語らせてもらうと、選抜曲の主役であるはずのまゆゆのソロパートがなく、ダンスが単調すぎてフォーメーションの入れ替えもないなど、パンチが弱いと感じるのも確か。ネットのファンコミュニティでも「カップリング曲っぽい」「印象に残らない」「『恋チュン』の二番煎じ」といった声が聞かれる。
●MVでどこまでブームを作れるか
思い起こせば昨年大ヒットした『恋チュン』も、初披露直後は「曲が古臭い」「テンポが遅すぎて乗れない」「ミックス(掛け声)が打ちにくい」などと、コアなファンの間での評判はさんざんなものだった。しかし、MVが公開されると同時にさまざまな方面から“踊ってみた”動画が集まり、一般層への人気に火が着いた。やはり歌の世界観を伝える映像のインパクトは大きい。
『心のプラカード』のMVは未公開だが、撮影は静岡の商店街で数百人のエキストラを動員して行われ、既に収録済みだ。MVのデキ次第では、同じく商店街で1000人のエキストラと一緒に踊るCMで大ヒット中の『妖怪ウォッチ2』のように、子供たちの間で『心のプラカード』の“踊ってみた”ブームが巻き起こることもあるかもしれない。
今のところ、AKBへの思い入れが強すぎるコアなファンからの評価は芳しくないようだが、今後『心のプラカード』が神曲に化けるかそれとも凡曲に終わるかは、MVを含めたプロモーション展開と振り付けへのテコ入れ、そして何より、ステージに立つ彼女たち自身が心から楽しそうに歌うことができるかどうかにかかっている。
画像:『THE MUSIC DAY 音楽のちから~日本人に力をくれる名曲~』より引用
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