今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■組織は意思決定が遅いか?
明々白々なことを会社に要求しても、なかなか意思決定がされない。ああ、なんて図体ばかり大きいウドの大木なんだ…、これは誰でも感じること。だがちょっとまってほしい。
意思決定に時間がかかるのは一人の人間でも同じだと思うんだよね。何かを考え始めてから、結論を出すまであーでもない、こーでもないと考え悩むはず。で、その結果として最初ぼんやりとしたものだったのが、次第にくっきりしていき、最終的に「これしかない!」という結論に到達するわけだ。
そして、会社の意思決定の遅さの「計測」はここから始まる。すでに自分の中で結論が出ているから、明々白々なのであって、そこに到達するまでには、自分の中でそれなりの時間を費やしたはず。でもその部分の時間はノーカウントなんだよね(笑)。
* * *
で、個人の大脳の中の脳細胞がそれまでやったことを、今度は組織の中のしかるべき人たちがやるわけで、スケールアップしてだいたい同じ手順を踏む。あーでもない、こーでもない、と。
自分一人でやっている会社なら、自分の決定=組織の決定でいいけれど、それなりの規模の会社は役割分担・情報分担をしているから、個人ですべてを考えることができない。開発の人間は営業とかの事情がわからないし、逆もまた然り。全く同じ情報を共有てるなら分担している意味がないし。
個人でやっている会社はこれらのことを一人の人間の脳内で全部処理しているわけだ。開発的な仕事も営業的仕事も財務的仕事も。必然的に個人の脳のキャパシティに制限される。
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一人の人間でも頭の回転が速い人もいれば、同じ所で堂々めぐりしてる人もいる。組織も同じだろう。脳の中や組織の中に効率よく意思決定できる「回路」を構築できるかによる。いくら決断が速くても短絡的なだけじゃ、個人も組織もダメだし。
でも人間が自分の思考のメカニズムを自覚できないように、組織もまた組織の意思決定のメカニズムを自覚できないように思う。そして時々に人間が誰か自分より賢い人間の思考パターンを見習って「なるほど、こう考えればいいのか」と学習するように、組織も時々は意思決定のメカニズムを学習してく(こともある)。
自分の中で考えがまとまらない時って、すごくイライラして落ち着かないよね。頭のなかの電気信号が同じパターンをループしているよう。将棋の千日手というか、ループしているのはわかるが、そこから脱出する方法がわからない。組織の意思決定のグダグタも同じことなのだろう。
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そういう思考の堂々巡りから脱出するきっかけはなんだろう。特定の脳細胞が活躍するのだろうか。そういうわけではないだろう。少しずつ何かを変えていき、脳の中に新たな回路を作っては壊すという繰り返しの中で、たまたま正解が見つかるのだろう。
組織も同じかもしれない。ドラマとかだと優秀な人間が誰も思いつかなかったアイディアを出して、一気に事が進んだりするけれど、果たして現実は…。
意思決定のきっかけになる人間はいると思うんだよね。わかりやすいものとして社長の鶴の一声とか。別に社長でなくても実質的に意思決定の権限を持っているキーマンは常にいる。
ただそのキーマンの働きかというと、キーマンはそれまで出てきた案から選んで、最終的な追認しているだけとも言える。結局そこまで選択肢の候補を作り上げたのは、名もなき無数の脳細胞たち。政治で言えば大臣が目立つけど、実際にその案を作っているのは官僚たち。
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ということで、優秀な一人の人間がいれば意思決定がスムーズになるというものではないと思う。やっぱその背景にいる人々の動きを試行錯誤で、よりよい回路構成に再構成しなければ。そうでないとたとえ鶴の一声でデッドロックから脱出できても、そもそも最終候補に残った選択肢がどれもクズじゃ、どんな優秀なキーマンでもろくな決定ができない。
執筆:この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年03月05日時点のものです。
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