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【新刊レビュー】辻村深月著作『盲目的な恋と友情』 連なる嫉妬に堕ちて行く二人の女の結末にゾワリ

2014/05/30 09:00 投稿

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■新刊レビュー『盲目的な恋と友情』

●書誌情報

どんな本?

これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への――。

一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の醜い女友達。彼らは親密になるほどに、肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされていく。そう、女の美醜は女が決めるから――。恋に堕ちる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書下し長編。

【目次】

友情

●読みどころ
『恋』は美しい女と恋人との物語。『友情』は『恋』の美しい女とその親友との物語。
自分は気にも留めていなかった事柄が、後の自分に災いしたり、他人を大きく傷つけたりしながら、やがて歪んだ関係を生み出していく様が、如実に描き出されていく。

●レビュー
オススメ度:★★★☆☆
読了時間:約2時間30分

まず装丁の美しさが目に止まる本。綺麗でオドロオドロしい作品の世界観を良く表している。

大まかなストーリーとしては、鬼気迫るというほどでもないように感じた。

美しい女と醜い女の対比となっているが、美しい女は自分が美しいことを鼻にかけているわけでなく、醜い女は実際よりも自分を醜く追い込んでいるようだったので、二人の美醜差がインパクトを与える作品とは思えなかった。

二人の価値観の差が生んでいくズレは本当に怖い。自分もこのようにして、自分の知らないうちに人に嫌われていっているのかもしれないと思うとゾッとした。

本当に“ちょっとしたこと”が、後から後から重要なポイントだったことに気付かされ、ジワジワと人が狂わされていく様子に感嘆する。

くれぐれも『恋』だけ読んで作品を判断しないでほしい。結末には背筋が凍ること間違いなしだ。読み返すと深く味わえる作品だと思う。

●詳細情報
書籍名:盲目的な恋と友情
著者:辻村深月
価格:1500円(税別)
出版社:新潮社

※表紙画像、書誌情報は新潮社公式ホームページより

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