2014年6月28日に劇場公開になる『呪怨』シリーズ最新作『呪怨 -終わりの始まり-』。佐伯家の謎に取り込まれていく小学校の教諭・生野結衣役を演じたのは、女優としての役柄の幅を広げている佐々木希さん。『ホラー通信』では、ロードショーを前にインタビューを敢行。「ホラーは苦手」という佐々木さんの、体当たりの奮闘の様子をお聞きすることができました。
ーー『呪怨』シリーズといえば、今や日本を代表するホラー作品になっています。出演が決まった時の率直なお気持ちはいかがでしたか?
佐々木希さん(以下・佐々木):誰もが知っている作品なので、素直に嬉しかったですね。反面、やはり不安はありました。ホラーが苦手なので、どんな現場になるのか、と…。
ーー『呪怨』が、ということではなく、ホラー映画全般が苦手?
佐々木:全体的に苦手ですね。小学校の頃に『リング』を観て以来、観ていないんです。でも、時々深夜にテレビで(ホラー映画の)予告CMが流しているのを観てしまうことがあって…。見たくなくても見ちゃうじゃないですか? すごい怖いんです(笑)。
ーーでは、出演が決まって『呪怨』の過去作も観てみたのでしょうか?
佐々木:実は観ていないんです。すごい言い訳に聞こえてしまうかもしれないのですが…。今までの作品では演技の参考になればと、資料として色々なものを観ているのですが、今回は「観れないな」と思って…。これまでに出演していた方の真似をしてしまいそうだったので…。やっぱり言い訳ですね(笑)。
ーーほんとうに苦手だということがよく伝わってきました(笑)。それでも、完成して試写はご覧になったのですよね?
佐々木:はい。顔を手で覆って見ちゃっていました(笑)。脚本を読んでいるので次のシーンが予想できるのですがやっぱり怖かったですね。音楽や効果音も足されているので、知っていてもとても驚きました。心臓に悪かったです(笑)。
ーー音もですが、日常の何気ないアイテムも、恐怖を呼び起こす手段として使われていますよね。
佐々木:普段生活している風景が出ていて怖いですよね。電子レンジや冷蔵庫は、しばらく見るのが怖かったです。今ではだいぶ慣れてきましたが…。特に電子レンジに猫を入れるシーンがあって…。動物が大好きなので、あれは心が痛かったです…。
ーー演じられた結衣は、小学校の先生というこれまでの出演作とはまた違うキャラクターです。役作りのポイントを教えて下さい。
佐々木:結衣はすごく勇敢な女性。不登校の児童がいて、その子の謎を解いていくためにどんどん前に進んでいく強い女性だな、と思いました。そういうところを出しつつ、プライベートでは甘えることができる存在の彼(青柳翔さんが演じた宮越直人)がいて、ちょっとくだけた感じになる。そのギャップを出すことができればいいね、と打ち合わせで落合(正幸)監督と話をしていました。
ーー落合監督の印象も教えて下さい。
佐々木:監督は、すごく物腰が柔らかくて、優しくて、きちんと細かいところまで教えてくださったのですが、時々笑いながらハードな指示をされるので怖かったです(笑)。
ーー演出や要求される演技も、これまでの映画やドラマとは違うところも多かったのでしょうか?
佐々木:全然違いましたね。ずっと肩がこわばっていていたり驚いていていたり、常に緊張している状態でした…。息遣いが荒いシーンが続くので、おなかの筋肉痛になったりもしました。
ーーまばたきをせずにずっと目を見開いているというような、ホラー映画特有の演出もありますよね。
佐々木:そうですね。私はずっとまばたきしていないと涙が出てしまうんです。泣くシーンではないのに涙が出るとおかしいので、堪えるのが大変でした。あと、カットがかかっても、ずっと緊張して集中していなければいけなかったので、感情を切らさないというところを気をつけていました。ほんとうは気持ちを一気にもっていければいいのですが…。まだまだ経験不足だなと実感しました。
ーー気持ちを切らすことのないようにするために意識していたことは?
佐々木:とにかくイメージトレーニングです。現場で実際に目の前にいる役者さんは、怖い役だとしても、普段はぜんぜん怖くなくて普通なわけじゃないですか。なので、驚く演技が大変でしたね。ずっと妄想していました。
ーーほかに、撮影の際に苦労したことがあれば教えて下さい。
佐々木:とにかく身体が痛かったです…(笑)。色々なところにぶつかっていたので、ホラー映画って体力が必要なんだな、と思いました。
ーー現場の雰囲気はどうだったのでしょうか?
佐々木:現場はすごく明るくて、みんな仲良く和気あいあいとしていました。(佐伯俊雄役の小林)颯くんや(佐伯伽椰子役の)最所さんと一緒のシーンが多かったので、撮影合間にはよく話ししていました。お二人ともあのビジュアルなので、周りから見ていると相当面白かったようです(笑)。
ーー恋人役の青柳さんとは、『サンゴレンジャー』に続いて二回目の共演になります。
佐々木:頼れるお兄さんみたいな感じで話しやすいんです。撮影の合間には「最後の晩餐は何がいい?」とか他愛もない話をしたり、リラックスできてとても心強かったです。
ーー今回、厳しい撮影を経験することで、女優として何か得たことはありましたか?
佐々木:今回とにかく体力がないことを痛感したので、ジムに通いだしたり、身体を変えるということに気付かされた現場でした。モデルは切り替えの早さが要求されますが、女優業は集中力も要るし、撮影期間が長いので体力が必要だなと。
ーーでは、結衣を演じることは楽しめた?
佐々木:ほんとうに楽しかったです。普段生活する中で叫んだりする機会はないですし、映画やドラマの役でもほとんどないので、叫び方を学ぶことができました。
ーー『呪怨』シリーズはひとりの女性の執着が怨念になっていく物語ですが、佐々木さん自身は幽霊や超常現象について、信じているのでしょうか。それとも信じていないのでしょうか?
佐々木:信じています…。ですが、霊感は全然なく、見たことはないんです。でも疲れている時に金縛りに遭うこともたまにあるので、その時がすごい怖いですね。「誰かいる!?」と想像しちゃって…。だから、(幽霊が)見えなくてよかったなと思います。
ーーほんとうに怖いものが苦手なんですね。それでも、いろいろな方に『呪怨』を観てもらいたいわけですよね?
佐々木:それは、もちろん(笑)。
ーー「ホラーが苦手」という人はどこを観れば楽しめるのか、見どころを含めて教えて頂ければと。
佐々木:『呪怨』という作品が怖いのは絶対的なんですが、台本を読んだ時に内容がほんとうに面白いな、と思ったんです。ただ怖いだけではなく、見る方によって色々な答えがある。例えば俊雄くんとは一体何者なのか、撮影中も何が正解なのかキャストやスタッフと話しあったりもしましたが、観た後にみんなで話しあったりできる作品だと思います。あとは今までにはないような絶望の顔を楽しんでもらって、伽椰子さんや俊雄くんの怖さにどっぷり浸かって楽しんでもらいたいです。
ーーありがとうございました!
映画『呪怨 -終わりの始まり-』2014年6月28日 新宿バルト9ほか、全国公開
監督・脚本:落合正幸
出演:佐々木希
制作:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン、藤商事、ショウゲート
配給:ショウゲート
宣伝:プレシディオ/宣伝協力:アルシネテラン
2014年/日本
『呪怨 -終わりの始まり-』公式サイト
http://juon-movie.jp/
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