「沖合にたくさん風車を並べておけば台風を打ち消せるのでは?」――誰もが一度は夢想するであろう「ぼくのかんがえたさいきょうのぼうさいけいかく」。素人の浅知恵に思えるこんな計画をマジメに研究している科学者が存在した。そして彼らのシミュレーションによると、本当に台風を消すことができるかもしれないというのだ。
スタンフォード大学で土木環境工学を教えるマーク・Z・ヤコブソン教授は、近年アメリカを襲った3つの巨大ハリケーンについて、それらが大規模な洋上風力発電所にぶち当たった場合のシミュレーションを行った。
その結果、最大で最大風速を41m/s、高潮の高さを79%軽減させるという答えを導き出した。ハリケーンの外周部で吹いている風が風力発電タービンに当たって電気エネルギーに変換されると、その分ハリケーンの中心に向かって吹き込むエネルギーは小さくなり、ハリケーン全体の勢力を弱めるというわけだ。
ただ、このシミュレーションモデルを実現するには、ニューオーリンズ沖に78000基もの巨大風車を並べなければならない。強風で風車が壊れる確率も考慮しなければならないが、現在の風車は最大で50m/sの強風に耐えることができるため、大気汚染や地球温暖化問題をクリアしつつ安定した電力を供給し、かつ巨大ハリケーンが陸地に及ぼす被害を軽減できるメリットのほうが上回るだろうとしている。
画像:スタンフォード大学公開の動画より引用
動画:Stanford simulations show offshore wind farms could tame hurricanes(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=M7uRtxl8j2U
ソース:スタンフォード大学
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