今回はうさみのりやさんのブログ『うさみのりやのブログ』からご寄稿いただきました。
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■経産省の再エネ買取制度に関する一連の見直しについて
経産省が再生可能エネルギーの固定価格買取制度について大幅な見直しを決めました。
「再生可能エネルギーの平成26年度の買取価格・賦課金を決定しました」 『経済産業省』
http://www.meti.go.jp/press/2013/03/20140325002/20140325002.html
「買取制度運用ワーキンググループの検討結果を公表します」 『経済産業省』
http://www.meti.go.jp/press/2013/03/20140325003/20140325003.html
前者は再生可能エネルギーの買い取り価格の見直し、後者は回避可能費用の算定及び認定後動きが遅い発電所案件に関する認定の迅速な取り消しに関する方針です。この一連の制度見直しは非常に計算され尽くしたもので、正直感心しています。あんまり古巣を褒めると「これだから経産省の回し者は」と言われてしまうかもしれませんが(笑)
端的に言えば再エネ市場は太陽光発電が過度に優遇されてきたために歪みが起きかけていました。利益率が保証された高い値段で必ず電力会社が電気を買いとってくれるので各地で太陽光発電所の計画が乱立し、それに対して新電力と呼ばれる電力市場への新規参入会社がファイナンスするか若しくは安く抑え込まれている回避可能費用(約9.5円)で電力を調達して卸電力価格(約15円)で販売してその差額を取る、という商売が広まりつつありました。オリックスなんかががっつりそれで商売を仕掛けようとしている感じですね。
「東部開発、メガソーラーの電力をオリックスにプレミア付きで販売」 2014年01月07日 『日経テクノロジー』
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140107/326077/
上の記事の例だと同じ太陽光発電所の電力を不思議なことに、北電が40円/kwhで、オリックスが41円/kwhで買い取っているわけですが、この差額の1円の原資となっているのが上記の回避可能費用と卸価格の差額な訳です。この辺複雑なのですが、発電された電気をオリックスが41円で買い取るのですが、そのうちオリックスが実質負担するのは回避可能費用9.5円と(41円-40円)の差額の1円の10.5円で(残りの差額30円弱は広く国民が負担しています)、その電気を卸電力市場で北電に対して15円で売り、4.5円の利益を取るというオペレーションをしています。
それが太陽光発電の普及を促したという面もあるのですが、このままではあまりにバブリーで問題が起きそうな感じだったのですが、それを経産省が買取価格の引き下げ(36円→32円)と並行して今まで一律だった回避可能費用の算定方式を電力会社の固定費削減への寄与分を考慮する方式に見直すことで、未然に食い止めた形です。新電力に過度に大きな打撃が出ないように、適用を平成26年4月1日以降の案件に限定するという一定の配慮もしています。あと一年間は美味しい商売がまだできるということですね。
(経産省資料より)
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://getnews.jp/img/archives/2014/04/u01.jpg
今後は単純な投資案件としての再エネ発電所の魅力は落ちていくので、投資から卸販売まで一貫して手がけないと利益が取りづらくなり、かつ回避可能費用の大幅な増加が予測される太陽光発電所は相当苦しくなるでしょう。一方でバイオマス、地熱、小水力の魅力は増した形になるので新電力が太陽光発電からこうした分野へ投資を振り返ることが期待されます。基本的に太陽光発電というのは既存の発電所との代替性があまりないので、こうした方向に舵を切ったことは長期的に見て日本の電力市場に+に働くことは間違いないでしょう。この一年の市場の動向が楽しみになってきた、ワクワク。
ではでは今回はこの辺で。
執筆: この記事はうさみのりやさんのブログ『うさみのりやのブログ』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年04月10日時点のものです。
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